この連載講座では、「日商簿記では学ばないけれど、税理士試験の簿記論・財務諸表論では必要になる論点」を学習します。
簿記論・財務諸表論の学習は広範囲にわたるため、日商簿記では深く学んでいない論点も対策しなければなりません。
税理士を目指して簿記論・財務諸表論の学習を始めた方、「いずれは税理士に」と考えている方は、この連載講座を使って効率的に学習を進めていきましょう。
千葉商科大学基盤教育機構専任講師 渡邉 圭
―商品売買編―
1 学習済項目と未学習項目の整理
日商2級までの学習項目 | 分記法・三分法・売上原価対立法 |
未学習項目 | 総記法・小売棚卸法・売価還元法 |
2 本試験の出題傾向
毎年、本試験で問われています。
仕訳、総勘定元帳から金額の推定問題、総合問題など日商簿記検定よりも出題形式が多様です。
本問以外の問題集などを使い、簿記論の論点を中心に学習することで、財務諸表論もカバーすることができます。
第3回 中級編1:総記法
(1)総記法の記帳方法
総記法は商品勘定の借方には原価で、貸方には売価で記帳する方法です。
分記法では、商品勘定の借方と貸方は両方とも原価で記帳しました。
しかし、商品の販売時に原価と利益額を区別できない場合は、分記法による記帳方法で処理できません。
そこで、総記法による記帳方法を行うことで原価と利益額が区別できなくても記帳が可能となります。
総記法を採用した場合、商品勘定には原価と売価の金額が混合することになりますので、このような勘定を混合勘定といいます。
原価と売価が混合した商品勘定の残高金額は意味がない会計情報なので、決算時に原価へ修正する必要がでてきます。
この修正金額は分記法を採用した時に設置する商品売買益勘定の損益額と等しくなります。
総記法の場合、商品勘定に記帳される項目は次のようになります。
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