公認会計士の資格は、監査業務が行える唯一の国家資格です。
公認会計士になりたい方、これから公認会計士試験の勉強を始める方、「会計人コースWeb」の情報をお役立てください。
まずは、公認会計士になるまでの概要をご紹介します。
なお、詳しい情報は、日本公認会計士協会または公認会計士・監査審査会(以下、審査会)のウェブサイトをご確認ください。
公認会計士試験について
公認会計士試験は、金融庁の公認会計士・監査審査会(以下、審査会)が毎年実施しています。近年は1,100~1,300人程度が合格し、合格率は10~11%程度で推移しています。
試験制度のポイント
- 試験は短答式試験(4科目、年2回実施)と論文式試験(5科目、年1回実施)がある
- 短答式試験に合格すると、その後2年間は短答式試験が免除される。
- 論文式試験は科目合格制、合格した科目については2年間免除が受けられる。
試験の日程
公認会計士試験を受験するためには、年2回(12月及び5月)実施される短答式試験(マークシート方式)のいずれかに出願します。
出願はインターネット又は書面(受験願書の郵送)で行うことができます。
短答式試験合格者及び短答式試験免除者は、年1回(8月)実施される論文式試験を受験します。
論文式試験に合格すると、公認会計士試験の合格証書が授与されます。
各試験年のスケジュールは、12月頃に翌年試験のスケジュール(予定)を審査会ウェブサイトで公表しています(6月頃に確定版)。
※ 2020年と2021年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、日程が変更されています。2021年の短答式試験は5月の1回のみ実施されます。
受験資格、受験地
受験資格の制限はなく、年齢、学歴、国籍等にかかわらず、誰でも受験することができます。
試験の実施されるのは、東京都、大阪府、北海道、宮城県、愛知県、石川県、広島県、香川県、熊本県、福岡県、沖縄県の11都道府県です。近隣の試験地で実施される場合もあります。
試験地は、選択することができます。
試験科目、合格基準
短答式試験の試験科目は、財務会計論、管理会計論、監査論及び企業法の4科目です。
論文式試験は、会計学、監査論、租税法、企業法及び選択科目(経営学、経済学、民法、統計学のうち1科目)の5科目です。
一定の専門資格者(税理士)、実務経験者、学位修得者などは、試験科目の一部を申請・審査により免除することとしています。
短答式試験の合格基準は、「総点数の70%を基準として、審査会が相当と認めた得点比率」とされ、「1科目につき、その満点の40%に満たないもののある者は、不合格とすることができます」とされています。
論文式試験の合格基準は、「52%の得点比率を基準として、審査会が相当と認めた得点比率」とされ、「1科目につき、その得点比率が40%に満たないもののある者は、不合格とすることができます」とされています。
論文式試験は、各答案用紙を複数の試験委員が採点します。また、各受験者の得点は、試験委員間及び試験科目間の採点格差を調整するため、偏差値により算定しています。
資格登録までの流れ
①公認会計士試験(短答式試験、論文式試験)に合格し、②2年以上の業務補助等の期間があり、③一般財団法人会計教育研修機構が実施する実務補習を受けて日本公認会計士協会による修了考査に合格した後、内閣総理大臣の確認を受けた者は、公認会計士となる資格が与えられます。
公認会計士として開業するためには、公認会計士名簿に登録し日本公認会計士協会に入会することが義務付けられています。
業務補助等
2年以上の実務経験(業務補助等)には、以下の「業務補助」と「実務従事」があります。
実務経験の時期は、試験合格の前後を問わず、雇用形態については、常勤、非常勤を問いません。
○業務補助(監査証明業務に関して公認会計士又は監査法人を補助すること)
1年につき2以上の法人の監査証明業務を対象として行わなければなりません。
○実務従事(財務に関する監査、分析その他の実務に従事すること)
(公認会計士・監査審査会「公認会計士の資格取得に関するQ&A」より)
法人の税務申告等の税務業務は実務従事に該当しませんが、税理士法人等において、資本金額が5億円以上の法人等を対象にした会計業務に主として従事していた場合は、原則、実務従事として認められます。
ただし、実務従事として認められるか否かについては、個別に判断されることになります。
実務補習・修了考査
実務補習とは、公認会計士試験に合格した者に対し、3年間、講義やディスカッション等により、公認会計士となるのに必要な技能、専門的応用能力、品位及び識見を修習させるために行うとされる、いわば研修です。そして、実務補習の内容全体について適切な理解がなされているかどうかの確認を行うために修了考査が実施されます。
なお、修了考査の出題の趣旨は日本公認会計士協会のウェブサイトに公開されています。
70%くらいの合格率で推移していた修了考査の合格率が、平成30年度に50%台に急降下、そして令和元年度は、ついに50%割れということで、協会が危機感をもったのか、日本公認会計士協会のウェブサイトに「修了考査受験者へ後進育成担当常務理事からのメッセージ」動画が公開されました。
いずれにしても、実務補習と修了考査は、仕事をしながらの学習になるので、決して簡単なものではないようです。