
くま
(27歳)
〈受験情報〉
学習スタイル:CPA会計学院(通信)
▶トップ画像はくまさんの使用してきた教材たち(本人提供)
公務員の安定を捨て、受験専念に
私が大学卒業し、新卒入社して間もない頃、初めての緊急事態宣言が発令されました。
思い描いていた社会人生活(仕事終わりに飲み歩き、連休には貯まったお金で旅行へ行く)が憚られる世の中になり、仕事も平時のビジネスシーンが経験できない日々が続きました。
当初は割り切って非日常感を楽しむ余裕がありましたが、年が明け緊急事態宣言が再度発令され1年目が終わろうとしていた頃、1年目がもう終わってしまうことへの危機感と、「この閉塞感がいつまで続くのか」という不安が自然と募っていました。
この状況がプラスに変わるような、後に残る経験を探し求めていたところ、ビジネス最高峰の会計士という資格にたどり着き、その無限の可能性に惹かれ受験を本格的に考えました。
とはいえ、安定を求めて入社した公務員を捨て、難関の会計士試験に挑むリスクは重々承知であり、一過性の感情に身を任せ受験を決心したものの後になって易々と断念することだけは避けたかったことから、(カリキュラム的に適当な時期と判断した)半年後の9月まで判断を保留すると決めました。
その間はメルカリで調達したCPAの会計学テキストを読むなどして受験生活をイメージし、9月に入ってすぐCPAの令和6年度試験合格通信コースに申し込み、会計学の勉強から始めました。
前述の半年間に情報収集したところ、正社員として働きながら論文まで合格するのは非常にハードであると知り、短答科目の勉強が一段落したタイミング(欲を言えば短答合格時)に退職し専念することを決めました。
早期合格を重視するならなるべく早い段階で専念するのが望ましいです。
反面、専念期間が長期化すると、モチベーションの維持が難しくなりそうだと思ったので、このタイミングでした(他の要因としては万が一科目適性がない場合に退職した後では元も子もないと考えたため)。
そのようにして、当面の目標を令和5年第Ⅰ回短答合格からの論文合格(2年後)に定め、4月から開講していた会計学の講義に合流しました。
スタートから3か月間が一番しんどかった
今振り返ると、受験期間で一番しんどかったのは勉強を始めてからの3ヶ月間だったと思います。
講義1コマ3時間のところ開講済みの35コマ分の講義に追いつく必要があるのに加え、週4コマが3ヶ月続いたことから、当該期間中は受講の進捗か復習のいずれかを犠牲にしないと開始早々燃え尽きるだろうと考えました。
そこで私は当面の間復習を犠牲にすることに決め、まずは講義に追いつき、その上で週4コマのペースについていくようにしました。一方で復習は合間に行っていました。このこともあり、答練は適宜遅れたタイミングで解いていても成績は良くはありませんでした。
しかし一周目から一つひとつの論点の理解に執着するよりも、とりあえずその科目を一通り最後まで学習し、全体を俯瞰する意識をある程度持った上で個々の分野の把握、論点の理解を回数をこなしつつ深める方が、分野・論点間をつながりで捉えやすくなり、その科目全体の学力の底上げにつながると考えたため、その時点の成績は気にしていませんでした(ただしゆくゆくは解けないといけないとの自覚はありました)。
このように働きながらかつ上記の事情から受験期間の初期は完璧主義を捨て、毎日少しずつでも進むことが大事と言い聞かせていました。

予想外の出向に苦労するも、短答式試験に合格
そして9ヶ月が経ち目標の短答まで残り半年に近づいていた頃、予想だにしなかった出向が決まり、引っ越しや異動先の生活に慣れることに多くの時間を割くことになりました。
このままでは勉強も仕事も中途半端になると考え、第Ⅰ回短答はお試し受験に切り替え、本命を第Ⅱ回短答にするとともに、論文は6年度にずらすことに決めました(退職は出向先に迷惑をかけないように、人事異動期にあわせ本命の第Ⅱ回短答後すぐの6月末に決めました)。
照準をずらしたことで半年の時間の猶予ができたことから、企業監査の受講に時間を費やすとともに、直前期の回転のために各科目のテキストの加工や会計学の日々の復習を続けていました。
いよいよ本命の第Ⅱ回短答に向けた答練が始まり、最初は5割に留まりましたが、仕事が落ち着き徐々に勉強のペースを上げ、時間の使い方も工夫しました。
具体的には通勤時間や昼休憩の時間をCPAのweb問題集でひたすら問題演習をすることに充てました。
まず昼休憩と帰宅時間の演習(ランダム出題)により炙り出された理解が曖昧な箇所をメモしておき、帰宅後の学習にて該当分野やその周辺論点も併せて押さえるようにしていました。
そして翌日の出勤時間に前日の学習内容を出題範囲に設定し、定着度合いをチェックしていました。この繰り返しにより、比較的短い勉強時間でも暗記漏れを防ぐ努力を行っていました。
最終的には答練の点数が66%(C判定)まで上がり、当日の運で決まるところまで持っていくことができました。
結果、本番では71%(合格点69%)となり、退職・専念直前に合格できました。
要因は最低限の計算力とweb問題集の反復による理論の底上げにあると思います(企業監査で8割獲得)。
受験専念へ
退職し、実家に帰る
退職とともに実家に帰ってきてから6年度論文まで1年強と時間的余裕はありましたが、計算力はまだまだ劣る自覚があったため、年内はテキスト反復や部分的な講義の再受講により、計算科目を重点的に勉強しました。
また、理論科目は財務のみ11月頃から論文向け問題集にて本格的に学習開始しました。
そして、12月開講の論文向け講義のうち、短答と対策が大きく異なる企業と監査に加え、理解を深めるため財務理論の3つを受講しました。
経営理論は楽しかったので忘れた頃に息抜き感覚で勉強し、管理理論と租税理論は上記3講義が落ち着いた3,4月から本格的に理解・暗記を始めました。
答練はスケジュールどおりに受け、復習もしっかりこなすようにしました。
田舎での勉強ゆえ、Xを活用
私は田舎住みということもあり、専念期も勉強は自宅でしていました。
そのため情報収集とモチベーション維持のため、Xで受験生のポストを息抜きに見て、勉強の孤独感を無くすようにしていました。
また私は日々の勉強計画を詳細に立てずに、自分の得手不得手や試験上の重要性、学習頻度等を考慮しつつ勉強の合間にある科目のある分野をピックアップしてきて、その分野にはどのような論点があり、それに紐付く計算上のポイントや論証、留意点等が思い出せるかを試し、うまく出てこなければその分野の勉強をするというローラー作戦じみた方法を採っていました。
この方法でアウトプットを増やし脳に負荷をかけ、インプットの強化につなげました。
直前期
直前期の勉強はひたすら暗記ですが、より本番を想定した勉強法として有益だったのは短答同様、web問題集でした。
ランダムに出てきた問いをしっかり確認した上で論証が出てくるかという作業の繰り返しをひたすら行いました。典型理論の対策としてはこれが最も効果的かつ効率的だと思います。
実際、6年度の会計学第4問は典型理論のオンパレードゆえに論ズレ厳禁かつ論証の精度が求められましたが、得点率が65を超え、その両方をかなり満たすことができたのだと思います。
実家の両親と家族に感謝!
私は合格までの3年間に、実家で働きながら勉強(10ヶ月)→転勤先で勉強(1年、短答合格)→実家で専念(14ヶ月、論文合格)と環境がコロコロ変わりました。
その都度環境に適応する必要があり、大変な部分もありましたが、一方で環境の変化により受験生活のマンネリ化を防ぐことができた面もあるのかもしれません。
受験生の時に見たとあるXのポストには、闘病生活を送りながら会計士試験勉強をしている方がいらっしゃって、そのような方に比べれば自分の環境はどれだけ恵まれているかと感じたことが印象に残っています。
近くで見守り続けてくれた両親はじめ家族には非常に感謝しています。
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