税理士 井上幹康
【編集部から】
真夏に実施される税理士試験。受験生にとっては、暑いなか試験会場に向かう道のりや、外と中の寒暖差など、気をつけたいことがたくさんあると思われます。
そこで、気象予報士の資格も持つ税理士の井上幹康先生に、試験地別に8月2日~4日(本年度の試験日)の平均的な気象情報を分析のうえ、〈お天気別〉に気をつけたほうがよいことや持ち物をアドバイスしていただきました。
「天気」という見落としがちな観点からも対策を万全にし、本試験に臨みましょう!
【試験地別】ここ数年の8月2日~4日の天気は?
令和4年度税理士試験の試験地別に、試験日(8月2日~4日)と同じ期間における過去3年間の天気(最高気温)を以下の表にまとめてみました(令和4年度(第72回)試験場一覧はこちら)。
出典:日本気象協会(https://tenki.jp/)
試験地 | 令和3年 | 令和2年 | 令和元年 |
北海道札幌市 | 2日:曇/晴(31.3℃) 3日:曇/晴(34.4℃) 4日:曇/雨(33.1℃) | 2日:晴(28.8℃) 3日:晴/雨(26.9℃) 4日:曇/雨(28.7℃) | 2日:晴(34.2℃) 3日:晴(30.2℃) 4日:曇/晴(32.6℃) |
宮城県仙台市 | 2日:曇/晴(32.2℃) 3日:晴(33.1℃) 4日:晴(33.4℃) | 2日:曇一時雨(27.5℃) 3日:曇(28.3℃) 4日:曇/晴(30.4℃) | 2日:晴(34.3℃) 3日:晴(35.1℃) 4日:曇(30.0℃) |
埼玉県草加市 | 2日:晴/曇(35.1℃) 3日:曇/晴(35.3℃) 4日:晴(36.5℃) | 2日:曇/晴(31.7℃) 3日:曇/晴(34.2℃) 4日:晴(35.2℃) | 2日:晴(37.4℃) 3日:晴(37.3℃) 4日:晴(36.5℃) |
群馬県高崎市 | 2日:曇(34.7℃) 3日:曇/晴(34.6℃) 4日:晴(36.1℃) | 2日:晴/曇(30.9℃) 3日:曇(32.9℃) 4日:晴(34.5℃) | 2日:晴/曇(36.8℃) 3日:晴(36.3℃) 4日:晴(36.2℃) |
東京都都心 | 2日:晴/曇(33.1℃) 3日:晴一時雨(32.9℃) 4日:晴(34.5℃) | 2日:晴(31.5℃) 3日:晴(32.3℃) 4日:晴(33.1℃) | 2日:晴(35.1℃) 3日:晴(33.7℃) 4日:晴(34.3℃) |
神奈川県横浜市 | 2日:晴/曇(33.0℃) 3日:晴(33.0℃) 4日:晴(34.1℃) | 2日:晴(31.3℃) 3日:晴(32.4℃) 4日:晴(32.6℃) | 2日:晴(34.5℃) 3日:晴(33.7℃) 4日:晴(34.1℃) |
石川県金沢市 | 2日:晴(35.0℃) 3日:曇(33.9℃) 4日:晴(34.7℃) | 2日:晴/曇(31.9℃) 3日:曇一時雨(32.6℃) 4日:曇(32.4℃) | 2日:晴(33.1℃) 3日:晴(32.9℃) 4日:晴(33.4℃) |
愛知県名古屋市 | 2日:曇(34.5℃) 3日:雨/晴(32.6℃) 4日:晴(34.9℃) | 2日:曇(32.5℃) 3日:曇一時雨(32.6℃) 4日:曇(34.4℃) | 2日:晴(36.4℃) 3日:晴(34.8℃) 4日:曇/晴(34.7℃) |
大阪府大阪市 | 2日:曇/晴(36.6℃) 3日:曇一時雨(31.5℃) 4日:晴(36.2℃) | 2日:曇(33.9℃) 3日:曇/晴(33.5℃) 4日:曇(34.7℃) | 2日:晴/曇(37.5℃) 3日:晴(36.3℃) 4日:晴(34.7℃) |
京都府京都市 | 2日:曇(34.8℃) 3日:雨/曇(30.8℃) 4日:晴(36.6℃) | 2日:曇/雨(34.3℃) 3日:曇/晴(34.6℃) 4日:曇(35.8℃) | 2日:晴/曇(37.9℃) 3日:曇/晴(38.2℃) 4日:晴(37.5℃) |
広島県広島市 | 2日:曇/晴(35.0℃) 3日:晴/曇(35.3℃) 4日:晴(35.8℃) | 2日:曇/晴(33.1℃) 3日:曇/晴(32.3℃) 4日:曇/晴(32.7℃) | 2日:晴(35.9℃) 3日:晴(35.5℃) 4日:晴(35.3℃) |
香川県高松市 | 2日:曇/晴(35.0℃) 3日:曇/晴(34.4℃) 4日:晴(35.0℃) | 2日:曇/晴(34.0℃) 3日:曇/晴(32.2℃) 4日:晴(32.3℃) | 2日:晴(36.3℃) 3日:晴(35.0℃) 4日:晴(34.1℃) |
福岡県北九州市 | 2日:曇(33.7℃) 3日:曇/雨(34.0℃) 4日:晴(36.1℃) | 2日:晴/曇(34.4℃) 3日:曇/晴(33.7℃) 4日:晴(35.2℃) | 2日:晴(34.9℃) 3日:晴(37.6℃) 4日:晴(34.8℃) |
熊本県上益城郡 | 2日:曇一時雨(33.8℃) 3日:雨/晴(35.6℃) 4日:晴(35.6℃) | 2日:晴(34.8℃) 3日:晴(33.7℃) 4日:晴(35.9℃) | 2日:曇/晴(37.7℃) 3日:晴(37.8℃) 4日:晴(37.2℃) |
沖縄県那覇市 | 2日:晴(31.2℃) 3日:晴/曇(31.6℃) 4日:曇/雨(30.5℃) | 2日:雨/曇(32.2℃) 3日:曇(32.5℃) 4日:曇(32.9℃) | 2日:雨(29.2℃) 3日:晴(32.0℃) 4日:晴一時雨(31.2℃) |
過去の天気(最高気温)を見ていくと、雨の日は少なめで、最高気温は30℃以上が多く、35℃を超える猛暑日も見受けられます。
また、日本気象協会(https://tenki.jp/)によれば、今年7月30日~8月12日の平均気温は平年にくらべ「高い」と予報されています(記事執筆時点調べ)。
試験1週間前程度であれば、より精度の高い予報が公表されていますので、事前に天気(最高気温)を確認して、試験当日の天候対策の準備をしておくとよいでしょう。
【お天気別】気をつけたほうがよいこと&準備しておくとよいもの
ここでは、考えられる天候別に、どんな対策をしておくとよいかまとめてみました。
晴の場合
おそらくこの天候の確率が一番高いと思いますが、とにかく暑さ対策に重点をおく必要があります。一言で暑さ対策といっても色々と考えられますが、私自身の経験を踏まえていくつかご紹介します。
☑試験会場近くのホテルに前泊する
これは、自宅から試験会場へ行くまで、暑さで気力・体力を消耗しないように私がとっていた対策です。私自身は4回受けた税理士試験すべて試験会場近くのホテルに前泊していました。
☑汗拭きシートを持参する
色々なメーカーのものが販売されていますが、私は周りに迷惑が掛からないように無香料で冷感が強いものを毎回持参していました。特に試験会場に冷房の効いた受験生専用の待合室がない場合など、こうしたアイテムがあると多少クールダウンできます。
☑首に巻く冷却材を持参する
こちらも色々なメーカーのものが販売されていますが、35℃を超えるような場合には試験開始まで身に着けておくのも有効かと思われます。これも試験会場に冷房の効いた受験生専用の待合室がない場合など、こうしたアイテムがあると多少クールダウンできます。
☑刺激強めの目薬を持参する
特に気温が高いと目も乾きやすく、緊張して前日あまり寝れなかった場合は視界がぼんやりしてしまうので、私自身は刺激強めの目薬を持参していました。
☑日差し対策として帽子をかぶる
私自身は帽子ではなくタオルを頭に巻いていましたが、特に試験会場までの移動中の日差し対策として帽子をかぶるのをお勧めします。
☑飲み物を持参する
ペットボトルでもいいですが、ボトルまわりや底に結露で水滴がたまりカバンの中が濡れてしまったりすることが多いです(特に受験票など濡らさないように注意)。ですので、水滴防止用のペットボトルケースに入れて持参するか、もしくは水筒を持参したほうがよいと思います。
☑基本は薄着で1枚羽織れる薄手の上着を持参する
暑さに気を取られて薄着で行き、試験会場内が冷え冷えだった場合の対策も一応考えておく必要があります。私自身は、試験会場で冷房が効きすぎていたり、冷房直撃の席だった経験がないので、基本薄着(Tシャツ)で試験中に1枚羽織ったことはないですが、万一に備えて1枚薄手の上着を持っていくとよいかと思います。
曇の場合
過去の傾向からみると、曇で気温が高い可能性も十分考えられます。日差しがないぶん、晴で気温が高い場合よりも多少は行動しやすいので帽子などは不要ですが、それでも気温・湿度が高いことによる不快感はあります。暑さ対策として、先に紹介した方法をお勧めします。
雨の場合
過去の傾向からみると、雨の日は少なめですが、終日雨でなくても、にわか雨や一時雨などの可能性は考えられます。気温が高い中で雨が降ると湿度も高まり、より不快感が高まります。 基本的な暑さ対策は先に紹介した通りですが、雨の場合はタオルや傘を持参する必要があります。ほかには雨で靴やソックスが濡れる可能性が高いので、替えのソックスを1つ持参し、試験会場入りしたら履き替えるようにすると、多少は足元の不快感も軽減するかと思います。
また、昨今「ゲリラ豪雨」や「線状降水帯」といった災害級の大雨の頻度も増してきています。万一、試験当日にこうした災害級の大雨に見舞われた場合、公共交通機関の乱れも予想されますので、かなり時間に余裕をもって試験会場に向かう必要があるでしょう(先に紹介したように試験会場近くのホテルに前泊するのも有効です)。足元も長靴もしくはサンダルなど選択し、水分を吸収しやすいスニーカーのようなものは避けたほうが無難でしょう。
「ゲリラ豪雨」や「線状降水帯」は全国的に発生するというよりも特定のエリアで発生するものです。ですので、そのエリアに入った試験会場だけ試験時間を遅らせる等の対応を採ろうとすると他の試験会場との時間調整等も難しいので、個人的には試験運営側の弾力的な緊急対応にはあまり期待しないほうがよいと思います。
本試験を迎える受験生へのメッセージ
この記事が公開されている頃(試験1週間前)には、受験生の緊張感が最も高まってきている頃かと思います。
私自身は、受験する科目について当初思い描いていた理想の完成度に到達していたことは一度もなく、毎回不完全な状態で試験に挑んでいました。おそらくすべての受験生が不安全な状態なはずです。
試験に合格して税理士になった後も、日々学ばなければならないことがあり、知識が完全な状態になることはありません。ですので、不完全な状態であるからといって焦る必要はありません。
また、試験直前によくありがちですが、緊張を紛らわせるためにやりがちな勉強として以下のようなものが挙げられます。
- 高得点が取れる簡単な答練・過去問を解き直す
- 好きな論点、得意な論点の問題を解く
- ただ無心で理論を回す
「覚えたことを忘れないようにする」という観点からは、こうした勉強も意味はあるのかもしれませんが、これまでしっかり勉強してきた方であれば、覚えたことを試験までの1週間ですべて忘れてしまうことはないでしょう。
ですので、こうした勉強だけをやり続けるのではなく、まだ1週間あるので何か1つでも苦手な論点や未学習論点の勉強に少し時間を割いてみてはいかがでしょうか。
残り少ない勉強時間をどう使うか? 最後に少し立ち止まって考え、残り1週間、悔いのないように頑張ってみてください。
〈執筆者紹介〉
井上 幹康(いのうえ・みきやす)
天気予報のできる理系税理士 兼 不動産鑑定士
理系大学在学中に独学で気象予報士試験に一発合格したものの、その資格を生かした就職は叶わず。その後社会人となった後に理系から急遽方向転換し、働きながら4年で税理士試験官報合格を果たす。開業税理士として税務に従事すると同時に不動産鑑定士試験にも一発合格。現在は税理士と不動産鑑定士の二刀流で活動中。税理士向けセミナー講師や執筆活動も行っている。著書に『頻出事例・スキームにみる 非上場株式の評価Q&A60』、『税理士のための不動産鑑定評価の考え方・使い方』(中央経済社)がある。
井上幹康税理士不動産鑑定士事務所HP:http://mikiyasuzeirishi.com
note: https://note.mu/mikiyasuzeirishi