上野 雄史
今年は、日商簿記検定、または各種資格試験(公認会計士試験、税理士試験など)の受験生にとって受難な年となりました。各種試験が延期・中止になるなかでモチベーションを保ちづらくなっているのではないでしょうか。せっかく記事を書く機会をいただきましたので、モチベーションの低下が著しい方に向けたメッセージを書こうと思います。
日商簿記の学びはじめの人も中級者(2級以上を受験しようと思っている人)、上級者(税理士試験・公認会計士試験の受験予定者)もみんなにオススメなのは、決算を見てみることです。いわゆる「決算探究」です。
この時期、3月期決算の企業の多くが決算発表を行っています(もしくは、すでに終えています)。検索エンジン(Google)などで、「調べたい企業名+決算発表」と打つと、上場企業で3月期決算の企業であれば、何らかの情報が得られるはずです。自分の興味のある企業を調べてみましょう。
ヤマト運輸と日本郵便
どの企業も一律に新型コロナウィルス感染症のショックを受けているわけでありません。新型コロナ禍の緊急事態宣言中でも業務を止めることなく物流を担ってくれたヤマト運輸と日本郵便、両社の決算の情報を見てみましょう。
ヤマト運輸の2020年3月期決算はやや苦しい決算でした。営業収益1兆6,301億円(+48億円)、営業利益447億円(-136億円)、当期純利益223億円(△33億円)となっています(括弧内は前年度比)。増収減益という結果です。
これに対して増収増益を達成したのが、ライバルである日本郵便(日本郵政グループ)の決算です。営業収益2兆1,253億円(+103億円)、営業利益1,475億円(+261億円)を達成しました(括弧内は前年度比)。
新型コロナウィルス感染症の影響が本格化しはじめたのが今年の1月下旬からなので、影響度はまだわかりません。また法人向け宅配の需要については低迷する可能性がありますが、その分を個人宅配の需要で補えるかが、今決算期(2021年3月期)の注目すべき点ですね。