こんにちは、編集部です。
「会計人コースWeb」では、簿記検定や税理士試験、公認会計士試験など、“会計系資格”の受験に役立つ情報を提供しています。
この「会計人ペディア」は、読者の皆さんの「そもそも○○って何だろう?」という“ちょっとしたギモン”に応えるコーナーです。
これまでの取材や蓄積されてきた情報をもとに、編集部が率直にお答えします!
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いろいろある「簿記3級」
「社会人として簿記の知識は必要だよね」とか、「簿記をもっていると大学入試や就職・転職に有利になるみたいよ」といった話は、一度は耳にしたことがあるかと思います。
そもそも簿記には、いくつかの検定試験があるって、知っていますか?
何が違うかというと、それはズバリ、検定試験の主催者による違いです。
同じ「簿記3級」でも、主催者が違うと出題範囲が違ったり、合格率もけっこう異なったりするんですよね。
ここでは、日本で広く開催されている3つの簿記検定試験について、その特徴を簡単にご紹介します。
日商簿記―最もポピュラーな簿記検定―
まず1つめは、日本商工会議所が主催する「日商簿記検定試験」。いわゆる「日商簿記」です。
最上位級は1級で、2級、3級、そして簿記初級・原価計算初級と続きます。
2月・6月・11月と、年に3回の試験日が設けられていますが、2020年12月からは、2級・3級でいつでも受験できる「ネット試験」を施行することが公表されています。
新型コロナウイルスの影響もあって、今後、会場での試験がどうなるかわからないので、受験生にとってはうれしいですね。
ちなみに、「簿記初級」と「原価計算初級」はすでにネット試験が開始されています。
日商簿記が発足したのは、なんと1954年! 60年以上続いている伝統ある検定試験です。
受験生も多く、年間で50万人以上(2019年度)が受験しています。
とりわけ日商簿記2級は「企業が応募者に求める資格ランキングトップ10」(リクルートキャリア調べ、日本商工会議所のホームページを参照)で第1位に輝いたり、多くの大学では推薦入試の際の基準に活用されたりと、非常に高い評価を受けています。
なお、日商簿記1級に合格すると、税理士試験の受験資格が与えられます。
日商簿記は高校生から社会人まで、幅広い方が受験している印象がありますね。
全経簿記―合格率はわりと高め―
公益社団法人全国経理教育協会が主催する「簿記能力検定」。「全経簿記」という略称で耳にすることが多いです。
全経簿記も伝統がある簿記の検定試験で、1956年に第1回の試験が施行されています。こちらも60年以上の歴史があります。
最上位級は上級で、1級、2級、3級、基礎と続きます。上級に合格すると、税理士試験の受験資格が与えられます。
試験日は、2月・5月・7月・11月の年4回です(上級は2月と7月のみ)。
2019年度の受験者数は5万人強です。
個人的に受験生のモチベーションアップにつながると思うのが、科目合格を導入している点です。
全経簿記1級では、「商業簿記・会計学」と「原価計算・工業簿記」の両方に合格して「1級合格」となるのですが、どちらかの合格でも1級の「科目合格」となります。
つまり、「取得資格:全経簿記1級 商業簿記・会計学」などと、履歴書に書けるのです♪
日商簿記の同じ級と比べると、合格率は全経簿記のほうが高いので、日商簿記への足掛かりとして受験する方も多い印象があります。
全商簿記―大学入試にも活用可―
全国商業高等学校協会が主催する「簿記実務検定試験」。通称の「全商簿記」のほうが、耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
主催者が全国商業高等学校協会ですので、主に高校生が受験するための簿記の検定試験です。商業高校出身の方だと、ピンとくる方も多いのでは!?
試験は年に2回で、1月と6月に施行されています。
最上位級は1級で、2級、3級と続きます。
1級は「会計」と「原価計算」に科目が分かれていて、両方に合格して1級合格となります。
合格すれば経理事務などの職種に就職する際に有利になりますし、進学にあたっても1級は多くの大学や短大で推薦入試の基準となっている場合もあります。
また、簿記・会計は大学入学共通テスト(旧センター試験)の受験科目としても設置されていますので、全商簿記で学習する内容を大学入試の際に活用することもできます。
2019年度で最後になってしまったセンター試験ですが、税理士有資格者の吉岡のんさんが、YouTubeで「【センター試験】税理士有資格者が全力で「簿記会計」を解いてみた」という動画が面白かったです♪
まとめ
日商簿記、全経簿記、全商簿記それぞれに特徴があって、合格率も異なることがおわかりいただけるかと思います。
3団体の試験の合格率を並べてみると、だいたいこんな感じです。
【日商簿記】
1級……10%程度
2級……10~30%
3級……40~50%
簿記初級……50~60%
原価計算初級……90%程度
【全経簿記】
上級……20%程度
1級(商業簿記・会計学)……40%程度
1級(原価計算・工業簿記)……50~60%
2級(商業簿記)……40%程度
2級(工業簿記)……60~80%
3級……60~70%
基礎簿記会計……70%程度
【全商簿記】
1級(会計)……40%程度
1級(原価計算)……40%程度
2級……60~70%程度
3級……60%程度
これから簿記の勉強を始めようと思っている方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです♪