【連載】基礎力チェック! 消費税課税判定クイズ2024(第6回)


川上悠季(税理士)

【編集部より】
答練や模試が本格化する直前期は、難しい論点や新しい論点がつい気になるところです。しかし、どの科目においても、合否を分けるのは「基礎論点」と言われます。
そこで、本連載では、消費税の課税判定に関する○×問題を、税理士の川上悠季先生に週一ペースで出題していただきます(全8回)。各回、全5問なので、スキマ時間での基礎固めにぜひご活用ください!

こんにちは!税理士の川上悠季です。

前回に引き続き、直前期だからこそ大切にしたい消費税法の基礎論点の復習問題を出題します。

それでは早速、今週の5問に挑戦してみてください!

問題(全5問)

解答・解説

問1.

見舞金の授受は、消費税の課税の対象の4要件のうち「対価を得て行うものであること」の要件を満たさないため、課税の対象外(不課税取引)となります。

問2.

通常必要と認められる通勤手当の支給額は課税仕入れに該当し、課税製品の製造工場の工員に支給するものであるため、課税売上対応課税仕入れに区分経理されます。

問3.×

課税売上割合が著しく変動した場合の調整の規定における「著しく変動した場合」とは、「変動率が50%以上であること」及び「変動差が5%以上であること」のいずれも満たす場合をいいます。「超える」ではなく「以上」であることに注意しましょう。

問4.

六月中間申告に係る中間納付税額は、直前の課税期間の確定消費税額800,000円を直前の課税期間の月数(=12)で割り、6を乗じて計算します。この場合、端数処理に注意が必要となります。「除して乗じる」という順番で計算するため、計算式は次のようになります。

800,000円÷12×6=399,999.99999…円→399,900円(百円未満切捨)

(別解)
800,000円÷12=66,666.6666…円→66,666円(円未満切捨)
66,666円×6=399,996円→399,900円(百円未満切捨)

どちらの方法で計算しても必ず同じ数値になるため、どちらでも構いません。
数学的には「0.9999…=1」となりますが、税額計算上は「0.9999…」は円未満の端数として取り扱うことに注意しましょう。

問5.×

「特定新規設立法人」とは、その事業年度の基準期間がない資本金1,000万円未満の新規設立法人のうち、その基準期間がない事業年度「開始の日」において特定要件に該当し、かつ、新規設立法人が特定要件に該当する旨の判定の基礎となった他の者及びその他の者と一定の特殊な関係にある法人のうちいずれかの者の課税売上高(新規設立法人のその事業年度の基準期間に相当する期間における課税売上高)が5億円を超える法人をいいます。

特定新規設立法人の特定要件の判定は、その基準期間がない事業年度「終了の日」ではなく「開始の日」において行うことに注意しましょう。

学習到達度とアドバイス

いかがでしたか?

今回の問題は、問1は対価性の判定、問2は個別対応方式の区分判定、問3は著しい変動、問4は中間申告、問5は特定新規設立法人の論点から出題しました。

問1~2については確実に得点してほしいところですが、問3~5は、計算問題や理論暗記をだいぶやり込んでいないと解けないような難易度の高めの論点だったと思います。今回は、最低でも3点以上、できれば4点以上は獲得してほしいところです。
少し難しめの問題も含まれていましたが、間違えたところはしっかり復習するようにしましょう。

次回(7月26日掲載予定)の問題も、ぜひ挑戦してください!

第4回の正答率とフィードバック

「消費税課税判定クイズ」第4回の集計結果が出ました。
正答率は次のとおりです。

問1(人材派遣料に係る課否判定):95%
問2(電気通信利用役務の提供に係る国内取引の判定):74.3%
問3(リベートに係る売上返還等の適用判定):95%
問4(調整対象固定資産の意義):81.2%
問5(更生計画認可決定に係る貸倒控除の適用判定):92.1%

今回は問2の正答率が一番低くなっていました。電気通信利用役務の提供に係る国内取引の判定基準は、国境を越えて行われる役務の提供に関連する他の論点(リバースチャージ方式など)を理解するうえでの基礎となる重要な理論なので、間違えてしまった方はしっかり復習するようにしましょう!

<連載「基礎力チェック! 消費税課税判定クイズ」バックナンバー>
第1回 第2回 第3回 第4回

【執筆者紹介】

川上 悠季(かわかみ・ゆうき)

慶應義塾大学卒業。
23歳で税理士試験官報合格(簿記論、財務諸表論、法人税法、消費税法、事業税)。
2022年日税研究賞入選。2024年新日本法規財団奨励賞(会計・税制分野 優秀)受賞。
自身が税理士受験生だったときにスマホアプリ「消費税法 無敵の一問一答」を開発。「楽しく学ぶ」をモットーに、アプリやウェブサイト、SNSなどを通じて消費税法の知識を広く発信している。
・X(@YukiKawa_Tax 本人アカウント)
・X(@mutekishouhizei 消費税法一問一答アプリアカウント)
「消費税法 一問一答アプリ」公式ホームページ


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