白濵祐季
(30代、会社員)
<受験情報>
・合格科目:簿記論(令和4年度・2回目)、財務諸表論(令和5年度・2回目)、消費税法(令和5年度・初受験)
・学習スタイル:簿記論・財務諸表論→独学(資格の大原の模試パックという直前期の答練は受けています)、消費税法→資格の大原(通信講座)
・総勉強時間:2,263時間(簿記論670時間・財務諸表論512時間・消費税法1,081時間)
▶︎トップ画像は東亜大学大学院学位記授与式の日に脇田弥輝先生やゼミ生と撮った記念写真。前列右端が筆者(本人提供)
税理士を目指した理由
大学卒業後、11年間金融機関で営業をしていましたが、経営者の本業支援や金融支援にやりがいを感じつつも、ノルマのためにお客様の役に立たない商品を販売したり、聞きたくない上司の指示を聞かないといけないサラリーマン生活に嫌気がさしていました。
そんな時に、税理士になった友人から「3科目合格して、大学院で修士論文を書けば、税理士になれるよ」と教えてもらい、「え、めちゃくちゃ簡単になれそう」と思ったことや、もっと深く経営者に伴走して事業を支援・成長させる仕事がしたいと思ったことが税理士を目指すきっかけでした。
令和3年4月にその友人の話を聞き、早速簿記論の勉強をスタートさせました。
同年6月に金融機関を退職し、2ヵ月の受験専念期間を挟み、9月に税理士事務所へ転職しました。
また、自分自身の性格上、5年も10年も努力を継続することはできないなと思ったのと、なるべく家族に負担のかかる期間が短くなるように、大学院に通いながら税理士試験を突破する道を選びました。
令和3年度:初めての税理士試験(簿記論受験)
令和3年4月から簿記論の勉強を始めて挑んだ簿記論は不合格(55点)でした。
でも、5ヵ月足らずの勉強期間にもかかわらず55点だったことで、落ちたにもかかわらず「惜しかったし、次はいけるだろう」、「俺は税理士試験でも戦える頭脳を持っている」という今になると理解不能の勘違いをしてしまいました。
一方で、予定通り大学院には合格したため、2年目以降は大学院に通いながらの受験となりました。
令和4年度:簿記論・財務諸表論受験
令和3年度の試験が終わってからは、あまり勉強していませんでした。
というのも、簿記論の本試験の自己採点結果が予備校のボーダー付近で、税理士試験を甘く見てしまったこと、大学院の入試対策も並行して行っていたためです。
ところで、この年は4月から予備校の答練を申込んでみました。
「前年惜しくも落ちたこの俺様が予備校の模試を受けたら上位10%くらいに違いない」みたいな気持ちで受けた大原の初回の答練の結果が上位70%で、予備校生のレベルの高さと自分の不出来さに衝撃を受けたことを覚えています。
55点が惜しかったなんてただの勘違いで、自分は全然ダメなんだと思い知らされました。
そこから真剣に勉強を再開しました。
これまで周りに税理士受験生が一人もいない環境だったのですが、幸運なことに、大学院に入学して多くの簿記論・財務諸表論の合格者に勉強法や試験の戦い方を教えてもらうことができました。
特に簿記論は時間の使い方を意識することで成績が飛躍的に上がりました。
直前の模試では、簿記論はS判定、財務諸表論はB判定で、本試験に挑みました。
結果は簿記論には合格しましたが、財務諸表論は不合格(58点)でした。
令和5年度:初めての税法科目と2科目受験するかの葛藤(財務諸表論・消費税法受験)
この年は、独学だと学習が非効率になってしまうこと、前年に感じた予備校生のレベルの高さを考え、令和4年9月から予備校の講座(資格の大原・消費税法初学者一発合格コース)を受講することにしました。
講義はわかりやすいですし、週一の講義と定期的な模試により、勉強のリズムができました。
わからないところは気軽に質問できますし、予備校受講は正解でした。
常に他の受験生と競っているという環境も負けん気の強い自分に合っており、負けたくないという気持ちで1年を通して勉強できた気がします。
一方で、令和4年12月に財務諸表論が不合格となってしまったことで、2科目受験するか、消費税法のみに専念するかという決断をしなければならなくなりました。
会計科目は合格率のブレが大きく、合格率の高い年に当たるとチャンスということはわかっていましたが、共倒れになるリスクも考えて当初は消費税法1科目に専念するつもりでした。
しかし、受験仲間の「令和5年度は受験資格が撤廃されるし受験生のレベルが下がって、かつ、合格率が跳ね上がる」という根拠不明の猛プッシュに乗せられる形で2科目受験することにしました。
初めての税法の理論暗記に悪戦苦闘しながらも、直前の模試では消費税法S判定、財務諸表論A判定で、本試験に挑みました。
結果は、2科目とも合格し、大学院在学中に税理士試験3科目の合格を達成することができました。
消費税法は理論で勝つ
消費税法の合格の秘訣は、理論を完璧にしたことだと思っています。
というのも、年内の模試では上位1割くらいだったのですが、GW明けの答練期になると上位に入れなくなりました。その原因が理論でした。
答練上位の受験生の理論暗記は完璧です。
消費税法の理論も覚えていれば書けるものが多いので、そこで減点されたりすると差がついてしまいます。
一方で計算はミスもありますし、良くも悪くも差がつきにくく、計算で理論のビハインドを挽回するという戦い方は厳しいと思いました。
理論でアドバンテージを取りに行って、計算で予備校の上位3割ラインを死守という戦い方を意識してから成績が安定しました。
やってよかったこと
暗記した理論を何回も思い出す
理論暗記は苦痛でしたが、当日覚えた理論は、必ず寝る前に確認するようにしていました(寝ている間に記憶が整理されるからです)。
そして、朝起床したら、寝る前に確認した理論を思い出し、さらに日中、仕事中や仕事の休憩時間にも思い出すという作業を行っていました。
暗記は思い出す回数が大切で、ふとした瞬間に理論を思い出すという意識を常に持っていました。
大手予備校の答練をすべて入手して解く
消費税法に限ってですが、受講していた大原の答練だけでなく、受講していないTACの答練、両校の前年の答練なども入手して、解きまくりました。
少なくとも大手予備校で出題したことのある問題は押さえておこうとしました。
試験前(答練前)に見る間違いノートを作る
紛らわしい問題、忘れやすい項目、よくするミスなどをA4の用紙一枚にまとめて、模試や本試験前に確認していました。
本試験の戦い方:時間の使い方が勝敗を分ける
本試験は基本的に時間が足りません。
その中で、ライバルより優れた合格答案を完成させる必要があります。
いかに簡単な問題を取りこぼさず、点数を積み上げるのかが大切です。
そのために時間の使い方を意識しました。
簿記論と消費税法は110分で全ての問題を1周し、時間をかければ加点が見込める問題に余らせた10分を投下していました。
具体的には簿記論の問1・問2は25分ずつ、問3は60分の110分、消費税法は理論45分、計算65分の110分で1周と決めていました。
財務諸表論については、計算で点数を獲得するため、最大で計算80分、残った時間を理論という時間配分にしていました。
このようにすることで、あとで見て簡単だったのに手を付けられなかったという失敗がなくなり、バランスのいい答案を作ることができると思います。
おわりに
税理士試験の勉強を開始してから大学院の卒業までちょうど3年。
これまでの人生で一番真剣に勉強した3年間でした。
家族との時間や自分の時間を犠牲にしてなにをしているんだろう、諦めた方が幸せなんじゃないかと、何度も思いました。
そのたびに「お前が始めた物語だろ」という漫画のセリフを思い出し、自分を奮い立たせていました。
12月1日に国税庁からの封書が投函されており、震える手で封筒を開けました。
合格の文字があったときは、嬉しさと安堵で泣きました。(笑)
なにより、長い間負担をかけてしまった家族や応援してくれた人たちに合格を報告できたことが嬉しかったですし、祝福してもらうたびに、諦めずにやり切ってよかったと心から思いました。
今後は、資格取得を思い立ったときの目標である経営者に伴走する税理士を目指して、頑張ろうと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
この合格体験記を読んで、一人でも頑張ろうと思っていただけたなら幸いです。
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