【会計士合格体験記】 社会人受験生は戦略が命!「科目合格」を巧みに使って2年で論文式突破!


東原一峰
(30代後半、会社員(直前3週間はほぼ専念))

<受験情報>
学習スタイル:CPA会計学院(通信講座)
受験歴:短答式(令和3年5月)→1年間勉強を休み、論文式(令和3年8月)の受験は見送り→勉強を再開し、論文式(令和4年8月)で科目合格を狙い受験→論文式(令和5年8月)総合合格を狙い受験
▶︎トップ画像は愛用していた電卓(本人提供)

最初から「科目合格」を狙って勝負!

「社会人で勉強時間があまり取れないなか、短答式試験にはなんとか合格した! でも、論文式試験は科目も多いし、さすがに厳しい!!」

このような方、多いのではないでしょうか。

公認会計士・監査審査会が公表している令和5年合格者調を見れば、一目瞭然です。
論文式試験受験生全体に対する「学生&専修学校生&無職」の割合が72.3%なのに対して、合格者全体に占める同割合は82.3%と大幅アップ。
一方で、それ以外の働いている人は…論文式試験受験生のうち27.7%を構成しているのに、合格者で見ると17.7%にまでダウンしてしまっています。

つまり、乱暴に要約すると、「勉強時間があまり取れない人」にとって、論文式試験は短答式試験以上に相性が悪いのです。
私も同じように、とにかく勉強時間が足りなかったため、論文式試験を一発で合格するのは無理だと思っていました。

しかしながら、旧試験と違って、現在の公認会計士試験には科目合格制度があります。
偏差値56を取れた科目は2年先の受験時まで免除にできる、というものです。

「勉強時間が少なくても、この制度を使って受験する科目を2回に分ければいいだけじゃん!」

そのようにシンプルに考えた私は、予定通り受験科目を2回に分け、狙い通り2回目の受験で総合合格することができました。

この体験記では、そのときに私が取った戦略と「必ず勝てる」と確信していた根拠を述べていきます。

(念のため申し上げておくと、予備校などでは科目合格狙いはあまり推奨されておらず、勉強時間がたくさん取れる人は、最初から一発合格を狙ったほうがよいと思います。)

1回目は「企業法」一本!

実は私は、「受験科目を2回に分ける」と言っても、かなり極端な分け方をしました。
というのも、戦略を立てた時点で、1回目(令和4年8月)の論文式試験まで2ヵ月しか残っていなかったからです(いわゆる5→8受験の方には参考になるかもしれません)。

以下が受験した科目と偏差値です。

令和4年の科目合格時
・企業法/57.45

令和5年の総合合格時
・会計学/51.76
・監査論/52.60
・租税法/55.20
・経営学/61.60
→総合/54.11

1回目は企業法の一本勝負。これ以外は一切受けません。2回目で残りの科目を全部取る。

もちろん、受験生の置かれている環境や得意・不得意などもあるとは思いますから、多少のアレンジはよいと思います。
しかし、この作戦より確率が高い方法を、私は思いつきませんでした。

「戦術」ではなく「戦略」で勝利!

前提として、短答式試験に合格している人たちは、公認会計士試験の学習に対して極端なアレルギーはなく、また大体の受験生が同じような大手予備校の教材を使用しているため、問題の解き方にもさほど差は出ないと思っています。

そうであれば、一部の天才を除いて、勝負の分かれ目は「投入できる普段の勉強時間」と「直前の詰め込み」になると考えました。

このあたりを計算し、どの年にどの科目を受けるかを決めて合格率を上げていく。
「戦術」面ではみんな似たり寄ったりなので、「戦略」面で先に勝ちを確定させておき、あとは試験当日に平常心で淡々と進めるだけ。
理論上は、これで、合格できるのです。

イメージしてください。
2つの軍が戦っていて、両軍ともそれなりに訓練された兵士に同じ威力の弓矢を持たせたとしたら、どちらが勝つと思いますか。
きっと、「数が圧倒的に多い」とか、「丘のような有利な地形を占拠している」とか、そういう部分で、最初から勝敗はほぼ決まってしまいますよね。たとえると、そのような感じです。

なぜ「企業法一本勝負」だったのか

①科目ごとの特性から考える

では、なぜ戦略的に最も有利な科目選択が「企業法一本勝負」なのでしょうか。

論文式試験には、「科目合格しても、免除を使わないほうがよい」と言われている科目があります。
これは、受験生の間ではけっこう有名な話のようで、ずばり租税法です。

租税法は出題傾向が安定しており、過年度生など租税法にたくさん触れてきた人が、初学者に比べて順当に高い偏差値を取りやすいと言われています。

租税法は最終的に総合合格のために偏差値を牽引してくれる存在なので、あえて1年目は受けませんでした。

経営学も、租税法に比べれば出題傾向が不安定なところがあるものの、定番の計算問題の割合も多く、やはり過年度生に有利な気がします。よって、1年目はパスしました。

次に会計学も、1年目は受けません。
これは単純に、科目合格のハードルが高すぎるからです。
みんなたくさん勉強してきているので、今さら差をつけるのは難しいです。
(そもそも、会計学の配点は他科目よりはるかに大きく、ここで科目合格できるくらいなら総合合格できる気がします…。)

最終的に、監査論と企業法が残りました。
どちらの科目も、1年目に科目合格を狙うには悪くないと思います。
他のみんなが6科目を勉強しているなか、1科目に絞ってテキストや条文を読み、大手予備校のすべての答練や模試も確認すれば、まず負けることはないでしょう。
(ちなみに私は、最大手の模試を確認し忘れるという大失態を犯し、しかもその問題が本番で大的中。偏差値ギリギリの戦いになってしまいました。危なかった…。)

試験日程と時間割から考える

さて、ここから、監査論と企業法のどちらを免除することが、2回目の総合合格に結び付きやすいかを考えていきます。

これは、試験日程と時間割を見れば明らかです。

1日目
午前:監査論
午後:租税法

2日目
午前:会計学(管理会計)
午後:会計学(財務会計)

3日目
午前:企業法
午後:経営学

勝負の分かれ目の1つである「直前の詰め込み」を意識した場合、どちらの科目を免除するのが有利か、おわかりいただけたでしょうか。

大体の受験生にとって、直前の詰め込みが最も手薄となるのは3日目の科目になると思います。
なぜなら、試験初日の前日は監査論と租税法、1日目の夜には会計学の詰め込みを行うので、2日目の夜になってやっと企業法と経営学を詰め込むことができるからです。
少なくとも、その前の丸2日はまったく触れることができません。
かつ、4科目を受け終わった後で疲労困憊。体力も限界を迎えるなかで、企業法と経営学を詰め込もうにも頭になかなか入ってこないでしょう。

ここに 、最大のチャンスがあるのです!!

後述するように、2回目の論文式受験で、3日目の経営学をハネさせて総合合格を果たす。その伏線として、1回目の論文式受験を企業法に絞るのがベストだと考えました。

2回目の受験で「総合合格」を勝ち取るまで

私は1回目の受験で企業法の科目合格を得た後、2回目の受験に向けては残りの科目を平均的に勉強しました。

しかし、1か月ほど前から意図的に、経営学だけは勉強しないようにしていました。
なぜなら、経営学は最終日の最終科目。敵軍の戦力はもはやガタガタ。
ここが狩り場であって、「前日に詰め込みを行えば十分に間に合う」と確信していたからです。

そうなると、残りは科目合格している企業法も除けば4科目。
周りは6科目やっているわけですから、勉強時間のトータルでは負けていても、そこそこに勝負できます。

いよいよ試験本番。初日と2日目をなんとか耐えます。やや劣勢かな、とは思いつつも、平常心。

そして、2日目の会計学(財務会計)が終わった後、いよいよ私のボーナスステージが始まります!
他の受験生が企業法と経営学をどちらも詰め込むなか、私は経営学だけに集中することができるのです。

迎えた3日目の朝。他の受験生が、午前に企業法をヘトヘトになりながら汗だくで受験しているのに対して、私は会場近くの涼しいドトールでコーヒーを飲みながら、経営学を詰め込み続けます。
前日の夜からずっと経営学のことしか考えていないため、記憶が薄まることはありません。

そして午後になり、本番が始まります。昨晩からさっきまで、ずっと経営学しか勉強していませんし、体力も万全です。

これだけ有利な状況で、負けるわけがない!!  予定通り、企業法免除のおかげで経営学が少しだけハネて、総合合格を勝ち取ることができました。

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