連載 『会計士・税理士・簿記検定 財務会計のセンスが身につくプチドリル』(本試験直前総復習27)ー 外貨換算会計


長島 正浩(茨城キリスト教大学教授)

*税理士、会計士論文式試験直前の総復習として、本連載の復習問題を再掲載します。

Q1(空欄補充)
外国通貨については,(  ①  )の為替相場による円換算額を付する。
外貨建金銭債権債務については,(  ①  )の為替相場による円換算額を付する。
満期保有目的の外貨建債券については,(  ①  )の為替相場による円換算額を付する。
(  ②  )及びその他有価証券については,外国通貨による(  ③  )を(  ①  )の為替相場により円換算した額を付する。
子会社株式及び関連会社株式については,(  ④  )の為替相場による円換算額を付する。
(  ①  )における換算によって生じた換算差額は,原則として,当期の(  ⑤  )として処理する。

A
① 決算時
② 売買目的有価証券
③ 時価
④ 取得時
⑤ 為替差損益
*外貨建会計基準一2.(1)(2)
『子会社株式及び関連会社株式だけがHRで,その他はCRと覚えておこう!』(桜井23版,402頁〔図表14-3〕)

Q2 決算時における外貨建資産負債等の円貨額への換算方法について,代表的なものを4つ挙げなさい。


(1) 流動・非流動法
(2) 貨幣・非貨幣法
(3) テンポラル法
(4) 決算日レート法
*外貨建会計基準の設定について二1.(1)
『決算日レート法は,在外支店や在外子会社の財務諸表の全体を単一レートで換算し,現地主義の思考に立っている!』(桜井23版,397-399頁)

Q3 外貨建取引の発生日から当該取引に係る外貨建金銭債権債務の決済日に至るまでの間の為替相場の変動による為替差異すなわち為替換算差額及び為替決済損益の処理にあたり,考えられる二つの基準とは何か?


一取引基準:一取引基準とは,決済日基準ともいい,外貨建取引から当該取引に係る外貨建債権債務の円決済取引までを一つの取引とみて換算処理を行う方法である。すなわち,外貨建取引と為替決済取引とを一体とみる換算処理方法である。
二取引基準:二取引基準とは,取引日基準ともいい,外貨建取引と当該取引に係る外貨建債権債務の円換算(決済以前の決算日に行う換算)や円決済取引を別個独立した取引とみて換算処理を行う方法である。すなわち,外貨建取引と為替決済取引とを区別する換算処理方法である。
*外貨建会計基準の設定について二1.(2)
『外貨建取引はとにかく日本円で仕訳をしてみるとよい。図表14-4の仕訳の対比がわかりやすい!』(桜井23版,404-405頁「設例2」)

Q4 外貨建金銭債権債務はなぜ決算時の為替相場により換算替えするのか?


貨幣・非貨幣法:外貨建金銭債権債務については,外貨額では時価の変動リスクを負わず,したがって時価評価の対象とならないものであっても,円貨額では為替相場の変動リスクを負っていることを重視し,流動・非流動法による区分は設けずに決算時の為替相場により換算することを原則とするからである。
*外貨建会計基準の改訂に関する意見書二1.(1)
『要するに貨幣・非貨幣法を採用しているということである!』(桜井23版,402-403頁)

Q5 為替予約が付された外貨建取引の会計処理にはどのような方法があるか?


為替予約が付された外貨建取引の会計処理には,独立処理と振当処理がある。
独立処理は外貨建取引と為替予約を別個の取引とみなし,それぞれについて会計処理を行う方法である。
振当処理は為替予約によって確定した日本円の金額を,外貨建取引に振り当てて記録する方法である。
*外貨建会計基準一1.,同注解【注6】【注7】,金融商品会計基準25項
『原則は独立処理だが、振当処理を採用してもよいことになっている!』(桜井23版,407頁)

◎復習しましょう!
1.CF計算書
2.一株当たり当期純利益
3₋1.金融商品会計①‐⑦
3₋2.金融商品会計⑧‐⑭
3‐3.金融商品会計⑮‐⑳
4-1.棚卸資産会計①‐⑥
4-2. 棚卸資産会計⑦‐⑫
5‐1.収益認識会計①‐⑦
5₋2.収益認識会計⑧-⑫
6.リース会計①‐⑥
7.固定資産の減損①‐⑩
8.ソフトウェア会計①‐⑥
9.研究開発費会計①‐⑦
10.繰延資産①‐⑦
11.退職給付会計①‐⑥
12.資産除去債務①‐⑥
13.税効果会計①‐⑥
14.ストック・オプション会計と役員賞与(報酬)会計①‐⑧
15.自己株式①‐⑦
16.準備金の減少①‐⑥
17.純資産の部の表示①‐⑦
18.株主資本等変動計算書①‐⑤
19-1.企業結合会計①‐⑦
19-2.企業結合会計⑧‐⑫
20.事業分離会計①‐⑤
21.連結会計①‐⑥

〈執筆者紹介〉
長島 正浩
(ながしま・まさひろ)
茨城キリスト教大学経営学部教授
東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。簿記学校講師,会計事務所(監査法人),証券会社勤務を経て,専門学校,短大,大学,大学院において非常勤講師として簿記会計や企業法を担当。その後,松本大学松商短期大学部准教授を経て,現在に至る。この間35年以上にわたり,簿記検定・税理士試験・公認会計士試験の受験指導に関わっている。

*本連載は,『会計人コース』2020年1月号付録『まいにち1問ポケット財表理論』に加筆修正したものです。


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