【税理士・財務諸表論】理論が1本の線になる! かえる先生が教える「基本書」の読み方


諸角 崇順

【編集部から】
税理士試験の“新年度”がスタートした9月は、比較的時間に追われず勉強に集中できる時期。
そんな時期だからこそ、腰を据えて「基本書」を読むこともできると思われます。
そこで、受験生時代に学習に「基本書」を取り入れられ、現在も「基本書」の活用を推奨されている、“かえる先生”こと諸角先生に、「基本書」の選び方・読み方を教えていただきました。

今回は、新たに財務諸表論を学習しようとしている方、今年度の試験が終わって財務諸表論にリベンジを誓った方に向け、2回にわたって、今だからこそ取り組んでほしい「基本書の読み込み」についてアドバイスをします。

①「基本書」の選び方はこちらから
②「基本書」の読み方(本記事)

効果を最大化する「基本書」の読み方

まずは、新聞を読むような感覚で読んでみましょう。皆さんは新聞を読む際、わからない言葉が出てきても、そのつど、辞書で調べたりはしないですよね。

「基本書」も同じです。少しぐらいわからない言葉があったからといって、そのつど辞書で調べたりすることで思考の糸が切れてしまうほうがデメリットは大きいので、とりあえず軽い気持ちで最初から最後までザッと目を通してみましょう。

これによって、皆さんが学習する「財務諸表論」という科目が、何を対象とした学問なのか、なんとなく見えてくると思います。

9月は専門学校の講座も開講しますが、今後もできれば月に1度のペースで「基本書」を通読してください。その際、1点だけ気をつけてほしいことがあります。

それは、「基本書」の1ページから最終ページまで、他の作業や睡眠を挟んだりせず一気に読みきる、ということ。

「基本書」の通読は、いま学習している論点が、どの論点とどのように絡むのかを把握する作業です。途中で別の作業をしてしまうと、せっかく読んだ内容を忘れてしまい、論点のつながりに気づけないことになりかねません。

この「基本書」の通読を9月から4月ぐらいまで継続すれば、専門学校で暗記する個別理論が、1つの線となってつながるはずです。そうなると直前期には、暗記しただけでは解答できないような横断的な知識を問う問題にもある程度対応できるようになると思います。だまされたと思って一度試してみてください。

また、このように通読するほか、もちろん辞書として「基本書」を使うこともできます。普段の学習でわからないことがあったとき、信憑性の判断がつきにくいインターネットに頼らず、正確な情報を調べることができるのも「基本書」の利点です。

私の本棚にある「基本書」

最後に、私の本棚にある財務諸表論の「基本書」を参考までに紹介します。

並木秀明著『税理士・会計士・簿記検定はじめての会計基準』(中央経済社)

「基本書」の「基本書」としてオススメです。簿記論・財務諸表論ともにはじめて学習する方は、このような書籍から入ったほうが理解は早まると思います。「基本書」の「基本書」は、実務家が書いたものでも、マンガ形式のものでもかまいません。

井上達男・山地範明著『エッセンシャル財務会計』(中央経済社)

私の「基本書」です。

桜井久勝著『財務会計講義』(中央経済社)

困ったときに頼る辞書的使用もできるバイブル。

これら3冊は、常に最新版が出れば買い換えています。また、この他にも適宜必要に応じて、さまざまな書籍を買っています。

ほかにも、「基本書」の「基本書」としては、少し古い書籍となりますが、天野敦之著『会計のことが面白いほどわかる本<会計の基本の基本編>』(KADOKAWA)もわかりやすいかもしれません。

さいごに

「基本書」とどれだけ仲良くなれるかが、理論の攻略ポイントです。

しかし、この「基本書」の読み込みは即効性のあることではありません。4~5ヵ月では、理論の実力アップを実感できないと思います(財務諸表論の全範囲が対象となっているので当たり前といえば当たり前なのですが)。

そのため、途中で投げ出したりせず、とにかく来年の直前期まで継続してもらいたいと思います。

がんばってください!応援しています!!

<執筆者紹介>
諸角 崇順(もろずみ・たかのぶ)

大学3年生の9月から税理士試験の学習を始め、23歳で大手資格学校にて財務諸表論の講師として教壇に立つ。その後、法人税法の講師も兼任。大手資格学校に17年間勤めた後、関西から福岡県へ。さらに、佐賀県唐津市に移住してセミリタイア生活をしていたが、さまざまなご縁に恵まれ、2020年から税理士試験の教育現場に復帰。現在は、質問・採点・添削も基本的に24時間以内の対応を心がける資格学校を個人で運営している。

ホームページ:『かえるの財務諸表論』 (peraichi.com)


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