編集部
「税理士試験」に興味をもっているけれど、よく試験のことを知らない、何から手をつければよいのかわからない…と思っている方はいませんか?
本記事では、「税理士試験」について、編集部がQ&A形式でお答えし、少しでもあなたの疑問を解消していきます。
今日から9月。専門学校などでは来年度の試験に向けた講座も始まり、税理士試験における“新年度”がスタートします!
ぜひ「スタートガイド」として、本記事を参考にしてみてください。
Q1 「税理士」になる方法は?
まず、税理士になるには、3つの方法があります。
1つ目は、税理士試験に合格することです。これがもっとも一般的な方法だと思います。「合格」といっても、11科目のうち5科目に合格するか、大学院で修士論文を作成して一部の科目免除を受けるか、といった方法があります。
2つ目は、公認会計士あるいは弁護士の資格を有することです。これらの資格は、それぞれの試験に税務に関する内容が含まれているため、要件を満たして税理士登録をすれば「税理士」を名乗ることができます。
3つ目は、税務署等で国税従事者として勤務した経験があることです。「税務署OB税理士」といわれ、一定年数以上、国税庁や税務署に勤めた税金のスペシャリスト! 国の財政基盤を支える仕事に従事したのち、要件を満たせば税理士試験を免除されます。
Q2 税理士試験っていつ行われるの?
税理士試験は年に1回、例年8月に連続3日間で実施されます。今年度(第72回)の試験は8月2日(火)~4日(木)に実施されました。
なお、今年度の合格発表は11月30日(水)に予定されています。
Q3 税理士試験の内容は?
税理士試験の形式は筆記試験で、科目数は計11科目あります。
このなかから5科目(会計2科目+選択必須科目を含む税法3科目)に合格することで「官報合格」となります。ちなみに、「官報」に受験番号と氏名が掲載されるので、「官報合格」といいます。
会計科目(必須科目) | 簿記論 財務諸表論 |
税法科目(選択必須科目) | 法人税法 所得税法 |
税法科目(選択科目) | 相続税法 消費税法/酒税法 国税徴収法 住民税/事業税 固定資産税 |
簿記論・財務諸表論は「必須科目」として、2科目の両方に合格しなければなりません。
法人税法・所得税法は「選択必須科目」として、どちらか1科目には合格しなければなりません。
消費税法と酒税法、住民税と事業税は、どちらか1科目しか受験できません。
上記の表を見ると、ひと目で科目数が多いことがわかりますね。また、どの科目が合格しやすいのか、試験範囲が広いのか、疑問に思う点はいくつもあると思います。
実際のところ、どの科目を受験しようかと迷ってしまう受験生は多いです。科目によって特徴はさまざまなので、会計人コースWebの他の記事も参考にしてみてください。
また、Q1で触れたように、「大学院で修士論文を作成して一部の科目免除を受ける」という方法もあります。
大学院において「会計」または「税法」に属する科目を一定単位修得し、かつ修士論文が認められれば、税理士試験の試験科目の一部が免除されるのです。
「会計」の場合は会計1科目が免除され、「税法」の場合は税法2科目が免除されます。
なお、「税法」の場合は税法1科目には合格しなければいけませんが、これは法人税法・所得税法の選択必須科目である必要はありません(たとえば、「簿記論・財務諸表論・消費税法」などといった組み合わせも考えられます)。
Q4 試験には5科目一気に合格する必要があるの?
いいえ、税理士試験は一気に5科目を受験し、合格する必要はありません。現実的に5科目一気に受験するとなると、かなり厳しい状況になるでしょう。
そこで、税理士試験には他の試験にはない特徴があります。
特徴1 試験科目を選べる
必須科目また選択必須科目以外は、難易度や自分の得意分野などを考慮して選ぶことができる「選択制」です。
特徴2 科目合格は一生モノ
税理士試験は、一度の受験で5科目すべてに合格しなくてもよい「科目合格制」です。また、一度科目に合格すると、その合格科目は一生有効です。毎年1科目ずつ受験する人や2科目まとめて受験する人など、受験の仕方はさまざまです。
Q5 受験資格はどうなっているの?
今年度までは誰でも受験できる試験ではありませんでしたが、令和5年度の試験からは、簿記論・財務諸表論については受験資格の制限がなくなります。
これまでは、「大学を卒業し、特定の科目を履修している」、「日商簿記1級に合格している」など、何らかの受験資格に当てはまらなければいけませんでしたが、それがなくなるので、たとえば高校生や大学1年生・2年生といった、より若い世代の受験も可能になります。
また、日商簿記や全経簿記の学習を挟まず、最初から簿記論・財務諸表論の勉強を始めることも可能です。
なお、税法科目については、受験資格は大きく3つに分けられます。
- 「学識」による受験資格
大学、短大または高等専門学校の卒業者で、社会科学に関する科目を1科目以上履修している 等
- 「資格」による受験資格
日商簿記検定1級合格者、全経簿記検定上級合格者
- 「職歴」による受験資格
定められた業務に一定年数従事した者
とくに、「学識」や「職歴」による受験資格は、さらに細かく定められています。
【参考】税理士試験受験資格の概要(国税庁)
さいごに
ここまで税理士試験についてサクッと紹介してきましたが、いかがでしたか? 少しでも試験に関する疑問を解消できれば幸いです。
また、「国家試験で難しそうだから…」とあきらめなくても大丈夫。まずは、日商簿記検定や全経簿記検定の受験を検討してみてはいかがでしょうか?
これらの学習範囲は税理士試験の学習範囲でもありますので、将来的に税理士試験を受験するのであれば、きっと役立つはずです。試験も年に3~4回とチャンスも多いので、力試しで受験する方もいますし、学習しておいて損はないといって受験される方もいます。
まずは、チャレンジしてみましょう!
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