【税理士試験】明日、簿記論・財務諸表論・消費税法を受験する方へ


明日から3日間にわたって、令和4年度(第72回)税理士試験が実施されます。

そこで、1日目の科目のうち簿記論・財務諸表論・消費税法について、「会計人コースWeb」でおなじみの先生方から、試験前日の応援メッセージをいただきました。

簿記論・財務諸表論
 並木 秀明 先生(千葉経済大学短期大学部教授)
 穂坂 治宏 先生(税理士)
消費税法
 加藤 久也 先生(税理士)
 許斐 活範 先生(資格の大原)
 山本 和史 先生(ネットスクール)

簿記論・財務諸表論

並木 秀明 先生(千葉経済大学短期大学部教授)

簿記論について

事前にすることは、第一問・第二問・第三問の構成とボリュームの把握である。
第一問はこだわれば45分は使うし、第二問も同様に45分を使う。そうなると第三問は残り30分となる。この時点で失敗である。
知識を一定とすると、戦略で差がつくのが簿記論である。簿記論で難しいのは時間配分である。
第一問が途中でも、時間がきたら、第二問へ移らなければならない。
第二問が途中でも、時間がきたら、第三問へ移らなければならない。
個人的には、第一問にかける最大時間は35分、第二問も35分、残り50分を第三問に割り当てるべきだと思う。
第三問は50分では仕上がらないのは周知の事実である。それなら「配点の一番大きい第三問から解けばよい」と考えることもできる。
しかし第三問は、90分またはそれ以上に時間をかけることができる「大きな問題」であることが多い。
解く順番を間違えると、第一問・第二問は白紙になる可能性もある。やはり簿記論は、順序よく第一問から解くべきであろう。
試験後、さまざまな意見が飛び交うのが簿記論の解法である。しかし、われわれが直面しているのは、未来の対応である。正攻法が最大の対策であることを強調しておく。

財務諸表論について

財務諸表論は、第一問・第二問の理論に合計45分、残り75分を第三問の計算にかけたい。理論に60分以上かけたら失敗である。
簿記論同様に、考えるべきは未来の対応である。事前の決定は悪いことではない。
「いつあるかわからない、とっさの好判断」も正攻法から生み出されるのである。

試験会場へ持参する物

●電卓と筆記具は武士の刀と同様である。

電卓はキーの配列が同じものを2台持参したい。実際、私の受講生で試験中に電卓が壊れるという不幸に直面した人もいた。
筆記具は、愛着のある1本と保険として数本を持参する。私は100円から数万円までボールペンを趣味の文具として使用しているが、普段使いの100円のボールペンが見当たらないと不思議にうろたえてしまう。手垢のついた1本は過去の努力を彷彿させる。決して安易に選んではいけない。

●時間を味方にするためには、デジタル時計よりアナログ時計で残り時間を視覚的に確認したい。「電池切れ」なんてことのないように、邪魔にならない大きさのものが2つあるとよい。あまり意識してもいけないのが時間であるから、1つは「さりげなくおいて置く」、そんな程度でよい。

●その他、1年努力して作成したノートなどがあれば持参したい。「試験会場に到着したら覚えよう」なんてことはできないが、自信につながるアイテムは準備しておこう。

試験前夜

明日は、学校に行くがごとく、会社に行くがごとく試験会場に向かえばよい。
また、前日の睡眠不足は「当然」であろう。寝れればよし、寝れなくてもよし。
緊張していれば、普段通りの実力は発揮できるものである。
本番になると緊張して体がふるえる。それが「自然の状態」であることを知って身構えるのが最良の対応である、と「禅の言葉」にある。
緊張感に満たされた状態で自分のできる最善を尽くす努力をする、それが人間である。

穂坂 治宏 先生(税理士)

簿記論では、取捨選択が重要です。

いい取捨選択を行うには、時間配分と問題をよく読んだうえでの大胆な戦略が重要です。
失点につながるミスは、問題の読み飛ばしや読み間違いによって起こることが多く、これを減らすには問題をいかに上手く読めるかにかかっています。
まずは心を落ち着かせるためにも、すべての用紙を1枚ずつめくることからスタートです。

財務諸表論の理論では、問に対する端的な解答を心がけましょう。

しっかりと問題を読み、問に耳を傾ける必要があります。
計算も含めて取捨選択が大事なのは簿記論と同じです。
理論が難解で計算で点が取りやすい傾向は続きますが、何があるかわかりません。
かつて簿記論で期中資料がビッシリ記載されたA3の用紙が添付されたことがありました。
見慣れぬ出題形式に、かなりの番狂わせもあったようです。
簿記論・財務諸表論ともに、長い目でみると出題形式や内容が奇抜なことは少なくありません。

不確実性に満ちた税理士試験で最も重要なのは「最後まで諦めない強い気持ち」です。

難易度を自分で決め付け、難しいから諦めるなどということがないよう、最後まで絶対に諦めることなく、本試験に挑んでください!
その粘りが必ず合格につながります。
合格、祈念しています!

消費税法

加藤 久也 先生(税理士/名城大学大学院非常勤講師)

1.前日の過ごし方

明日、実力を発揮するための準備をしておきましょう。とはいえ、変わったことをする必要はありません。普段通りの生活を心がけてください。解き慣れた2時間の問題を、明日の試験時間と同じ時間に解いてください。そして、理論・計算の最終確認をしてください。それだけで十分です。
明日の準備を済ませておきましょう。持ち物、着るもの、交通機関が不通になったときの代替ルートもあらかじめ考えておくとよいでしょう。
眠れなくても大丈夫です。体を横にして目をつむるだけでも、脳を休ませることができます。

2.当日

忘れ物がないか、もう一度確かめてください。時間に余裕をもって出かけ、交通事故には十分気をつけましょう。

3.試験問題の解き方

試験開始の瞬間を無事迎えることができれば、あとは一心不乱に問題に取り組むだけです。
「訓練は実践の如く、実践は訓練の如く」。いつもと変わったことをしてはいけません。模擬試験と同じように解答してください。いつもの解き方が、あなたにとって最良の解き方です。
合否を考えず、目の前の問題を解くことに集中しましょう。

4.最後に

緊張すること、合格するか不安に感じること。
それは合格に近づいている証拠です。今日まで真剣に取り組んできたからこそ、緊張するし、不安に感ずるのです。ゴールはもうすぐそこまで来ていると思ってください。

許斐 活範 先生(資格の大原)

いよいよ本試験が明日となりました。
いろいろと不安を感じてしまうときですが、多くの時間をかけ準備されてきた大切な試験ですから、それは当然のことで、これまで努力されてきた証です。少しだけ自分を褒めてあげてください。

本試験は勝ち負けの世界です。最後は勝負にこだわりましょう。
スポーツの世界と同じことが言えますが、弱気は禁物! でも、カラ元気で強がる必要もありません。勝負に集中し粛々と本試験に臨みましょう。
私の講師としての経験上、そのような受験生の方が高確率で合格されています。

今日は本試験前日ですから、最後の勉強はほどほどに、リラックスして気持ちを整理する時間を設けてください。
他科目に合格されたときなど、これまでの成功体験を思い出して、そのときの思考方法や時間の過ごし方をイメージするのも大変有意義です。

最後に、試験に臨む際の注意点です。

① 時間配分・時間管理を常に意識する

過ぎた時間は元に戻せません。

② 未学習項目に時間をかけすぎない

未学習項目は合否を分けるポイントになりません。自分だけができないわけではないのでこだわりすぎないこと。

③ いつものように普通に考える

本試験だからと勘ぐるのはやめましょう。本試験問題は意外と素直で、ほとんど引っ掛けは出題されていません。

皆さんの消費税法合格、お祈りしております! もう一頑張りです!

山本 和史 先生(ネットスクール)

令和4年度(第72回)税理士試験に向けての受験勉強、たいへんお疲れ様でした。いよいよ明日がその試験日ですね。

今日まで皆さんは理論の暗記、計算問題の解答練習と、さまざまな受験勉強をされてきましたが、それが報われるときがやってきました。

明日、簿記論や財務諸表論の受験後に消費税法を受験する方は気持ちを一新し、消費税法のみ受験する方も猛暑の中で試験会場に向かうことになるので、熱中症対策をあわせてお願いします。

試験が始まったら問題文をよく読み、どこにどのような資料が与えられているかを確認し、解答できる箇所から自分のペースで解答していくようにしてください。

税理士試験は「難しい箇所が解答できたから合格」ではなく、「解答できる箇所で取りこぼしをしない」ことが合格に結びつきます。

受験生の皆さんが普段の実力を発揮し、合格点を獲得できるよう祈願いたします。


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