この春から始めたい、税理士試験「簿記論・財務諸表論」―②レベル別!勉強の始め方は?


資格の学校TAC講師 加茂川 悠介

【編集部から】
令和4年度となりました。いよいよ来年度の税理士試験から会計科目(簿記論・財務諸表論)の受験資格が撤廃されます。

それは、税理士試験の入口でもある簿記論・財務諸表論を受験するハードルが下がり、「誰にでも挑戦できるチャンス」が生まれるということ。

来年度の話だし、まだ先のこと……と思う方もいるかもしれませんが、資格の学校TAC税理士講座の加茂川悠介先生は、新しく簿記論・財務諸表論の勉強を始めるなら「今が絶好のタイミング」と話されています。

前記事に引き続き本記事では、簿記論・財務諸表論に関心のある方に向け、勉強の始め方をレベル別にアドバイスしていただきました。 

簿記をまったく勉強したことがない場合
簿記3級レベルの場合
簿記2級レベルの場合
簿記1級レベルの場合

簿記をまったく勉強したことがない場合

まずは、市販の教材でかまいませんので、簿記初級や簿記3級の学習から始めてみてください。

1人で教材を読んでみて「少しわかりにくいな」と感じた場合は、予備校に通うのも効果的な手段です。

ひととおり学習ができたら、簿記初級や簿記3級の本試験にもチャレンジしてみましょう!

簿記3級レベルの場合

3級の学習を終えた方や3級に合格した方は、ひととおり「簿記の流れ」というものがわかっていると思います。

そのため、今すぐ簿記論・財務諸表論の勉強を始めることも十分可能です。

もちろん「先に2級を取得してから」という考えもあると思いますが、税理士試験の場合、2級から登場する「工業簿記」は出題範囲ではありません。

税理士試験の勉強を早く始めたい」のであれば、簿記論・財務諸表論の勉強をスタートさせましょう!

ただ、3級レベルの場合、簿記論・財務諸表論の最初の導入部分で苦労されるかもしれません。そのため、予備校などを利用するのも1つの手です。

たとえばTACでは、「税理士スタート講座」といった、税理士試験の勉強を本格スタートする前に、必要となる知識を再確認できる講座があります。

そういった講座を受けてみて、土台となる知識を吸収するのもよいでしょう。

簿記2級レベルの場合

2級の学習をしている方や2級に合格した方は、十分に税理士試験の勉強を始める力がついているので、1日でも早く勉強をスタートさせましょう!

本試験まで、できるだけ集中して「長く」勉強すれば、それだけ合格に近づくからです。

勉強方法としては、市販のテキストなどを利用して独学してもかまいませんし、予備校に通うのもよいでしょう。自分の生活スタイルに合わせて考えてみてください。

ちなみに、簿記論・財務諸表論の合格は、独学でも不可能ではありません。ただし、私自身の経験から言いますと、予備校などを利用したほうが、より効率的に合格へと近づけるかと思います。

簿記1級レベルの場合

1級の学習をしている方や1級に合格した方は、かなりの実力者です。すぐにでも税理士試験の勉強をスタートしてください! 

ただ、ここまでの話からすると「1級の勉強は無駄なのか」と感じる方もいるかもしれませんね。

そんなことは決してありません。努力して積み上げてきたことは、税理士試験でも大いに活かすことができます!

私の受講生を見ても、計算力のある方は1級合格者であることが多いです。

また、これまでの受験資格の影響もあってか、税理士受験生のなかには、まだまだ1級合格者もたくさんいると思います。

勉強方法としては、他の場合と同様、市販のテキストで独学か、予備校か、自分の生活スタイルと合わせて選びましょう。

財務諸表論の「理論」はどう勉強するのか

最後に少し、財務諸表論の「理論」について、お話しします。

前回説明したように、税理士試験の簿記論は、すべてが計算問題です。そのため、日商簿記などで簿記を学習したことのある方は、簿記論には比較的取り組みやすいかもしれません。

しかし、財務諸表論では半分、理論問題が出題されます。もちろん、市販のテキストや予備校のテキストなどで理論の学習をすることは可能です。

ただ1つ気になる点は、理論問題の形式として論述問題があるということです。

それは、ただ理論を学習するのではなく、「限られた時間内にポイントを押さえて、文章をまとめる」練習が必要だということです。

その際は、「自分の書いた文章がちゃんと採点者に伝わるか」を意識することも大切です。

こういった観点からも、予備校などを利用して、自分の書いた文章を「他者(講師)の目で評価してもらう」という機会を作ることがおすすめです。

さいごに

前記事も含め、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

最近では、「学生時代に力を入れたこと」(いわゆる「ガクチカ」)がない大学生が増えているなど、ニュースになっています。

コロナ禍のなか、何をどう頑張ればよいのか、悩みながら過ごされた学生の方もいると思います。

そのような状況下、簿記論・財務諸表論の勉強を「ガクチカ」の1つにしてみるのはどうでしょうか。

社会人の方にとっても、簿記論・財務諸表論の勉強は、キャリアアップにもつながると思います。

この記事を読まれた方のうち、1人でも多くの方が税理士試験の勉強をスタートしてもらえると幸いです。

【執筆者紹介】
加茂川 悠介(かもがわ・ゆうすけ)
税理士、CFP®。中央大学法学部、早稲田大学大学院法学研究科修了後、大手専門学校で教鞭をとる。その後、立命館大学大学院法学研究科で税法を学び、会計事務所勤務を経て、財務捜査官採用試験に合格。宮城県警退職後、資格の学校TAC税理士講座で講義を行う。現在、TACほか芦屋大学や近畿大学等でも講義を行い、日々、わかりやすい講義に向けて自己研鑽している。


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