【インタビュー】簿記2級から税理士試験へ! 簿・財独学合格者に聞く学習のツボ


税理士試験に挑戦するとなると、その前段階として簿記2級や1級を受験する方も多いと思います。

簿記2級・1級に合格することで、税理士試験の土台もできあがりますよね。

もちろん、受験資格さえあれば、簿記2級・1級を受験せずとも税理士試験に挑戦することは可能ですが、その場合、どのように勉強するとよいのでしょうか。

税理士を目指すなら、なるべく最短ルートで合格したいと思う方も多いはず。

そこで、簿級2級の学習後、税理士試験の簿記論・財務諸表論に独学で挑戦し、2021年度試験に合格された早起きプログラマーさん(ペンネーム)にお話を伺いました。

簿記2級は未受験、そのまま税理士試験へ

―—はじめに、簿記2級の学習後、税理士試験に挑戦しようと思った理由を教えてください。

早起きプログラマーさん 2020年4月、職場の配置転換で経理業務に就くことになり、「簿記2級レベルの知識が必要」と先輩に教わったので、簿記2級の勉強を始めました。

そのなかで簿記を学ぶ面白さを知り、もともと仕事でプログラミングをしていて電卓などキーボードを打つことが好きだったので、もう少し勉強を続けたい、もっと難しい問題を解いてみたいと思ったのが税理士試験に挑戦した理由の1つです。

社会人が公認会計士試験に合格するのは難しいというネット記事を見たこともあって、社会人の受験者が比較的多い税理士試験を選びました。

仕事で工業簿記が必要とされなかったこと、また簿記2級に合格すること自体が目的ではなかったことから、商業簿記だけを勉強して、2020年8月から簿記論・財務諸表論の勉強を始めました。

簿記2級で「簿記の5要素」をしっかり理解する

――簿記論・財務諸表論に合格した今、簿記2級の学習で「やっておいてよかった」と思うことはありますか?

早起きプログラマーさん 「簿記の5要素」を理解することです。資産・負債・純資産・費用・収益のそれぞれがどのようなもので、これが増えた/減ったとはどういうことなのか。仕訳1つにしても、「資産が増えたから左、負債が増えたから右」というように、常になぜそうなるのかを意識していました。

初歩的なことかもしれませんが、簿記2級で本質を理解したことが税理士試験でも役に立ちました。

税理士試験の場合、問題そのものが難しいというより、問題文の読み取りが難しいという面があると思っています。そんなとき、簿記の原理がわかっていれば、「原則的に考えたら、こういう処理をするしかないよね」と筋道を立てることができます。

はじめて見るような問題があっても、慌てず考えることができたのは、簿記2級で本質的な部分を理解していたからだと思っています。

また、簿記2級も税理士試験も独学だったのですが、専門学校でやり込んでいる方や、簿記1級まで合格した方は、問題を素早く解くパターンやテクニックを身につけていると思っていたので、そういった方と戦って勝つためにも、知識やスキルではなく「基礎を理解する」という観点が必要だと考えていました。

税理士試験でぶつかったハードル

――税理士試験の勉強を始めたとき、簿記2級とのギャップや国家試験のハードルは感じましたか?

早起きプログラマーさん 最初はあまり感じませんでした。そもそも簿記2級は受験しておらず、「問題集を一通り解き終えたし、次は税理士試験の問題を解いてみよう」というように、簿記2級の延長で税理士試験の勉強を始めたので、壁というよりも違いさえ把握していなかったと思います。

実際、私が使っていた税理士試験のテキストもカラーのやわらかい雰囲気で、基礎問題集もそこまで難しくなかったので、徐々に階段をのぼっていくような感覚でした。

はじめて税理士試験のハードルを感じたのは過去問を見たときです。

手持ちの問題集をある程度解いたので、国税庁のホームページで過去2年分の試験問題をダウンロードしたのですが、まったく解けないんですね。2時間で解き終わるはずがない分量で、なんなら4時間かけても解くことができませんでした。

今まで解いてきた練習問題は何だったんだろうと絶望しましたし、ようやく簿記2級とは違う勉強をしていたのだと気づきました。

税理士試験の問題は、テキストや問題集のように、「こういう流れで解けばいいよね」という筋道をとらえにくく、何を求められているのか色んな解釈ができるんですね。「教える」とか「理解させる」ということを目的にして問題が作られているわけではなく、ふるいにかけるために問題が作られているので、そのギャップに苦労しました。

――どのように克服しましたか?

早起きプログラマーさん 今はインターネットの情報が充実しているので、わからない会計処理があれば、すぐに調べるようにしていました。仕訳の解説や解法パターンがまとめられたサイトや、専門学校講師の方のブログなどは、よく参考にしていましたね。

ほかにも、『税理士試験 直前予想問題集』を買って、すべての問題を理解できるまで何度も解いていました。

読者へのメッセージ

早起きプログラマーさん 税理士試験は、会計の知識が豊富かどうかというより、「解かない問題を速く決められるかどうか」が勝負の分かれ目になると思っています。

私自身は、簿記2級も商業簿記しか勉強していませんし、簿記論・財務諸表論も1年ほど、1日のうち朝2時間しか勉強していなく、決してできるほうではなかったはずです。

実際、受験した今年度の簿記論も、第一問がまったくわからず、第二問もよく勉強していない項目が出題されたので、第三問に90分ほどかけました。

私の場合、「解かない」ではなく「解けなかった」だけなのですが、飛ばさざるをえなかったからこそ、必然的に基本的な問題に時間をかけることができ、合格点に到達することができたのだと思います。

そういった意味では、税理士試験では「諦めのよさ」や「潔さ」も必要なのかもしれません。

ですので、これから税理士試験の勉強を始める方には、「解く力」だけではなく「捨てる力」も大切だということを伝えたいです。

―—参考となるメッセージをありがとうございました!


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