iPadで勉強している人が急増中! 働くママ税理士受験生に使い方を聞いてみた


受験生の皆さん、そろそろ教材が増え、管理に困っていませんか? 

また、なかなか学習スタイルや勉強習慣が身につかないと悩んでいる方もいるかもしれません。

そこで、そんな問題を解消するために、会計人コースBOOKS『新・独学ではじめる税理士試験合格法バイブル』で体験記をご執筆いただいたプラズマまい子さんが、税理士試験の勉強にiPadを取り入れたと耳にしたので、どのように使われていたのかお話を伺いました。

今回お話を伺ったプラズマまい子さんは、2013年に財務諸表論、2014年に簿記論に合格し、2016年には自作のスマホアプリを学習に取り入れて法人税法に合格されました。

現在は、小学生の2人のお子さんを育てながら、そして働きながら、相続税法と固定資産税を勉強し、2021年は相続税法を受験されています。

また、税理士試験の勉強とあわせて、大学院進学も視野に入れた勉強もされているとのこと。

そんなパワフルなママ受験生のプラズマまい子さんですが、どのようにiPadを使われていたのでしょうか?

税理士を目指す方だけではなく、勉強のデジタル化に興味のあるすべての方が必見のお話です!

iPadで勉強の自由度がアップ

――税理士試験の勉強にiPadを取り入れたきっかけを教えてください。

プラズマまい子さん 2020年1月にフリマアプリでiPad Proを購入し、学習をデジタル化させました。

ちょうど相続税法と固定資産税の2科目を勉強している頃だったのですが、1人目の娘が塾に行くようになり、子どもの本に私の本と、収納できないほど本が増えてしまったんです。

税法科目のテキストはボリュームもありますし、しかも相続税法と固定資産税の2科目ともなると、さすがに家に置いておけないと思い、それをきっかけに「もう紙は使わない!」と決心しました。

今では、2020年の学習分と2021年の学習分、また子どもの塾のテキストなども含めて、iPadに100冊以上は入っています。

◆iPadにしたことで、持ち物がコンパクトに! 1kgちょっとで講義も聴けて計算も理論もできる。

――iPadを使ってみてよかったと思うことは何ですか?

プラズマまい子さん まず勉強を始めるまでの時間が短くなったと感じています。以前は本棚に教材を取りにいったり、ページをめくって「今日はどこを勉強しようかな」と考えたりする時間が必要だったのですが、iPadにしてからは電源を入れれば前に勉強していた部分がパッと開くので、すぐに勉強を始められるようになりました。ほんのちょっとの差だと思うのですが、勉強の準備をする段階でやる気が下がるようなことはなくなったと感じます。

また、コロナ以降は減ってしまったのですが、私は“カフェ勉“をよくするんですね。以前はカバンに電卓を入れて、教材を入れて…と重い荷物を持ってカフェに行っていました。ただ、それだけで結構なストレスでしたし、持っていった教材でしか勉強できないことにも悩んでいました。

それがiPadを買ってからは、iPadで専門学校の講義を聴いたり、色んな教材を見返したり、問題を解いたりと、勉強の自由度が上がったように思います。模試や過去問なども、資料を読むためにページを行き来する相続税法は少し難しいこともありますが、問題をそのまま流れに沿って解いていく固定資産税は、iPadのみで最後まで解答することができます。

◆左:問題用紙、右:答案用紙

GoodNotes5でインプットもアウトプットも自由自在

――具体的にどのようにiPadを使っていましたか?

プラズマまい子さん iPadで学習しているなら使っている方も多いと思うのですが、「GoodNotes5」というノートアプリを使っています。有料ですが払いきりで980円ですし、ページ数を気にしないで使えるのがいいところです。あまり課金はしないタイプですが、GoodNotes5には唯一お金を払いました(笑)。

私の場合、テキストをスキャンしてPDFにし、GoodNotes5に読み込み、そこに書き込みながら勉強しています。画像も挿入できるので、他のページの内容や書き込んだメモを貼り付けたり、国税庁の申告書を貼り付けたり、講義動画内の板書を貼り付けたりすることもできて便利です。GoodNotes5では手書きの文字も含めてキーワード検索ができるので、他のページに書いてある内容やメモもすぐに見つけることができるんですね。GoodNotes5を使ったことで、テキストを印刷してノートに切り貼りしたり、板書を写したり、といったタイムロスが少なくなりました。

◆講義動画を再生しながら勉強(※動画の部分は掲載許可済)

――理論暗記などもGoodNotes5を使っていましたか?

プラズマまい子さん そうですね。今年度の相続税法の受験対策として自分なりに発明したのですが、GoodNotes5に理論集を読み込み、覚えたほうがいい大事なところを白塗りしていました。GoodNotes5だと画面上でペンの色を変えられるので、それで白く塗ることができます。こうして白く塗りつぶした部分を暗記するようにしていました。

また、GoodNotes5では1冊のテキストで複数のノートを作ることができるのですが、それを並べて表示できるんですね。そのため、左に白塗りしていない理論集、右に白塗りした理論集を置いて、見比べながら答え合わせをしていました。

紙の本だと、いったん書き込んだメモを消したり白塗りしたりといったことはなかなかできないと思うので、iPadならではの方法かもしれませんね。

◆左:キーワードを消していない理論集、右:キーワードを白塗りした理論集

――テキスト1冊で色々な使い方ができるのは便利ですね! 理解や暗記の精度も問題はありませんか?

プラズマまい子さん 理解も暗記も精度が上がったように思います。というのも、単純に教材の回転数が増えたんですよね。

紙に書いていたときは、専門学校に「1ヵ月で7回、理論集を回しましょう」などと言われても、腱鞘炎になりそうでできませんでした。それがiPadにしてからは、白塗り理論集を見ながら答えをメモアプリに打ち込み、1ヵ月に7回転できるようになりました。

専門学校の先生の言うように、回転数を増やすことで勉強の精度が上がりましたし、それを疲労感なくできたのはよかったと思います。

――間違いノートなどもGoodNotes5ですか?

プラズマまい子さん そうですね。GoodNotes5に問題文を貼り付けて解説をメモしたり、そのまま解答解説を貼り付けたりしていました。ちなみに私は、「間違いノート」ではなく「戒めノート」と呼んでいます。少しでも前向きになれるほうがいいと思って(笑)。

◆左:「戒めノート」表紙、右:中身

他にも、質問に対する先生からの返信メールも貼り付けていました。こうすると他のメールに埋もれることなく、いつでも先生からの回答を確認できるので便利です。

また、GoodNotes5では自分で問題集も作っていましたよ。たとえば、私は大原を利用していますがTACの教材も見て、苦手な論点の問題だけを集めて、それを1週間で10分ずつ解くということもしていました。

――すごい! なんでもできて自由自在ですね。まるで紙で勉強しているような…いや、それ以上かも!?

プラズマまい子さん そうですね。ちなみに紙といえばなのですが、iPadの画面を紙風にするフィルムがあるんですよ。私はエレコムのフィルムを使っていますが、ほどよい摩擦があって、たしかに紙に書いている感覚で勉強できます。ペン先の摩耗を軽減するものもあるそうです。

「絶対にこのフィルムを買ったほうがいい」というわけではありませんが、ただのツルツルした画面よりはフィルムを貼ったほうがはるかに書きやすくなりますね。結局のところ試験は紙なので、紙に書いている感覚に慣れたい、感覚を忘れたくないという方にはオススメだと思います。

StudyPlusや自作スマホアプリも活用

――GoodNotes5のほかに使っていたアプリはありますか?

プラズマまい子さん StudyPlus(勉強記録アプリ)を使っていたくらいで、GoodNotes5以外は使っていませんでした。

というのも、1つのアプリで完結するほうが勉強しやすいですし、アプリを切り替えようとするとネットを見てしまうかもしれないと思ったからです。GoodNotes5はオフラインで使えますが、ネット環境が近いというのが、デジタル機器を使った勉強の怖いところでもありますよね。

そのため、基本的にはあちこち手を広げず、これと決めたものを使うのが、私としてはいいのかなと思います。

――StudyPlusはどのように使っていましたか?

プラズマまい子さん StudyPlusでは試験の日を登録してカウントダウンができるほか、1週間の目標勉強時間を設定できます。私は月曜日に目標設定をし、日曜日に達成できたかどうかを振り返り、ダメだったら次の週の目標勉強時間を多く設定する、といったことをしていました。StudyPlusはこのように短期的な軌道修正ができるところが便利です。

たとえば、「試験まで何百時間勉強する」と目標を決めても、本当に達成できるかどうかを何ヵ月も前に把握することは難しいですよね。そのため私は、週に何時間の勉強なら実現可能かを考え、それを積み重ねていくことを重視していました。

ほかにも、通信講座を使って1人で勉強しているので、周りの受験生の状況もStudyPlusでチェックしています。StudyPlusは、自分に「税理士試験」とか「相続税法」というようにタグがつけられるんですね。同じタグの方をフォローすると、「○○さんが△△を◇◇時間勉強しました」と記録を見ることができます。また、設定した目標勉強時間もフォロワーさんに公開されるので、互いに刺激し高めあっていました。

試験当日も、「今から会場に行きます」とか「おつかれさまでした」と投稿しあったり、直接会うことはないのですが、かなり励みになっていました。

◆StudyPlusの画面。フォロワーの目標勉強時間と現在までの勉強時間がわかる。

――法人税法のときは理論暗記用にスマホアプリを自作されていましたが、相続税法や固定資産税でも作りましたか?

プラズマまい子さん 相続税法でも固定資産税でも作りました。空欄をタップすれば答えが出る穴埋め問題や○×クイズ、応用理論問題ができるアプリです。知人には「自分でアプリを作るくらいなら税理士にならなくてもいいじゃん」と言われることもあるのですが…(笑)。

◆自作アプリのトップ画面

法人税法で、子どもを授乳しながら寝かしつけるとき、暗い部屋でも勉強したいと思って作ったアプリですが、寝かしつけが不要になった今でも、相続税法や固定資産税で夜寝る前に使っています。

ただ、私のようにスマホアプリというかたちではなくても、夜寝る前の理論暗記はいいと思います。

というのも、人間の脳の仕組みとして、「海馬」という部分から「大脳新皮質」という部分に記憶が移動するんだそうです(参考:理化学研究所「海馬から大脳皮質への記憶の転送の新しい仕組みの発見」)。海馬は記憶を一時的に保存する場所で、大脳新皮質は記憶を最終的に保存する場所です。この海馬から大脳新皮質への移動を促すには、運動や睡眠がいいそうで、そのため私も寝る前に理論暗記をして、記憶を定着させていました。

◆自作アプリのページ

まず手にとってみることが大事

――今回お話を聞いたら、私もiPadがほしくなってきました。iPadひとつにすべて詰まっているというのが愛着もわきそうです。特に、GoodNotes5がすごいですね!

プラズマまい子さん そうなんですよ。教材がすべて詰まっているというのもいいですし、ほかにも講義で先生の話を聞いていると、「これって前にも関係することを言っていてメモしたな」というときがあるんですね。そういったときに、キーワード検索機能を使って、そのメモをすぐに見つけることもできます。

情報が一元化されるので、「あれも見なきゃこれも見なきゃ」がなくなって、「これだけ見ていれば大丈夫」という安心感がありますね。

――ちなみに、税理士試験の勉強にはiPad Proが一番いいですか?

プラズマまい子さん 私はProを使っていますが、無印(普通のiPad)のWi-Fiモデルで十分だと思います。子どもたちには勉強用に無印を買ったのですが、国語・算数・理科・社会と50~60冊ほど入れてもまったく問題がなさそうです。

また、私はフリマアプリで中古品を購入しましたが、2~3年くらい経ってもiPadはあまり値崩れしない印象です。仮にすぐ手放すことになったとしても、タイミングがよければ、買ったときの金額で売れることもあります。

ただ、こういった中古品だとわからないのは電池の劣化具合です。容量や画面の大きさ、スペックなどは事前にネットで調べることができますが、そのiPadの電池がどれくらい劣化しているのかは、実際に自分で使ってみないとわかりません。

そのため、買ってはみたけれど電池の減りが早いということもあるかもしれません。しかし、そういったときには買い直せばいいと思います。

お話したようにiPadはそこまで値崩れしないので、気になっている方は安い機種でも中古品でもまず手にとってみるのがいいのかなと思います。

――なるほど。そう言われるとハードルも下がりますね。

プラズマまい子さん あ、ただ最後に1つだけ言っておきたいことがありました。電卓だけは、iPadではなく、ちゃんとしたものを使ったほうがいいです。

私もアプリがないかと思って探したのですが、口コミがいいものはほとんど関数電卓で、税理士試験向けではありませんでした。

また、普段から使っていないと、いざというときに忘れてしまう可能性もありますしね。

私、一度だけ法人税法の模試で電卓を忘れたことがあるんです。試験官に言っても貸してもらえず、仕方なく筆算で解きました。もちろん結果は散々でしたし、電卓を忘れることは致命傷なのだと実感しました。

そのため、いくら学習をデジタル化しても、電卓だけは別持ちでお願いできればと思います(笑)。

――電卓は慣れ親しんだものが一番ですね! 貴重なお話、ありがとうございました!


プラズマまい子さんの体験記も掲載!
会計人コースBOOKS『新・独学ではじめる税理士試験合格法バイブル』

【書誌情報】
編者:会計人コース編集部
定価:1,870円(税込)
発行日:2021/01/18
A5判 / 152頁
ISBN:978-4-502-37431-9
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