【税理士試験】実務家が本気で選ぶ 税法科目選択ドラフト会議 2021


第2選択科目

伊東 修平
伊東 修平

消費税法を選択します。

 実務でヒヤリハットが多いのは消費税です。届出の提出期限や納税義務、有利不利の判定など、たびたび税法の知識を求められます。近年は複雑化しているので、受験科目としてしっかり学習しておくと実務に役立ちます。

相続税法を選択します。

岩下 尚義
岩下 尚義

 税制改正(基礎控除の引き下げ)を契機に、税務相談や申告件数が非常に多くなっています。

 相続税法は、会計科目の延長として学習が始められる主要科目(法人税・消費税・所得税)と違って、1から知識を身につける必要があり、受験経験の有無が大きな差を生みます。

 また、相続の案件でしか必要なわけではなく、法人のお客様においても事業承継や日々の贈与に関する相談など、主要税目として日常的に取り扱います。受験できない場合にも、税理士の登録前後に一度じっくり学習することをオススメします。

 非常に専門性が高い科目であることも、指名した理由の1つです。たとえば、土地の評価ひとつでも、複数の評価方法から合理的なものを選択します。これは条文学習(理解)と実務経験(判断)が必要となる高度な仕事です。AIの発達で税理士という仕事の未来が問われることがありますが、合理的な判断が必要な場面では、やはり専門性の高い知識を有する人材が生き残るのではないかと思います。

 そして、最近は国際機関においても、全世界的に相続税法のあり方を考えようという動きがあります。国内だけでなく世界的にもトレンドな税目です!

神野 裕一
神野 裕一

消費税法を選択します。

 消費税法は近年、軽減税率の導入があり、インボイス制度の導入も予定されているなど、改正が目白押しです。法人税法を選択したのと同様に、法人顧問の税理士事務所に勤務することが多いと考えると、消費税法の知識は重要性が高いといえます。

 選択した科目以外を5科目取得後に勉強することはもちろん可能ですし必要ですが、税理士試験で体系的に学んでおくと、相談の際、質問に対する返答の瞬発力や知識の幅が違ってくると考えています。

 私自身も法人税法に合格した後に受験しましたが、ボリュームとしては半分程度で、楽に感じられました。

消費税法を選択します。

尾藤 武英
尾藤 武英

 2位は実務で絶対に避けて通れない消費税法です。税理士試験で「選択した科目」と「選択しなかった科目」の実務における一番の違いは、「アンテナが利くかどうか」。たとえ勉強したのが短期間で学習内容があまり頭に残っていなくても、試験に合格するまで一通りしっかり勉強した科目であれば、実務で「これってなんか要注意だったよね?」という勘が働きます。

 私自身は、消費税法を勉強したのは1年だけで(運よく1年で合格しました)、実務での計算も完全にソフトにお任せ状態ですが、それでも、このような勘に何度も救われてきました。

 1位の相続税法で挙げた「知識不足による判断ミスが税額へ及ぼす影響が大きい」のは消費税法も同様ですし、規定の複雑怪奇化の流れは今後も止まりそうにありません。こちらもぜひ、試験勉強において学習しておきたい科目です。

藤井 太郎
藤井 太郎

相続税法を選択します。

 相続税法は、いちばん難関なイメージをもっていましたが、勇気をもって挑んでみたら、いちばん面白かった税法です。計算問題で登場する被相続人の親族図表や財産から「人生そのもの」が想像できます。「家族モノ」の小説や映画が好きな人にはハマると思います。でも、うっかり妄想に夢中になると、まったく点数に結びつかないので、ほどほどに。

 超高齢化社会のいま、資産税の案件は税理士として避けて通れません。独学でなく、基礎を体系的にしっかりマスターしておくことで、自信をもって実務の世界に飛び込んでいくことができます。僕も勉強しておいて本当によかったです。

 ちなみに、僕が受験した2003年は、「相続時精算課税」という大改正が施行され、直前期での対応を余儀なくされ、非常に苦労しました。いま、まことしやかにさらなる大改正が噂されています。せっかく勉強した知識が覆されないように、社会の動向にもアンテナを張って科目選択をしたいところです(なるべくスパッと合格したいですよね)。

消費税法を選択します。

前川 秀和
前川 秀和

 消費税法は、その仕組みを理解するまでに結構な時間を要しました。実務においても、簿記論や法人税法と同様、消費税法の知識は必須です。絶対に選択しましょう。

 私個人の体験を書くと、消費税法には3回目の受験で合格しました。

 1年目は、その年の1月から簿記論・財務諸表論・消費税法の3科目を受講し、8月に受験。当然、全滅。2年目も、簿記論・財務諸表論・消費税法の3科目を受験し、簿記論・財務諸表論に合格。消費税法には、あまり時間を割くことができず、中途半端な状態で受験したと記憶しています。3年目(合格した年)の消費税法は、自信をもっての受験でした。ただ、その自信のせいか、勝手にプレッシャーを背負ってしまい、ブルブル手を震わせながら、緊張感マックスで試験に臨みました。

 消費税法は、その仕組みさえ理解すれば、合格レベルまでにはわりと早く到達できるのではないかと思います。

峯松 麻衣子
峯松 麻衣子

消費税法を選択します。

 専門学校の講義が週1回であることや他の税法に比べてボリュームが少ないことで、「小さな子どもの育児や仕事と両立がしやすいのでは」と考え、はじめての税法科目として選択しました。

 「消費税法の理論は覚えにくい」との声も聞きますが、私にはそんなことはなく、コツコツ根気よく取り組むことで、克服することができました。また、実際に合格することで、残る税法2科目に向けての意欲や自信へとつながった科目です。

 実務においては、法人・個人事業主ともに役立つので“お得感”があります。また、届出関係の失念や判断ミスが損害賠償リスクにつながりやすい税目であるため、実務において細心の注意を要します。しっかり学んでおいて損はありません。


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