【税理士試験】直前期、メンタルを整えるために大切な3つのこと


渡邉 圭
(千葉商科大学基盤教育機構准教授)

【編集部から】
直前期に突入した税理士試験。

試験に向けて勉強を進めていると、緊張や不安、プレッシャーを感じてしまい、思うように成績が伸びない……そんなこともあると思います。

そこで今回は、合格に大切なことの1つ「メンタル」を整えるためにどうすればよいのか、渡邉圭先生にアドバイスしていただきました。

1.考え方を変えると行動力が変化する!

直前期を迎えた受験生に第一に伝えたいのは、考え方を変えると行動力が変化するということです。

私は受験生時代、財務諸表論の計算問題の解き方に悩んだ時期があります。応用問題集に進もうにも問題量が多いとメモが雑になり、集計ミスを起こすなど無駄な時間を費やすようになりました。

これを解決してくれたのが資格の大原が解説する「仮計算表」です。解きやすくアレンジした仮計算表を作成することで集計ミス防止や時間短縮につながりました。

また、模擬試験では計算問題から解き、最後に理論問題を解くようにしました。はじめに第三問をすべて解くことで、全体的な減点を防止するように工夫したのです。その結果、仮計算表を作成したとしても計算問題に80分、理論問題に40分を割り当て、本試験でもその通りに解答できました。

減点が多いと落ち込みますよね。ですが、そんなときは考え方を変えてみましょう!

点数が取れないということは自分の復習すべき論点が明らかになった、つまりピンポイントに復習を行えると解釈できます。復習を習慣づけることで行動力はより向上します。

税理士試験は各科目の合格率が10%~15%と限られた人しか合格できない試験ですが、誰が合格者になってもおかしくありません。悩んだときこそ、ポジティブな気持ちが大切です。

間違いが多くあったとしても、弱点が明らかになれば的確な対策を行うことができます。

正解を増やすのではなく、間違ったところを減らす学習をすれば、やがて正解が増えてきます。

2.ほんの少しでも、不安を上回る「自信」を身につける!

受験生時代、眠りにつくときは財務諸表論の「理論暗記ノート」を読んでいました。すると、さっきまで読んでいた理論を夢の中で復唱するように。しかし、続く言葉が浮かばず、うなされることもありました。

このように受験生のときは、布団に入っても、「合格できなければどうなるのだろう」と考えてしまい、不安で眠れなかったこともあります。

昔は勉強に使えるお金がなかったので、祖父母に借金をしたり、模擬試験問題を購入するのが他の受験生よりも遅れたり、昨年度版の問題集で学習したりもしました。

しかし、そんなときこそ強い精神力が大切です。私も「自分から簿記を抜いたら何も残らない」、「だから勉強するしかない」、「今まで勉強した量を振り返れば自信をもってもいいはず」など、気持ちを奮い立たせていました。

不安を完全に消すことはできません。ですが、不安は49%あってもいいのです。それを上回る自信51%を身につけましょう。そうすれば、決して心が折れることはありません。

3.何より感謝の気持ちを忘れずに

税理士試験の合格には自分の努力も必要ですが、指導者、家族や仲間の支えも必要です。

今は大学で簿記を教えている私も、受験生時代は税理士になるか教員になるか悩んでいました。「早く進路を決定しなければならない」という気持ちが「早く合格しなければならない」というプレッシャーになっていました。母にも「勉強、頑張ってね」とよく言われましたが、ありがたい反面、「これ以上どう頑張ればいいのだ」と思ったこともあります。

皆さんも、自分自身で自分にプレッシャーをかけてしまったり、家族からの応援をプレッシャーに感じてしまうこともあるかもしれません。ですが、それでも支えてくれる人たちへの感謝の気持ちは忘れないようにしてください。大学教員になった今、当時勉強を支えてくれた家族、仲間、先生に感謝しきれないほどの恩を感じながら、私も受験指導にあたっています。

願書締切まであとわずか

最後に、今年度の税理士試験の願書受付がすでに始まっています(5月20日まで)。

願書をはじめ、顔写真、収入印紙、受験資格の証明書など必要なものを揃えるのには時間がかかります。

まだ願書を提出していない方は、メンタルを整えると同時に受験申込の準備も進めてくださいね。

それでは皆さん、試験合格に向けて、自分のできる範囲で精一杯、学習に励んでいきましょう!

千葉商科大学 会計教育研究所「瑞穂会」 とは 
会計教育の実践の場として「瑞穂会」があります。「瑞穂会」は千葉商科大学の学生を対象に、日商簿記検定、税理士試験科目(簿記論・財務諸表論)の講座を開講し、受講料無料で受験指導を行っています。「瑞穂会」では、専用の教室を有し、専任教員が常駐して学生の受験指導にあたります。現在、多くの合格者を輩出しており、毎回の合格率は全国平均を大きく上回っています。また「瑞穂会」では、大学の授業と資格試験の両立に悩む学生に効率的な学習方法をアドバイスするなど、個々の学生の状況に応じた細やかな指導を行っています。
HP:https://www.cuc.ac.jp/iaer/mizuho/index.html


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