【簿・財】時間を有効活用! ”超直前期”1日の勉強スケジュール(2科目受験編)


渡邉 圭
(千葉商科大学基盤教育機構准教授)

この時期の税理士試験受験生の悩みとは?

 本試験まで1ヵ月を切り、学生の方も社会人の方も、よりいっそう勉強に励まれていると思います。とはいえ、本試験まで時間が限られているなかで、効率よく勉強しようと思っても、どのようにスケジュールを構成すればよいか迷っている方もいらっしゃるでしょう。

 私が受験指導を行っている千葉商科大学「瑞穂会」では、この時期になると学生から 以下のようなお悩みが寄せられます。

1.理論が頭の中で固まらず、復習しても効果がありません。理論の復習はどのように行えばよいでしょうか?

2.計算問題の点数が答練を積むにつれてどんどん下がります。時間配分やケアレスミス対策はどのように行えばよいでしょうか?

3.気分転換をしたいのですが、勉強を1日休むことで覚えた理論を忘れてしまいそうで、怖くてできません。

 今回は、上記のお悩みを踏まえながら、簿記論・財務諸表論の受験生が答練と復習をバランスよく行うための1日のスケジュールや勉強法をお伝えします。

 この記事では、簿記論・財務諸表論を同時に受験する方に向けてアドバイスさせていただきます。

「予備日」をつくり、答練と復習をバランスよく!

 簿記論・財務諸表論を同時に受験する方は、答練とその見直し、理論の暗記や復習を並行して行う必要があります。仮に、試験時間(2時間)を計って簿記論・財務諸表論の答練を行うとすると、1日のスケジュールは以下のようになります(あくまで一例です)。

【タイプA】1日に簿・財の答練を1回ずつ(計2回)行う場合

9:00~11:00 財表理論 復習
11:00~12:00 休憩
12:00~14:00 簿記論 答練
14:00~15:00 休憩
15:00~17:00 財務諸表論 答練
17:00~18:00 休憩
18:00~21:00 答練の見直し or 復習

 この場合、簿記論・財務諸表論の答練を1日にまとめて行うことで、本試験さながらの感覚を体に覚えさせることができます。また、短期間で答練を回すことも可能です。しかし、そのぶん答練を見直す時間が少ないため、できなかったところの理解が不十分になる可能性があります。

【タイプB】1日に答練を1回行う受験生(簿記論or財務諸表論)

9:00~11:00 財表理論 復習
11:00~12:00 休憩
12:00~14:00 簿記論or財務諸表論 答練
14:00~15:00 休憩
15:00~17:00 答練の見直し or 復習
17:00~18:00 休憩
18:00~21:00 答練の見直し or 復習

 この場合、タイプAに比べて答練の見直しの時間をより多く確保することができます。しかし、どちらかの科目の答練を1回しか行わないため、答練を回すスピードは遅くなります。

 これから解こうとしている答練が各科目で8回分あるとします。その場合、タイプAだと8日間、タイプBだと16日間で1回転目の学習が完了するでしょう。人によって回転させる数は違うかもしれませんが、仮に2回転させるとすると、1回転目をタイプB、2回転目をタイプAのスケジュールで行えば、16日+8日=24日間で学習を終えることが可能となります。

 そうすると、2021年7月19日から2021年8月16日の試験前日まで29日間あるため、5日間の余裕が生まれます。

 直前期には、こういった「予備日」をつくることが大切です。予備日は、試験会場の下見、気分転換、復習、勉強できていない部分の補填など、自由に使うとよいでしょう。ここで、予備日を「復習する日」とした受験生のスケジュールを見てみます。

9:00~11:00 答練(財表理論)の見直し
11:00~12:00 休憩
12:00~14:00 答練(簿記論)の見直し
14:00~15:00 休憩
15:00~17:00 答練(財表計算)の見直し
17:00~18:00 休憩
18:00~21:00 問題集を使って復習

 1日を勉強にあてることのできる方は、ここまで紹介したスケジュールで学習を完了させることができると思います。ただし、これはある意味、理想的なスケジュールです。

 現実的には、平日は仕事で休日は家事、といったように勉強の時間をなかなか確保できない受験生も多くいらっしゃいます。そこで、次に、フルタイムで働いている受験生に向け、平日・休日のスケジュールをお伝えします。

フルタイムで働いている場合はどうする?

 フルタイム(例として9時~17時)で働いている場合、おすすめの平日・休日のスケジュールは以下のとおりです。

平日

9:00~19:00 仕事
19:00~21:00 帰宅・食事・休憩
21:00~1:00 答練の見直し or 復習
1:30~7:00 睡眠
7:00~9:00 起床・出社・業務準備

休日

9:00~11:00 財表理論 復習
11:00~12:00 休憩
12:00~14:00 簿記論 答練
14:00~15:00 休憩
15:00~17:00 財務諸表論 答練
17:00~18:00 休憩
18:00~21:00 答練の見直し or 復習

 働きながら受験する場合、スキマ時間の使い方も重要です。たとえば、通勤電車のなかで理論の復習をするなど、机に向かわない学習をしましょう。料理や食事の時間を短縮させたいという方は、インスタント食品やサプリメントなどで栄養補給することもオススメです。

 しっかり睡眠時間をとると、平日は21時~翌1時と4時間しか勉強できません。そのため、平日は答練を行うというよりは、休日に解いた答練の見直しや、ヨコ解き問題集・応用総合問題集で復習などをするとよいでしょう。休日に、じっくり答練を行います。

 たとえば、2021年7月19日から2021年8月16日の試験前日まで、土日祝日が休みだとすると、最大で12日間の休日があります。これから解こうとしている答練が各科目で8回分あるとすると、8日間で1回転目の学習が完了します。スケジュール上、2回転目の答練を行うことは難しいです。しかし、だからこそ平日に、答練で捨てた問題やケアレスミスした問題、解けなかった問題を中心に復習していきましょう。

 12日間の休日のうち4日間は「予備日」としておくとよいです。気分転換はもちろん、試験会場の下見に行くこともできます。試験会場の下見は、受験票が届き次第にはなりますが、関東の方は東京オリンピック開催前だといいかもしれませんね。交通規制がありませんので。

 フルタイムで働きながら勉強されている受験生は大変かと思いますが、ここまで紹介したスケジュールですと、バランスよく学習を完了することができます。ぜひ参考にしていただければ幸いです。

やっぱり気分転換は必要

 私は受験生時代、気分転換をすることで覚えた理論を忘れてしまうのではないかと思い、「勉強しない日」をつくる決心がなかなかできませんでした。しかし、心に余裕がなくなるせいか、夢の中で財務諸表論の理論が頭に浮かばずうなされました。また、答練中に頭がズキズキと痛み、まったく集中できなかったこともあります。そこで思い切って気分転換をしたところ集中して勉強でき、理論もしっかり覚えることができました。

 簿記論・財務諸表論の2科目受験の方は、予備日とできる日は少ないですが、試験日までの日数と1日のスケジュールを把握して予備日を設けることで、普段から気持ちよく勉強することができます。

 気分転換の方法は人によって異なります。私の場合は、ジョギングとお酒が好きなので、次の日が休みのときは自宅で勉強を終えた後、夜にお酒を飲み、次の日の午後からジョギングをしてリフレッシュしていました。ぜひご自身に合った気分転換の方法を見つけ、本試験までの残りの期間を乗り切ってください。

 次回は、1科目受験の方に向けて、1日の学習スケジュールや勉強法をお伝えします。


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