【インタビュー】税理士を目指して大学院へ! 実際に行ってみてわかったこととは?


税理士になるルートの1つ、大学院で修士論文を書いて科目免除を受けること。現在、この「大学院ルート」に興味のある方が増えているように感じます。

今回、東京都内の大学院に通う修士2年生・しょうたろうさん(ペンネーム)に、インタビューをさせていただきました。

1月に修士論文を提出したばかりのしょうたろうさん。大学院に通ったからこそわかる魅力や苦労、税理士試験との違いについて伺いました。

大学院に興味のある方はもちろん、この春から大学院に進学する方も必見のインタビューです!

大学院は「自分で考えること」が求められる世界

――はじめに、これまでのご経歴を教えてください。

しょうたろうさん 大学2年生のときに税理士試験の勉強を始め、そこから2年ほど簿記論の勉強をし、3年目(大学4年生)から財務諸表論の勉強も始めました。

その後、当時のゼミの先生が大学院で教えていたこともあって、大学院に進学しました。簿記論・財務諸表論に合格できたのは4年目、修士1年生のときです。

ただ、大学院生活が想像以上に厳しく、税理士試験の勉強に時間をかけすぎた結果、留年してしまいました。

今年の1月に無事に修士論文を提出し、現在は8月の税理士試験に向けて法人税法の勉強中です。

――大学院に行った方に話を聞くと大変だと伺います。しょうたろうさんもそうでしたか?

しょうたろうさん そうですね。これは大学院によると思うので一概には言えないのですが、実際に大学院で修士論文を書いた身からすると、税理士試験の勉強をするほうが自分には合っていたように思います。

実際に私の周りを見ても、大学院に通いながら、または修了した後に税理士試験を受けた人は、ほぼ確実に一発で合格しています。

大学院で忍耐力を鍛えられるからなのでしょうか、それくらい大学院で修士論文を書くことのハードルが高いのかなと感じています。

――なるほど。具体的に「これは厳しい」と思った瞬間はありますか?

しょうたろうさん 私自身の問題なのですが、学術書や学術論文など長い文章が読めずに、最初は苦労しました。中学生の頃から数学は好きだったのですが国語は苦手で…。

しかも学術書や学術論文だと言葉も硬かったり、表現ひとつで違う意味になったり、それが読み取れなかったのが苦しかったですね。

学術書や学術論文には、それを書いた学者の意図が宿っているので、しっかりその思いをくみ取りながら読むように厳しく指導されました。

――言葉1つひとつに向き合うことが大切なのですね。

しょうたろうさん そうですね。このことは明確に税理士試験と大学院の違いだと思っています。

というのも先日、専門学校で法人税法の講義を受けているときに、細かいことなのですがわからない部分があって、講師に「この文章はこう理解するのがいいのか」と聞いたら、「そこまで細かいところは気にしなくてもいいよ」と言われました。

大学院は、そんな細かいところまで追究するのが求められる世界です。参考文献を読んでいて理解できない部分があっても、「これはこういうものだよね」と割り切りができませんし、よくわからないまま修士論文で引用するのはもってのほかです。大学院では、他人事ではなく自分事に落とし込む必要がありました。

そういう意味でいえば、大学院は自分で考えることが求められる世界で、専門学校は教えられたことを吸収する世界なのかなと感じています。

――興味深い違いです。文章を読むのが苦手だったということですが、どのように克服していったのでしょうか?

しょうたろうさん もはや気合いです(笑)。振り返ると、先生に答えを教えてもらったのは大学院生活全体で3回くらいしかないんです。それくらい自分自身で考えることが求められたので、とにかく気合いで文章を読んで考え抜いた3年間でした。

もう少し具体的な話をすると、授業のテキストで使っていた『税法がわかる30話』は、税法の大枠を理解するのにちょうどよかったです。

あとは、普通に本を読むのもよかったですね。小説でも何でもいいのですが、私はあまりに文章を読むのが苦手だったので絵本から入りました。

その後も、修士論文に関する本を除いては、ほとんど税に関する本は読んでいません。友達に薦められた哲学書を読んだり、小説を読んだり。気分転換になりましたし、これで文章を読むことへの抵抗感が薄くなりました。

大学院の経験が税理士試験に大きく活きる

――しょうたろうさんにとって、大学院の魅力は何ですか?

しょうたろうさん やはり税理士試験の負担が減るということですね。これは税法2科目が免除されるという意味ではありません。

法人税法の勉強を始めたのが修士論文提出後の1月からなのですが、修士論文で法人税法を扱ったので、今すごく法人税法の勉強がしやすいです。もし大学院と税理士試験を両立するなら、受験科目を修士論文のテーマにするのもいいかもしれません。

あとは、大学院に行ったことで「理解する」というクセがつきました。大事だと思ったことはメモするように大学院で教えられたので、法人税法のテキストにもメモしています。

ただ、「先生が言ったから書く」だと、わかった気になってしまうので、先生が言ったことがどういうことなのかかみくだいて、「理解してから書く」ようにしています。

これは大学院の先生に「わかっていないことを書いて満足してはいけない」と指導されたおかげなのですが、こうすることで格段に法人税法がわかりやすくなりました。

読者へのメッセージ

――大学院に興味のある方や、この春から大学院に進学する方に向けてメッセージをお願いします。

しょうたろうさん まず大学院に興味のある方に伝えたいのは、大学院にも税理士試験にも向き不向きがあるということです。

大学院に関する情報自体が少ないので、実際に入ってみないと向き不向きなんてわからないというのもあると思います。私自身も大学院で苦労したからこそ、税理士試験に向いていると気づけたのかもしれません。

ただ、もし向き不向きを考える基準があるのだとすれば、自分の意見を言うのが好きか、求められたことに応えるのが得意か、ということはあると思います。

大学院では、問題を解くために考えるのではなく、「自分の意見を言うために」考えることが求められます。

なので、まずは、大学院と税理士試験では「考える」の質がまったく違うということを意識したうえで、大学院進学を検討するのがいいのかなと思います。

これから大学院に進学する方に伝えたいのは、厳しい指導をされて向いていないと思うこともあるかもしれませんが、苦労しただけ税理士試験に返ってくるということです。

私も、大学院に進んでいなければ簿記論・財務諸表論に合格できなかったと思いますし、法人税法が楽しいのも大学院で勉強したからです。

また、あと少し入学まで時間があると思うので、本を読むことをお勧めします。私のように、小説でも何でもいいです。「大学院に進んでいなければ簿記論・財務諸表論に合格できなかった」と言いましたが、本を読んだことで試験問題をスムーズに読めるようになりました。

大学院で修士論文を書くにしても、税理士試験を受けるにしても、「読解する」ということが大切なので、日本語力を上げるアプローチをしておくことはおすすめです。

―—参考となるメッセージをありがとうございました! しょうたろうさんの今後のご健闘を応援しております。


【書籍紹介】

『教えてみき先生!税法論文ってどう書くの?』

脇田 弥輝 著
定価:2,200円(税込)
発行日:2022/01/14
A5判 / 176頁
ISBN:978-4-502-40941-7
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→本書の著者インタビューはこちら

『大学院ルートで税理士になる!』

会計人コース編集部 編
定価:1,870円(税込)
発行日:2020/09/29
A5判 / 144頁
ISBN:978-4-502-36301-6
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