第1回 なぜ、受験生の強力な武器になるのか?
第2回 どう読んだらいいのか?
第3回 実践!最新22版を読んでみた
令和2年公認会計士試験に合格した大学4年生のふくろうが、『財務会計講義』のよい点や実際の使い方をご紹介する、「『財務会計講義』のすゝめ」。
第2回は、『財務会計講義』の読み方をふくろうなりにご紹介します!
「『財務会計講義』がよいのはわかったけれど、どう使いこなせばいいのかわからない…。」そんな方のお役に立てれば嬉しいです。
それでは、さっそく!
ステップ① 一気に読んで全体像をつかもう
まずは可能なかぎり速く、一気に読み上げて全体像をつかみましょう。
第1回でお伝えした「通読できるボリューム感なのに、財務会計の重要論点を網羅」というメリットを享受するためには、まず全体を俯瞰することが必要です。
どこに、なにが、どのような階層構造で、どれくらい書かれているのかを把握することで、各論点の重要性、各論点の幹から枝葉への論理の展開構造、各論点のつながりを捉えてください。
できるだけ「速く」「一気に」をおすすめするのは、ゆっくり読んでいると前に読んだ部分を忘れてしまい、どうしても全体感を把握しづらくなると思うからです。
このステップ①では、だいたいで構わないので、目次を見たときに、どこに、なにが、どのような階層構造で、どれくらい書いてあるかをイメージできるようになればOKです。内容の詳細な理解は必要ありません。
そうですね、1ページあたり最大でも4分といったところでしょうか。私のペースだと1ページを1~2分で読み、約30ページごとに休憩をはさみ、合計16時間程度で読んでいました。2日で読み終わるイメージです。
個人的には、がんばって1週間以内にはすべての文章に目を通してほしいなと思います。
ここで、『財務会計講義』の構成(目次)を見てみましょう。
第1章 財務会計の機能と制度 第2章 利益計算の仕組み 第3章 会計理論と会計基準 第4章 利益測定と資産評価の基礎概念 第5章 現金預金と有価証券 第6章 売上高と売上債権 第7章 棚卸資産と売上原価 第8章 有形固定資産と減価償却 第9章 無形固定資産と繰延資産 第10章 負債 第11章 株主資本と純資産 第12章 財務諸表の作成と公開 第13章 連結財務諸表 第14章 外貨建取引等の換算 |
このうち第1章~第4章は総論、第5章以降が各論となっています。
すべて重要なことしか書かれていないのですが、あえて重要だと思うところを挙げれば、それは間違いなく「第4章 利益測定と資産評価の基礎概念」です。
第4章では、財務会計の基本的な考え方が整理されています。発生主義会計、資産評価における混合的測定の考え方などについて、第4章と第5章以降のつながりを意識して読むことができれば、知識の応用が利くようになります。
基本的な考え方に立ち返ることで、試験で記述答案を作成する際、大きく的を外すようなことはなくなるでしょう。なにより、むやみやたらな暗記作業を削減でき、学習を効率的に進められるはずです。
また、計算が苦手な人には「第2章 利益計算の仕組み」と「第13章 連結財務諸表」がおすすめです。簿記、連結会計の基本的な構造と考え方が説明されているので、全体感を学びなおして計算の演習をすれば、苦手が克服できると思います。
私も連結がはじめは苦手でしたが、連結精算表の仕組み(連結財務諸表の作成手続きの一巡)の全体構造や考え方を押さえるうちに、苦手意識を解消することができました。