ココが間違い!
条件変更によりストック・オプションの公正な評価単価が減少する場合には、変更前の評価単価による費用計上を継続する。
【間違った解説】
2.当期の株式報酬費用
(借) 株式報酬費用 85,000
(貸) 新株予約権 85,000
(注) 株式報酬費用
(省略)
【正しい解説】
2.当期の株式報酬費用
(借) 株式報酬費用 120,000
(貸) 新株予約権 120,000
(注) 株式報酬費用
100個×2,400円(変更前の単価)÷24ヵ月×21ヵ月(X3年3月末の新株予約権)-90,000円(前期末の新株予約権)=120,000円
チェックポイント
「ストック・オプション等に関する会計基準」10項において、ストック・オプションにつき、行使価格を変更する等の条件変更により、公正な評価単価を変動させた場合、次のように会計処理を行うと定められている。
条件変更後のストック・オプションの評価単価が、付与日における公正な評価単価を上回る場合
→付与日における公正な評価単価による費用計上を継続するとともに、上回る部分に見合う公正な評価単価の増加額について、追加的に費用計上を行う。
条件変更後のストック・オプションの評価単価が、付与日における公正な評価単価を下回る場合
→付与日における公正な評価単価による費用計上を継続する(費用を減額させることはしない)。
〈執筆者紹介〉
加藤 大吾(かとう・だいご)
早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士
2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒。2005年公認会計士登録。東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)・日商簿記検定講座の講師業務の傍ら、監査法人にて監査業務にも従事。2015年より早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師。著書に『税理士試験 簿記論・財務諸表論 総合問題なるほど解法ナビ』(中央経済社)がある。
本連載は、会計人コース2020年3月号別冊付録「読んで考えて総復習 間違いだらけの計算問題」を再編集したものです。