【日商2級から税理士へ ステップアップ会計教室】第9回:特殊商品売買①


3 試用販売

新商品が開発された時、その販売促進のために顧客の求めによって、または顧客から要求がなくても、それに関心を示しそうな顧客に新商品を届けるという販売方法があります。
このような販売形態を試用販売といいます。

試用販売は、顧客に商品などを送付(試送)し、顧客が使用後、買取意思表示をした時に売買契約が成立します。
顧客の買取意思表示がない場合は、一定期間内にその商品などを返送する特殊な販売形態です。
したがって、試用販売の売上計上時期は、顧客に商品を送付したときではなく、顧客が買取意思表示をした時に売上を計上します。

顧客の買取意思表示は、口頭による意思表示や遠隔地の場合は買取りの通知を発送した日となります。
試用販売であっても契約または商慣習により、顧客が一定期間内に返品または買取拒絶の意思表示がない限り、当該期間の経過によって販売があったものとして扱うこともあります。
この場合は、顧客に対して買取るのか否かという問い合わせを行い買取意思表示について確認します。  
未着商品販売で売上原価をその都度計算する方法と期末に一括して計算する方法について説明しましたが、試用販売についても同様の処理が認められています。
この場合、顧客に商品を試送した時に、試用品勘定の借方に原価額を記帳し、同時に仕入勘定の貸方に同額を記帳します。
また、試用販売には対照勘定法(総額分割法ともいいます。)により会計処理をすることも認められています
対照勘定法は試用販売の場合、顧客の買取意思表示をした商品の販売価額に見合う売上高と売上原価を損益計算書に表示する方法です。



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