早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師・公認会計士 加藤大吾
本連載では、税理士試験の簿記論・財務諸表論において、執筆者の指導経験上、誤答が多かった論点を取り上げます。【問い】に対する【解説】のなかに誤りを含む部分があるので、「ここが間違いじゃないかな?」と指摘してください。電卓をたたかなくても、スキマ時間に間違いさがしは可能です。この連載を解くことで、簿記の勉強はもちろん、実務において取引記録を見ながら誤りを発見するという職業体験もすることができます。ぜひチャレンジしてみてください。
本連載は、会計人コース2020年3月号別冊付録「読んで考えて総復習 間違いだらけの計算問題」を再編集したものです。
難易度 | ★☆☆☆☆ |
問題1 現金預金①
【問】 次の〔資料Ⅰ〕および〔資料Ⅱ〕に基づき,当期(X1年4月1日~X2年3月31日)の損益計算書の雑収入または雑損失はいくらか,求めなさい。
〔資料Ⅰ〕 決算整理前残高試算表
〔資料Ⅱ〕 決算整理事項
現金実査の結果,金庫の中には,次のものが保管されていた。
通貨 152,000円
当座小切手 25,000円
なお,上記の当座小切手のうち,振出日がX2年8月1日の当座小切手2,000円が含まれており,現金勘定で処理されている。
配当金領収書 8,000円(未記帳)
郵便切手 6,400円
仮払いのメモ 4,500円(X2年3月20日の交際接待費,未記帳)
【間違いを含む解説】
1.修正後の現金勘定
(1) 修正仕訳
(借)受取手形 2,000
(貸)現金 2,000
(借)現金 8,000
(貸)受取配当金 8,000
(借)交際接待費 4,500
(貸)現金 4,500
(2) 修正後の現金勘定残高
181,700円(整理前T/B)-2,000円+8,000円-4,500円=183,200円
2.現金実査高
152,000円(通貨)+23,000円(当座小切手)+8,000円(配当金領収書)=183,000円
3.P/L雑収入(解答の金額)
(借)現金 200
(貸)雑収入 200
(注) 183,200円(修正後の現金勘定)-183,000円(現金実査高)=200円
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