【日商2級から税理士へ】合格したら何を勉強する?


(各項目のコメント部分は、連載から抜粋し再編集したものです)

① 帳簿組織

日商簿記検定では、英米式決算法という帳簿の締切方法を学習しますが、大陸式決算法(日商簿記検定の試験出題範囲外とされた項目)は学習しません。また、試算表を作成する技術は日商簿記検定の初級または3級で学習をしますが、作成する意義や必要性などの理論的な側面については、日商簿記検定でもあまり出題されないため、これらの内容について再度学習する必要があります。

② 特殊仕訳帳制

特殊仕訳帳制は日商簿記検定では未学習論点です(以前は出題範囲でした)。特殊仕訳帳制は、紙媒体で記録をしていた時代に、仕訳帳から他の帳簿への転記の合理化や事務の負担軽減を目的に考案されました。会計ソフトで記録する現代においては利用する機会がなくなったことから、第131回(2012年6月検定)日商簿記検定2級から実務的視点を踏まえて出題されなくなりました。しかし,特殊仕訳帳制による帳簿記入は行わないにしても、会計ソフトのプログラムには,その考え方が組み込まれていることから、特に簿記論では出題される可能性があります。

③ 商品売買の記帳方法

日商簿記検定では,主に三分法や売上原価対立法による記帳方法にもとづいた問題が出題されています。簿記論では,ほぼ毎年商品売買取引の問題が出題され、総記法、分記法、小売棚卸法など幅広く問われる傾向にあります。また、仕入値引きや売上値引きなどは日商簿記検定から出題範囲外となっています。

④ 特殊商品売買

税理士試験では、未着商品販売、委託販売・受託販売、試用品販売、委託買付・受託買付、割賦販売などの特殊商品売買取引の問題が出題されています。

⑤ 本支店会計

本店が仕入れた商品を支店に送付した時に、購入原価で記録をする場合と、原価に一定の利益を加算した金額で記録する場合があります。前者は日商簿記検定2級で学習しますが、後者は未学習項目です。

⑥ 本社工場会計

日商簿記検定では以前、本社と工場の内部取引について学習をしましたが、現在では一部未学習項目となっています。

⑦ その他

上記のほか、簿記論・財務諸表論に出題される項目で、日商簿記では学習しないものとして、以下のものがあります。

商品売買関連帳簿組織関連債権・債務関連引当金
・最終仕入原価法
・税法上の売価還元法
・後入先出法
・大陸式決算法 ・5伝票制
・繰越試算表
・為替手形
・ゴルフ会員権  
・資産除去引当金
理論で出題される可能性有り
現金預金関連固定資産関連個人事業関連 
・小口現金の現金過不足・臨時償却
理論で出題される可能性有り
・引出金   

日商簿記2級に合格するということは、簿記論・財務諸表論に合格するための基盤となる知識と技術は備わっているといえます。

税理士試験へのチャレンジも、考えてみてはいかがでしょうか。


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