誰かに話したくなる税金喫茶~次は酒場でお会いしましょう


『会計人コース』に初めて原稿を書いたのは10年以上前のような気がします。かなり長い間お世話になったわけですが、今回がとうとう最後です。毎月当たり前のようにあったものがなくなるというのは寂しいものですね。

この連載の目標はこんな感じでした

10年以上ということは、私の税理士生活はおおむね「会計人コースの原稿を書く」という作業とともにあったと言えます。そしてここ数年のモチベーションは「税金ネタは面白い! と思ってもらいたい!」ということでした。

開業して14年目にして思うのは、仕事として触れる税法は受験勉強の時よりも何倍も楽しいということ。その楽しさの中には、お客さんの役に立った! という達成感や今まで知らなかったことを知ることで知識欲が満たされたということはもちろん、「そんな考え方ってありなの?」「なんなの? その制度」といった感じの面白ネタとの出会いがあったりもします。個人的にはそういうネタが大好きで裁判例などをちょこちょこ読むのですが、そのお裾分けをしつつ、うまいこと皆さんを税務の世界に誘えればな、などと考えていたわけです。まったくうまくいった気がしませんけれど。

たまに読んでみると面白いですよ、裁判例

今までご紹介してきたエピソードは、ほぼ納税者と税務署が争った事例です。税金に関しての争いは、①納税者が自らの判断(と理屈)で申告をする、②税務調査で税務署が反論する、③折り合いがつかなければ国税不服審判所や裁判所で決着、という流れです。普通は①②で終わるのですが、うっかり③までたどり着くような案件はお互いの主張が正面からぶつかり合う、なかなかに面白い戦いです。そしてこの戦いの中では必ず絶対的なモノサシとして「税法」が登場します。言い換えれば、「税法」という共通のルールの下での納税者(with税理士)と税務署が真っ向勝負をするわけです。

そういった事例を見ながら、「どうやったら税務署の反論を許さず①だけで完結させられるか」などと考えて智恵を蓄えていくのも税理士としての楽しみです。そういったことを考えるためには知識の土台が必要となるわけですが、それが税理士試験の勉強なのだと思います。土台作りは地味で大変な作業ですが、今の苦労は必ず将来の自分を助けますから。

この連載は終わりますが、遠くない将来、税理士になった皆さんとお酒でも飲みながらそんな話ができる日がくると良いなと思っています。私は私でしっかり勉強をして素敵な税理士になっておきますので、皆さんも夏の試験まであと一息頑張ってください。またぜひ(というか次は三次元で)お会いしましょう!

本稿は、『会計人コース』2020年8月号に掲載したコラムです。

髙橋 創(税理士)
税理士受験講座の所得税法講師、会計事務所勤務を経て、新宿で独立開業。新宿ゴールデン街のバー『無銘喫茶』(http://mumei.co.jp/)のオーナーでもある。『図解いちばん親切な税金の本19-20年版』『フリーランスの節税と申告 経費キャラ図鑑』が好評発売中。YouTubeで『二丁目税理士チャンネル』を運営中。

イラスト・レイアウト:ヨシムラヒロム


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