【解答】
1.C会計上の見積りの変更
2.
① 新たな事実の発生に伴う見積りの変更に関する会計処理として、実質的に過去の期間への遡及適用と同様の効果をもたらす処理は不適切である。
② キャッチ・アップ方式による処理が適切と思われる状況があったとしても、耐用年数の短縮に収益性の低下を伴うことが多く、減損処理の中で影響を含めて処理できる。
③ 臨時償却として処理される事例の多くが、将来に生じる除却損の前倒し的な意味合いが強い。
【解説】
会計上の変更等では、減価償却の計算・理論ともに問われやすいため、注意が必要です。
1.
耐用年数の変更は、取得時に見積った耐用年数を変更するものであるため、会計上の見積りの変更に該当します。仮に、取得時に合理的に入手できる情報から10年とすべきであったにも関わらず15年としていた場合の処理はD過去の誤謬の訂正となります(本文では「使用実態を踏まえて検討した結果」とあるため、取得時にはわからなかった取得後の使用状況を踏まえた変更であると判断できます。)
また、もし定額法や定率法といった償却方法の変更の場合は、償却方法自体は会計方針であるがその変更は当初見積った消費パターンが変わったことによるものであるとして、「会計方針の変更と会計上の見積りの変更を区別できない場合」に該当します。
2.
①は見積りの変更による影響は当期以降に反映させるべきであるため、遡及適用と同様の処理にすべきではないということを指摘する論拠です。
②は仮に一時で費用を認識すべき状況があっても減損損失として計上されるため、あえてキャッチ・アップ方式をとる必要がないことを指摘するものです。
そして、③は将来の除却損と見積りの変更は性質が異なり、まだ除却していない時点で一時に処理すべきではない(もし、前倒しで除却損の計上が必要ならば減損損失に含めて処理される、もしくは資産除去債務や引当金などで処理される)ことを指しています。
また、解答には示しませんでしたが、他にも国際的な会計基準とのコンバージェンスの必要性も論拠として挙げられます。
つぶ問は、2018年9月号~2019年8月号までの連載「独学合格プロジェクト 簿記論・財務諸表論」(中村英敏・中央大学准教授/小阪敬志・日本大学准教授)に連動した問題です。つぶ問の出題に関係するバックナンバーはこちらから購入することができます。
【つぶ問】一覧
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つぶ問1-4(財務諸表論)-企業会計原則
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