【私の独立開業日誌】税理士 伊藤江梨


会計人を目指すみなさまへ

  福島県郡山市で税理士として開業しております伊藤江梨と申します。会計の資格取得に向けて勉強に励んでいるみなさま、とてもしんどいですね。心が折れそうになることが何度もあるかと思いますので、みなさまがその先に明るい未来をイメージできるようなお話ができればと思います。

脱サラ目指し、ゼロからの出発

 私が税理士の資格取得を目指し始めたのは28歳のころでした。会計の世界ではレアキャラのようですが、私は大学で法学・政治学を学び、その後報道記者として6年間働きました。あまりみない経歴なので「なぜ記者をやめて税理士になったの?」と聞かれますが、一番の理由は「脱サラしたかったから」です。報道の仕事は大変勉強になりましたが日々苦しく、サラリーマンも向いていませんでした。将来的には地元の郡山に戻りたいと思っておりましたが、潰しが効きにくいといわれる報道の仕事以外で、自分ができることはとても少ないように感じていました。その中で出会ったのが「税理士」という仕事でした。

 当時たまたま経済部の仕事をしていたため、企業の決算に触れる機会が多く、仕事の一環で簡単な会計の勉強をしていたところ、地元で会社経営をしている父から「別の仕事を考えているなら税理士なんてどうだ? 一度顧客をつかむと毎月顧問料が入るから事業を回しやすいぞ」と紹介をされ、その気になりました。

 もしゼロから税理士という新しい分野に挑戦するなら、30歳を目前にして今が最後のチャンスのように思い、報道の仕事を辞め、実務経験を積みながら税理士の資格取得を目指すことにしました。

税理士資格取得へ上り坂全力疾走

 報道記者はとても大変な仕事でしたが、その分給与は高水準でした。競争倍率約100倍の採用試験で拾ってもらった会社を辞めるからには、「必ず5年以内に税理士資格を取得し、6年以内に独立して食べていけるようにする」という「事業計画」を立てました。試験勉強をズルズルと続けたくはなかったので、5年で資格取得できなければほかの道を探す覚悟でした。

 やはり何事も明確な目標設定をするのは重要ですね。2012年の春から勉強を始め、なんとか2016年の試験で5科目合格を果たしました。その間は本当に苦しい時期でした。仕事は定時で上がらせてもらい、そこからまっすぐに自習室や飲食店に居座って、毎日日をまたく時間ぐらいまではずっと勉強に向き合っていました。

 当初の予定よりも合格までに時間がかかってしまったため、「独立して食べていけるようになる」という目標の期限まで残り1年しかありませんでした。少し無謀かなという自覚はありましたが、地元の家族も戻ってくることを歓迎してくれたため、いわき市の修行先を辞めて郡山に戻り、突然開業しました。


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