わたしの独立開業日誌 #社労士・村松朋恵


編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。

専業主婦から「コネなし・金なし・経験なし」で出発

皆様、こんにちは。

埼玉県川口市で社労士事務所「HAPワークライフサポート」経営しております、村松朋恵と申します。当事務所は、2016年9月開業し6年目になります。10年間、専業主婦として過ごしたのちに「コネなし・金なし・経験なし」の状態で社労士事務所を開業しました。

プロフィール写真

親の病気を機に独立開業を決意

親が病気になり、介護のために度々帰省しなければいけなくなったのですが、実家が遠方なので帰省するための出費が1ヶ月で10万円位かかりました。毎月この金額を夫のお給料より払うのは申し訳なくなり、税理士事務所にパートで勤務することになりました。

しかし、当時子どもが通っていた学校には学童保育がなく、家事育児は私がほぼワンオペでやっていましたので、パート勤務とはいえ十分な勤務時間が取れませんでした。

また、親の体調が悪くなる度にお休みをいただくような状況で働くことが厳しくなり、開業しか選択肢がないと思い、開業することとなりました。

独立開業にあたって考え行動したこと

まず、開業するときには4つの事を実行しました。

なりたい社労士像をイメージした

一人事務所として社労士業を極めるのか、人を採用して組織として事務所運営するのかを考えました。一人事務所として、自分が受けることのできる量の仕事をする働き方も魅力的でしたが、私は、お金が必要でしたので人を採用し組織をマネージメントする働き方を選び、2016年9月の開業の翌年春に一人目のスタッフを採用しました。忙しくなったら、人を採用すればいいという考え方もありますが、まず自分がなりたい社労士像をイメージして実現のためには売上がほぼない状態でしたが人の採用に踏み切りました。

経営計画をたてる

売上0円の時点で経営計画と事務所理念を作成しました。社労士の先生方は、開業時に経営計画を立てている方が少ない印象があります。売上に関しても営業に関しても、1年間で何をする等を決めずに実務をがむしゃらにやっている方が多くみられます。実務は最優先で大切ですが、計画は重要です。売上も月で見るか年で見るかで違いますし、特に小規模事務所は売上高でなく所得で見なければ本当に採算がとれているかわかりません。

融資を受けた

開業してすぐに融資していただきました。そのお金で何をしたかというと、開業ノウハウやマネジメントノウハウなどを有料で教えてくれるコースに参加しました。あちこちに散らばっている無料情報を集めていては時間がありませんでしたので、早いうちにお金を払って有益な情報を手に入れて、実践していきました。

事務所を借りた

すぐにスタッフを採用する予定でしたので、事務所を借りました。最初に採用するスタッフは女性になるだろうなと漠然と思っていましたので、トイレが事務所外にあり綺麗であることなどの環境を重視しました。

働くことも好きだけど育児と家事を優先したい

両親をはやく亡くしたこともあり、私にとって家族と過ごす時間はとても大切なものです。私は仕事より、終わりがある育児を優先した働き方をしたいと思いました。

しかし時間がない中でスピード感をもって売上を伸ばし事務所を拡大しなければいけません。それは、実務をしながらでは実現できないと思いました。まず、最初に採用したスタッフには経理と手続きをお願いしました。そして2人目のスタッフには給与計算ができる方を採用して給与関係をお願いする、というように少しずつ実務を手放していき、開業2年目から、私は実務から離れています。6年経った今は、スタッフは4名になり最初からスタッフに任せることができ、事務所運営に集中できるようになりました。

スタッフもプライベートを大切にする方が多く、当事務所は残業がほぼなく、テレワークが可能であること、自由な時間で働けること、有給休暇を100%取得できること、急なお休みにも対応できる環境を強みとしています。

これから開業される方へ

SNSなどで、いやというほど独立開業に関する情報がはいってきます。自分はこうあるべきと決めておくと誰かと比べることで、焦ったりはしなくなります。

売上や事務所を大きくすることが成功ではなく、自分がやりたい形で納得のいく仕事をすることが成功であると思います。

自分の得意を伸ばしながら、自分のやりたい形で楽しく働けることが開業する魅力の一つです。是非一緒に頑張っていきましょう。

【執筆者紹介】
村松朋恵

社会保険労務士。HAPワークライフサポート所長。
同志社女子大学卒業。アパレル系企業・リクルート関連会社勤務後、平成16年に社会保険労務士試験に合格。税理士事務所・社会保険労務士事務所での経験を経てHAPワークライフサポートを開業する。
事務所HP:http://hapworklife.net/
     https://hapjoseikin.net/

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