はじめに
11月後半はまだ成績表が届いていないため、方針を決められず、焦っている方も多いはずです。本記事では、今の時期に個別相談でお伝えしている内容を紹介します。
他の道も含めて検討する場合
専念期間が3年を超えるなど将来への不安が強い場合は、各予備校の就職相談を活用しましょう。
私が直接知っているケースでは、上場会社の経理・財務・経営企画・内部監査・会計関連ソフトウェア・コンサルティングファームなど、元会計士受験生が様々な職場で高く評価されています。
会計士試験受験を続ける場合でも、「自分には他に道は残っていない」という切迫感を原動力にして突き進む人もいれば、様々な選択肢を知って環境を整えた上でこそ、集中して頑張れる人もいます。
会計士を目指す!と決意したら
12月の短答式試験の時期までにある程度会計学の計算力を戻せると、その後も有利に進められます。
しばらくは「あと1年、だいぶ先だな・・・」「1日が長いな」と感じるはずですが、各予備校で答練ラッシュになる2月以降は、予想以上に早く過ぎていきます。
専念生の方は、最初から8時間などでなく、まずは数時間からでもいいでしょう。
計算科目に集中することで、勉強習慣も取り戻しやすいです。
週前半・後半の振り返りやリフレッシュも兼ねて、定期的に体を鍛えるのもおすすめです。
本試験で手も足も出なかった場合
科目の多さや記述問題・資料の量に圧倒されて、「論文を突破できるイメージが湧かない」という人も多いと思います。
実際には、基礎的な問題が解ければ、合格点に達します。
自分の不足している力や対応策について、解像度を上げていきましょう。
論文では、「まずは、各科目・各大問で守り切る。その上で、余裕があれば得点を積み上げる」ことが重要です。
例 「計算が弱い」
・メンテナンス不足・・・教材の使い方を見直す/模試に向けて調整する
・同じ問題を4・5周しているが、初見の問題は解けない・・・テキストに立ち戻る/同じ論点の別の問題にあてはめて解いてみる
・時間が足りない・・・大問ごとの時間配分を見直す/構造論点から先に解く
・総合問題への対処が苦手・・・制限時間より短い時間で解き直す/簡単な問題を見分ける
・疲労によるミスが多い・・・自習時、疲れている時間帯に計算演習
特に、受験勉強の経験があまりないと、本試験や答練後の課題発見や軌道修正に不慣れなことが多いです。
自分なりに取り組みつつ講師と定期的にやり取りをすることで、徐々に自走できるようになってきます。
ある程度戦えたが、あと一歩足りなかった場合
「もう少し暗記の精度を上げておけば・・・」「答練の復習をしておけば・・・」などの思いから、直前期のように、論点を細切れで暗記中心の学習を続けてしまいがちです。
今の時期は、よりいっそう基礎を固める・さらい直す時期です。
4月頃までの範囲指定のある答練も活用し、テキスト全体を横断的に確認しましょう。
大きく苦手な科目は、1月半ばを一つの目途として、集中学習も効果的です。
論文リスタート生の強みと弱み
一般論として、論文リスタート生は、租税法の計算と理論科目の論証暗記が強みとなりやすいです。
一方で、過年度の答練が手元にあることにより問題ベースの学習に偏りやすく、数ヶ月のブランクもあることから、短答合格直後に比べてテキストの基礎知識が抜けやすいことが弱みです。
例 企業法の場合 危険な兆候
・答練や本試験で、偏差値が極端に乱高下する
・暗記問題は書けるが、講師と話すと、条文の基礎知識不足に気付く
・事例を読んでも、どのような法令に違反しているか見当が付かない
問題演習やテキスト目次を見た際に、「あ、これはテキストの見開き右上の話だな」と想起できるかどうかも一つの目安です。
企業法の学習については、以前宮内先生と対談した際の記事も参考にどうぞ。
TAC人気講師・宮内先生×平林先生のアドバイス!「企業法」論文式対策のコツは?~法律科目の暗記法(前編) | 会計人コースWeb
成績表と答案が届いたら
合格発表から2週間以内に成績通知書が発送、12月上旬以降に採点前答案が発送されます。
平均以下の大問について、原因を分析しましょう。
自分の手応えと大きく乖離した大問があれば、講師に答案を見せて、自分なりの分析結果を伝えた上で一緒に検討しましょう。
12月は、論文生にとっても大事な時期です。短答生に遠慮せず、ぜひ相談にいらしてください。
チェック項目
□設問に対して適切に回答できているか?
□論理の飛躍なく、順序立てて説明できているか?
□計算で簡単な箇所を正答できているか?
□(覚えていれば)大問ごとの時間配分はどうだったか?
もし成績が予想以上に低くても、落ち込みすぎずに進みましょう。
総合偏差値30ほどから翌年見事合格するケースもよく見かけます。
X(旧Twitter)やセミナーで素点と偏差値の関係をお伝えすると、意外と合格ラインの点数が低いことがわかります。
「全く手が届かないと感じたけど、あと計算数問だけで合格できるのか」という人も多いはずです。
最後に
合格発表直後は不安そうだった受講生さんが、分析・軌道修正を繰り返して徐々に自信が生まれて、4月頃の個別相談時には顔つきや声・受け答えが驚くほど変わっていることがよくあります。
今は精神的にもダメージを受けていると思いますが、講師や周りを頼りつつ、最後まで走り抜けてほしいと願っています。
皆さんの挑戦を応援しています。
プロフィール
平林 黎(ひらばやし れい)
TAC公認会計士講座講師(財務会計論-理論、個別成績/学習方法相談、質問対応、オンラインセミナー、受講生向け公式LINE担当)。
1986年東京都多摩市生まれ。国際基督教大学教養学部国際関係学科卒業。体調を崩し、会計士受験を一度撤退。
2014年独学で保育士資格取得後、会計士を再度志す。
2016年論文式試験に合格し、現職。
2020年以降、オンラインでの相談対応・セミナーを開始。
下記SNSで主に受験生に向けた情報発信を行っている。
◆Twitter(https://twitter.com/hirabayashi_tac)
◆Instagram(https://www.instagram.com/hirabayashi_tac/)
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