【USCPA合格体験記 】Fail6回、2年9カ月の奮闘記


金太郎(USCPA(ワシントン州))

【編集部より】
USCPA(米国公認会計士)試験の受験を検討する人にはさまざまなバックグラウンドがあるそうです。そのため、受験をスタートする時点での経験、受験勉強を続ける環境も人それぞれ。たとえば、簿記・会計の前提知識の有無によっても、試験対策の方法や戦略が変わるでしょう。
そこで、本企画では、異なるバックグラウンドのUSCPA合格者に、受験エピソードを教えて頂きました。これから受験を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
なお、USCPA試験は2024年から新試験制度に移行しました。合格体験記の中には旧制度での合格者もいますのでご留意ください。

USCPA受験のプロセス

2021年1月5日にUSCPAの受験勉強を開始し、2023年10月10日に4科目合格(NY州出願)することができました。その後、2024年1月2日WA州にてUSCPAライセンスを取得しました。

USCPAの受験では、Fail (不合格)6回、受験期間は 2021年1月6日~2023年9月27日 とほぼ2年9ヵ月を要しました。

初回のFAR(財務会計)受験から4回目のAUD(監査及び監査証明)受験まで5回連続のFail。この時は「永久に合格できないのではないか?」と不安になりましたが、「努力は裏切らない」、「継続は力なり」と信じ、また 適切な情報収集と助言を得て勉強方法を見直すなどを行い、5連敗の後は“破竹の3連勝”で最終科目のREG(税法と商法)にたどり着くことができました。

受験科目・結果の変遷、学習時間は以下のとおりです。

  • Fail 6回(内訳は、FAR 1回、AUD 4回、REG 1回)
  • 各受験の科目・点数・受験日:
    FAR(1) 63点(2022/02/14) ⇒ AUD(1) 72点(2022/05/16) ⇒ AUD(2) 67点(2022/07/19) ⇒ AUD(3) 73点(2022/09/26) ⇒ AUD(4) 73点(2022/11/13) ⇒ AUD(5)82 点(2022/12/26) FAR(2) 79点(2023/01/22)BEC(1) 80点(2023/06/05) ⇒ REG(1) 69点(2023/09/06) ⇒ REG(2) 77点(2023/09/27)
  • 総学習時間:
    総計 2,930時間
    (内訳は FAR 1,292時間、AUD 901時間、BEC 267時間、REG 470時間)

平日は仕事もあり、なかなか時間が取れないので、休日に集中、2022年から休日は1日10時時間以上勉強していました。受験勉強の期間中、通勤電車の中では人目も気にせずひたすらテキスト/問題集を読んでいました。

使用教材・道標

スクール

USCPAの専門スクール「プロアクティブ」を受講しました。佐々木先生の講義は非常に面白く、わかりやすかったです。質問への回答も非常に迅速で、また事務局の対応も丁重で親切でした。受験後には毎回、佐々木先生のガイダンスがあり、非常に励みになりました。特に、初受験から5連敗の時は救われました。

教材

受験勉強を開始して10ヵ月ほど経過した頃に、国際資格の専門校「アビタス」のテキストと問題集を入手し、併用を開始しました。プロアクティブは動画が中心で、そこで得た骨格をアビタスのテキスト・問題集で補強、肉付けしていくイメージで使用しました。

総まとめ

REGについては、受験生の間で定評のある「TAC 2023年 REG直前対策講義」を総まとめとして活用、TBS(事例形式問題)の実践的な問題も豊富でした。動画解説はわかりやすく、とりわけ杉浦先生の講義は重要ポイントをクリアに解説、直前のまとめとして最適でした。

USCPAどこのブログ:USCPA試験とキャリア」 はたいへん参考になりました。様々な詳細な情報が丁寧・詳細に、また頻繁にアップデートされ最新情報が記されており、非常に有難かったです。とりわけ、5連敗で”お先真っ暗”であった際には、受験生に寄り添う様々なアドバイスに救われました。受験生にとって心強い道標、羅針盤です。
『USCPA(米国公認会計士)になりたいと思ったら読む本〈改訂版〉』(中央経済社)も是非ご一読をお勧めします。

反省点

2021年1月の勉強開始から初回受験(FAR、2022年2月)までの期間が長すぎました。はじめての受験前は妙に構えてしまい、なかなか受験に踏み切れなかったのですが、お試しでももっと早い段階で受験すべきでした。

USCPAは合格すれば”米国の会計士”になれる試験です。その試験が簡単であるはずがありません。成功体験を綴った合格体験記の中には「それほど苦労なく合格した」かのように読めるものもありますが、「それが自分にも当てはまる」とは限りません。USCPAの勉強に着手する際は、「よくよくの覚悟(強い決意)」をもって臨まれることを強くお勧めします。

振り返ってみて思うこと

日本人にとってのUSCPA試験は、「USCPAとしての知識」という本質的な部分に加え、「多量の英文を素早く的確に読み取って正しく理解する」という「英文を速く正しく理解する能力」が問われる試験です。したがって、「英語力はさほど問われない」とか「教材が日本語なので大丈夫」という表現に安易に安心しきってはいけません。

USCPAの学習を進める中で常に問題文の「速読速適解」(速く読み速く的確に理解する)に留意し、向上に努めることが肝要です。ちなみに、私の場合は「英語がそこそこ読める」と勝手に思い込んでいたのですが、「実はそうではない」ということをUSCPAの勉強を通じて痛感しました。「速読速適解」は常に意識をし続けたことです。

USCPAの試験問題は「基本事項をきちんと習得すれば解答、合格できる問題」です。「考える力(思考力)」がなければ合格できない、というほどの応用力は求められません。

基礎事項を着実に押さえれば合格できる一方で、問題数が多く時間が足りない、あれこれと考えていると時間不足になります。したがって、知識のInputはもちろん、Outputの充分な練習=MC(四択問題)を解くこともかなり重要です。
要するに 問題を読んですぐにあれこれ考えなくても、解答に必要な知識が「頭の中の引出し」からすぐに引き出せるレベル、「ははぁ~ん、これね!(^^)!」とすぐに論点や何が問われているのかが峻別できるレベルにまで習熟することが必要です。

MC(四択問題)の問題集を複数回こなすことによってTBS(事例形式問題)に対応できる知識も身につきます。ただし、解答形式に慣れる、多量の資料から必要な情報のみを抜き出す訓練という目的で、TBS(含めDRS(資料レビュー問題))の練習もある程度は必須です。

受験準備(勉強)に際しての戦略・戦術もすごく重要です。「いかに効率的に習熟度を高めるか」、つまり忘却曲線を意識した適時な復習、受験直前期のToDoなどが肝要で、これについては上述のどこさんのブログが参考になります。

何度もFailし、壁を感じる方は、今一度自分の勉強法などを再考してみるとよいでしょう。
USCPAの受験準備もまさにPDCAの繰り返しです。ビジネスやスポーツにも多分に通じるところがあると思います。

おわりに

USCPAは「努力がかなり結果に反映される試験」というのが私の印象です。地道な努力はかなりの確度で成果に反映される一方、”まぐれ”や”出会い頭”での合格はあり得ないと思います。

恥ずかしながら、私も最初5連敗した時は「いったいどうなってるんだ???」と現況が信じられないような思いでした。ただ、着実に実力(上述の英語の「速読速適解」や慣れ)がついてきたのか、そこから3連勝(AUD、リベンジFAR、BEC)することができました。

努力すれば その分着実に合格に近づきます。最終的に4科目合格できるか否かを分けるのは、 USCPAに対する”熱量次第”(本気で合格したいのか否か)でしょう。

「努力は裏切らない」、「継続は力なり」です。ぜひ、強い心で頑張ってください!!

<執筆者紹介>

金太郎

57歳で一念発起し、59歳10か月でUSCPA合格
都内私立大学の理工学部卒業、都内私立大学の大学院商学研究科修了(修士(MBA))
3メガバンクで東南アジアを担当、海外駐在8年。日常業務では時々英語を話す程度、読む機会はそこそこあるものの、USCPAの受験準備に着手した時点では関連知識はなく、財務諸表(BS、PL、CF)は読めるが財務・経理・会計など会計や監査関連分野の業務経験はなかった。
保有資格等:TOEIC905点(R/410,L/495)、CAMS(Certified Anti-Money Laundering Specialist)、通訳案内士(英語)2016年取得。


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