わたしの独立開業日誌　#税理士・森大輔

【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます（木曜日の隔週連載）。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。

相続専門税理士として独立開業して１年！

はじめまして。
東京都新宿区で相続専門税理士をしている森大輔と申します。
2023年８月に開業をしました。ちょうど１周年のタイミングで執筆する機会を頂きました。

皆様にとって少しでも役に立つ内容になっていましたら幸いです。

独立開業を決意した理由

独立した理由は「本当にやりたいことをやりたい」からです。

税理士資格を取得してから本当にやりたいことを実現する道を探っていました。
複数の税理士事務所を経験し、自分が何をやりたいのか常に探してきました。
「これだ！」と行きついた先の１つが相続でした。

あくまでも相続は１つの要素でしかありませんが、税理士資格を有効活用するためにも相続分野は大事だと考えました。
本当にやりたいことを見つけてからは、プライベートの時間も専門書を読み漁り、相続以外でも貪欲にスキルアップしていました。
例えば、心理学・デザイン・ＩＴ・経営など幅広く勉強していました。

実は、独立直前の勤務先は私のやりたいことと同じ方向へ進んでいると感じていたため、独立も転職も選択肢の中にありませんでした。
しかし、組織である以上は様々な要因によって方向性が変わることもあります。
方向性が変わってきていると感じたタイミングで急に熱が冷めていきました。

「ここにいてもやりたいことには近づけないのでは…」

このように感じた瞬間が独立を決意した大きな決め手でした。

多角的な視点で準備

細々とした準備はたくさんありましたが、この２つが大事だと考えています。
想いと数字の両輪で準備しておくと間違いありません。

想いを言葉に

開業前に考えた当事務所の基本理念は「手の届く範囲の人を幸せに」です。

意味は言葉の通りですが、誰かを幸せに導ける税理士でありたいと思っています。

私１人の手で届けられることは多くありませんが、協力してくれる仲間を増やしたり、ＩＴを活用したり、手を届けられる範囲を拡げていくことで誰かを幸せにできる範囲も拡げていけると考えています。

もちろん、私や仲間の幸せも大事にしています。
私達自身が幸せではないのに他人を幸せにできるわけがありません。

自分の想いを乗せたワンフレーズを考えておくと何かの時に心の拠り所にもなると思います。
基本理念とは別に好きなフレーズもいくつかあります。

ひたすら試算

相続専門税理士で独立すると基本的にスポット報酬のみになります。

安定収入が全くない状況になるため、どうしたら生きていけるか検討しておくことが重要だと考えました。

「収入がなくてもどれぐらいの期間は大丈夫か。」

「必須の固定費はどれぐらいかかるか。」

「生活費等はいくらあれば足りるか。」

など情報収集・試算・比較をひたすら繰り返していました。

試算は皆様も独立を検討する際には自然と実施すると思いますが、その後の経営にも繋がりますので、じっくりと検討してみてください。

日頃から簡単な家計簿をつけておくと考えやすくなると思います。

仲間を探しに駆け回る

悪いこととは思いませんが、士業の世界にいると同僚・クライアント以外の人と会う機会が極端に減っていくように感じます。

受験生は勉強に打ち込むため必然と一人の時間が増えていくと思います。

ちなみに私のサラリーマン時代は、１年間で社外の人間に出会う機会が非常に少なかったです。
だから、独立時にすぐに提携できるような仲間があまりいなかったのでしょう。
今までの積み重ねの結果ですが、実感すると悲しいものがあります。

そこで、独立後に一番に意識したことは様々な人に会いに行くことです。

SNSで声をかけたり、交流会に行ったり、紹介していただいたり、と方法は様々でしたが、開業してから約１年間で出会った人は400人を超えていました。

今ではその中から一緒に仕事をする仲間ができ、人の繋がりは本当に大事だと実感しました。

受験生のうちは受験生同士がライバルになってしまいますが、できるなら横の繋がりは大事にしておくと良いです。
同じ苦しみを味わった者同士、将来は助け合える仲間になっていると思います。

最後に１つだけ

最後に士業を目指す皆様へ質問です。

「あなたは何のために士業になりたいか？」

表現は若干違いますが、私がとある就職面接の際に言われ、人生を考えるきっかけになった言葉です。あなたなりにこの答えを考えてみてください。

きっと目指したい世界が少しずつ見えてくると思います。

難関の士業を目指し、資格取得まで辿り着くのなら、自分の理想の世界を描いた方が楽しいと思います。
自分が本当にやりたいことを見つけて実現しましょう。

いつか一緒に面白いことができる日を楽しみにしています。

＜プロフィール＞
森大輔（もり・だいすけ）
森大輔税理士事務所 代表税理士

熊本学園大学大学院会計専門職研究科修了(会計修士)
個人税理士事務所、中堅税理士法人を経験し、ルーチンワーク主体の税理士業務に疑問を抱き、税理士として関わる人が幸せになる選択肢を提案するため相続専門税理士の道へ。400件を超える相続税申告関与実績と親しみやすさから安心感の高いサービスを提供している。
現在は相続税を知らないことで損をする方を救うため、相続対策コンサルティング・終活支援・セミナー活動等にも注力している。

ホームページ：https://dm-taxcounselor.com/
X（旧Twitter）：https://x.com/dm_taxcounselor

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