【連載・最終回】基礎力チェック! 消費税課税判定クイズ2024(第8回)


川上悠季(税理士)

【編集部より】
答練や模試が本格化する直前期は、難しい論点や新しい論点がつい気になるところです。しかし、どの科目においても、合否を分けるのは「基礎論点」と言われます。
そこで、本連載では、消費税の課税判定に関する○×問題を、税理士の川上悠季先生に週一ペースで出題していただきます(全8回)。各回、全5問なので、スキマ時間での基礎固めにぜひご活用ください!

こんにちは!税理士の川上悠季です。

全8回にわたり連載してきた消費税課税判定クイズもいよいよ今回が最後です!

それでは、最終回の5問に挑戦してみてください!

問題(全5問)

解答・解説

問1.×

金銭を貸し付ける行為は不課税取引であるため、貸付金に係る貸倒損失については貸倒れに係る消費税額の控除の規定の適用はありません。

問2.

課税期間における課税売上高が5億円を超える場合又は課税売上割合が95%未満の場合は、課税仕入れ等の税額を個別対応方式又は一括比例配分方式により按分計算を行う必要があります。本問の場合、課税期間における課税売上高は5億円以下ですが、課税売上割合が95%未満なので、仕入税額は按分計算が必要です。

問3.

立退料は、賃貸借の権利が消滅することに対する補償、営業上の損失又は移転等のために要する実費補償等に伴い収受するものであり、資産の譲渡等の対価として収受するものではないため、課税の対象の4要件のうち「対価を得て行うものであること」の要件を満たさず、不課税取引となります。

問4.×

資産の国外移送が行われた場合は、本船甲板渡し価格を課税売上割合の分母及び分子にそれぞれ算入します。

問5.

通常必要と認められる通勤手当の支給額は、適格請求書の保存を要せず、一定の事項を記載した帳簿を保存するのみで仕入税額控除の適用を受けることができます。

学習到達度とアドバイス

いかがでしたか?

今回の問題は、問1は貸倒れ、問2は仕入税額控除、問3は対価性の判定、問4は資産の国外移送、問5はインボイス制度の論点から出題しました。
今回は特にひっかけはなく、是非とも満点を取ってほしい問題でした。

本試験まで残すところあとわずかとなりましたね。
ここでいったん、過去を振り返り、これまでの努力を思い返してみてください。
その頑張りは必ず実を結びます!

試験当日は、難しい問題が出てもまず基礎的な考え方に立ち戻り、自分を信じて焦らず冷静に問題に取り掛かるようにしましょう。
本連載が消費税法の基礎論点の定着のためにお役に立てたなら本望です。

皆様の努力が実りますよう、心から願っています!

第6回の正答率とフィードバック

「消費税課税判定クイズ」第6回の集計結果が出ました。
正答率は次のとおりです。

問1(見舞金の課否判定):88.4%
問2(製品製造工場の工員の通勤手当の課否判定):92.8%
問3(著しい変動の意義):63.8%
問4(中間納付額の計算):73.5%
問5(特定新規設立法人の意義):27.5%

今回は問5の正答率が非常に低くなっていました。
特定新規設立法人の判定時期についてのひっかけ問題で、多くの方が誤答してしまったようです。
難易度の高い問題ではありますが、本試験では受験生同士の実力差が如実に反映される問題といえます。
間違えてしまった方は、理論暗記の細かい部分に抜けがないか総点検するようにしましょう!

<連載「基礎力チェック! 消費税課税判定クイズ」バックナンバー>
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回(最終回)

【執筆者紹介】

川上 悠季(かわかみ・ゆうき)

慶應義塾大学卒業。
23歳で税理士試験官報合格(簿記論、財務諸表論、法人税法、消費税法、事業税)。
2022年日税研究賞入選。2024年新日本法規財団奨励賞(会計・税制分野 優秀)受賞。
自身が税理士受験生だったときにスマホアプリ「消費税法 無敵の一問一答」を開発。「楽しく学ぶ」をモットーに、アプリやウェブサイト、SNSなどを通じて消費税法の知識を広く発信している。
・X(@YukiKawa_Tax 本人アカウント)
・X(@mutekishouhizei 消費税法一問一答アプリアカウント)
「消費税法 一問一答アプリ」公式ホームページ


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