春からの会計系資格スタートガイド【簿記検定】


#たねだぼき
種田有紀

【編集部より】
新年度を目前に勉強意欲が高まっている人も多いのではないでしょうか。ビジネス雑誌などでも「資格」のテーマはよく取り上げられており、会計系資格も根強い人気があります。
そこで、「この春から会計系資格の取得を目指して本格的に勉強を始めたい!」という人のために、会計人コースWeb版スタートガイドとして、各検定・資格の人気講師にアドバイスをいただきました。
今回の記事では、日商簿記検定について、種田有紀先生(@boki_taneda)にナビゲートをお願いしました。簿記検定は会計系資格の入り口ともいえる試験なので、この記事を参考にぜひよいスタートダッシュを切りましょう!

簿記3級は上位資格の土台になる!

会計系資格の入り口として、多くの方が日商簿記検定3級(以下、「3級」といいます)の合格を目指して、学習をスタートさせます。

3級は、会計の初歩的な内容ですが、上位資格の土台になる基本的な考え方や簿記のスキルを身につける学習が中心となります。そのため、初歩的な内容だからと軽視せずに、しっかりと学習に取り組みましょう。

何から始める?

はじめて3級の合格を目指す方の多くは、資格予備校の通学・通信講座や市販の教材を使用して学習を開始します。

3級は市販の教材を使って「独学」でも合格は可能です。しかし、もしも独学で挫折したり、学習が難しいと感じたりする場合は、3級の教材よりもさらに簡単な内容の入門書などを読んでみることをお勧めします。

さらに、より確実に3級を合格したい方や3級以上の資格を目指す場合は、予備校の通学や通信講座も選択肢に入れることをご検討ください。

3級は上位資格の学習のベースとなるため、体系的な理解(特に、決算について)が必要です。しかし、実際には仕訳のパターンを覚えて3級に合格したものの、2級になってから3級の内容でつまずく方もいらっしゃいます。

このように、理解不足のまま上位資格に進むと、内容や講義についていけなくなるおそれがあるため、挫折の原因になる可能性があるのです。

具体的にどう行動すればよい?

手元に必要な「教材」を準備しよう!

必要な教材は、テキスト、問題集(テキストと一体型のものは必要なし)、本番形式問題集(模擬試験や予想問題集など)の3点です。

予備校で講座を申込みされた方は、指定の教材を利用しましょう。教材が配布されるのか、購入するのかは予備校の指示に従ってください。

独学の方は、実際に書店へ行っていくつかの教材を自分で見比べ、合うものを選ぶとよいでしょう。これから簿記を勉強する人に、私がお勧めする書籍は「春休みに本を読もう!種田有紀先生(LEC講師)がオススメする課題図書」でご紹介していますので、よろしければ参考にしてください。

「電卓」を準備しよう!

3級の合格を目指すのであれば、基本的には、自宅にあるもので十分です。ただし、試験会場で使用可能な電卓機能が決められていますので、前もってご確認ください。
また、すでに自宅にある電卓でも、カード電卓のような極端に小さいものや、逆に大きすぎるものは、電卓の操作や打ち間違いの原因になるので、別のものを準備しましょう。

これから購入する方は、使用する電卓は「手のひらサイズ」のものを推奨します。なぜなら、集計の正確さやスピードの影響するため、片手でキーを叩きやすい電卓のほうがよいからです。

「仕訳」を中心にマスターしよう!

現行の検定試験では、より一層「仕訳」の重要性が増しました。仕訳には期中仕訳はもちろん、決算整理仕訳、損益振替仕訳、資本振替仕訳も含まれます。

そのため、最初のうちは、紙に書くなど、実際に手を動かして「仕訳」を学習するほうがよいでしょう。これは、「勘定科目」の名前や「簿記の5要素」の動きを身につけるためです。

受験生活が始まったら

学習の進め方

まずは、予備校の講座を申し込まれた方は講義を受け、独学の方はテキストを見ましょう。

その後、学習した単元で出てきた設例や例題を、解説を見ずに自力で解けるように復習しましょう。

テキストの設例や例題を自力でできるようになったら、その単元の問題集を解いて定着するよう反復練習をします。

全体的に一通りテキストと問題集を学習したら、本番形式の問題集を解いてみます。

本試験までに一度は時間を計って本番形式の問題を解いていきましょう。そして、できなかったところの復習を忘れずにします。

簿記の学習方法については、以前掲載した記事「日商簿記2・3級合格に大切なたった3つのポイント」をご参照ください。

スキマ時間を活用しよう!

とくに社会人の方などは、学習時間の確保に苦労すると思います。最低限、スキマ時間を使ってテキストの例題や設例を自力で解けることを第一目標にしてみましょう。

最初から、高いハードルを設けて挫折してしまうよりも、3級の学習範囲を一通り学習して全体像をしっかりと把握してください。

もちろん、最初から気合十分で着実に進んでいける方は、しっかり学習して短期合格を目指しましょう‼

ネット試験を受験するなら

ネット試験を受験する方は、本番までに画面を見ながら解答することを実際にやってみてください。おそらく、紙面と異なり、集計しづらく感じるかもしれません。しかし、一度でもそれを経験することで本番での落ち着きが異なります。

この春、新しいチャレンジをしよう!

新しい生活が始まる方も多い春に、ぜひ新しいチャレンジとして会計資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。

簿記を学習することで、お金に対する見方が変わり、新しい視点を身につけることができます。上位資格を目指す方はもちろんですが、教養として簿記の知識を身につけたいという方にも3級の学習はお勧めです。

新しいチャレンジをする皆様にとって、素敵な未来があることを願っております。

<執筆者紹介>
種田 有紀(たねだ ゆき)

大学在学中に日商簿記検定1級合格。在学中は大手資格予備校での教室運運営などに従事。卒業後は、会計事務所勤務中にセミナー講師や内部統制の相談、クライアントの経理指導等を経験。その後、商工会議所の教室で日商簿記検定講座や日商PC検定を含むパソコン講座で受講生の学習指導・サポートを経験。現在は株式会社東京リーガルマインドの専任講師として日商簿記検定講座を担当。
Twitter:
種田有紀(@boki_taneda)
#たねだぼき(@tanedaboki_now)

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