よせだあつこ
コラム最終回ということで、今回は、会計人のみなさまにとって今後も役立つであろう「調べること」です。
パブロフくんは少し勘違いをしていますが、税理士や会計士、簿記の試験に合格するためには勉強することが不可欠で、ときには暗記も必要です。ただ、試験勉強の効率が良い人や実務をする人は「調べること」が得意です。膨大な法律や会計基準のすべてを暗記するのは不可能だからです。
まずはオススメの本を3冊。1冊目は『会計法規集』(中央経済社編)です。日商簿記1級、税理士、会計士の受験生に必要な、企業会計原則や会社法、金融商品取引法が掲載されています。私も会計士受験時には会計法規集を買い、テキストに出てきた内容に該当する基準を読んで理解を深めていました。
2冊目は『会計監査六法』(日本公認会計士協会・企業会計基準委員会編)で、会計士や経理の人が持っています。会計基準だけでなく監査基準、実務指針、実務対応報告が掲載されているのが特徴です。どこを見てよいかわからない場合はweb上のデータベースでキーワード検索すると効率的です。
3冊目は『税務経理ハンドブック』(日本税理士会連合会編)で、税理士や経理の人が持っています。国税、地方税、会社法が掲載されていて、効率よく税務の調べものをすることができます。毎年度、新しい版が出版され、その年度に改正される内容が主要改正一覧としてまとまっているのも便利です。
Googleなどの検索エンジンや、専門的なサイトを利用して調べることもあります。税法はe-Govで条文を閲覧でき、検索することもできます。上場企業の有価証券報告書を閲覧できるEDINETも便利です。
これからも、素敵な会計人ライフをお過ごしください。
〈執筆者紹介〉
よせだあつこ
willsi株式会社取締役/公認会計士
監査法人トーマツを経てwillsi株式会社を設立。簿記学習アプリ「パブロフ簿記」はシリーズ累計30万ダウンロードの大ヒット。主な著書に『パブロフくんと学ぶはじめてのプログラミング』、『パブロフくんと学ぶITパスポート〈第2版〉』、『パブロフくんと学ぶ電卓使いこなしBOOK』(いずれも中央経済社)などがある。監査法人や自身の会社での実務経験から,わかりやすい解説・合格できる解法を受験生へ伝えている。
※ 本稿は、『会計人コース』2020年8月号に掲載した記事を編集部で再編成したものです。
記事一覧
第1回:給与計算
第2回:IT
第3回:内部統制
第4回:現金実査
第5回:役員報酬
第6回:固定資産
第7回:労働者と使用者
第8回:給与計算と税金
第9回:実地棚卸
第10回:法律
第11回:IT用語
最終回:調べること