渡邉 圭
(千葉商科大学基盤教育機構准教授)
2022年度より日商簿記検定試験の出題範囲が改定され、それに伴い、新しい学習項目が追加されます。
ただ、出題範囲を示した出題区分表や勘定科目表には、新しく登場したり意味がとりづらかったりするワードが見られ、2022年度に受験を検討する人にとっては悩みどころかもしれません。
そこで、そんなワードのうち、受験生からの疑問の声が多い以下の5つについて、簡単な例やイラストに基づいて解説します。
① 契約資産・契約負債
② 出荷基準・着荷基準・検収基準
③ 役務収益・役務原価
④ 変動対価
⑤ 営業外電子記録債権・債務
※ ①・②は3月9日、③・④は3月10日、⑤は3月11日に記事を掲載します。
最後には、出題が考えられる設例も載せておりますので、あわせて挑戦してみてください。
本記事では、「変動対価」について取り上げます。
用語のポイント
- 変動対価:顧客との対価のうち売上割戻(リベート)等で変動する可能性がある部分。
問われる知識
- 収益認識をするタイミングを理解しているか。
用語解説
変動対価が発生する例として、売上割戻が生じる取引を使って説明します。
たとえば、得意先へ商品150,000円(商品300個×@500円)を販売したとします。
その際に得意先と、商品400個以上を購入した場合に、販売額の10%を売上割戻(リベート)として支払う(キャッシュ・バック)契約を締結しているとしましょう。
返金額は来月末に支払われる予定であり、当該取引で売上割戻(リベート)条件の達成が見込まれる場合、販売価格150,000円のうち10%にあたる15,000円について、返金負債として計上します。
設 例
下記の取引について仕訳しなさい。
当月中に得意先へ商品300個を1個あたり500円で販売した。得意先とは合計400個以上商品を購入した場合に、販売額の10%をリベートとして支払う契約を締結している。返金額は来月末に支払う予定であり、当該取引でリベート条件の達成が見込まれる。
解 答
売掛金 150,000/売上 135,000
返金負債 15,000※
※ (300個×500円)×10%=15,000円