12月17日に第71回(令和3年度)税理士試験結果が公表されました。
財務諸表論は、受験者数9,198人、合格者数2,196人、合格率は23.9%(昨年は19.0%)。昨年の合格率も高かったですが、今年はさらにアップしましたね。
受験者数も昨年よりも増えており、来年度の試験にチャレンジされる方も多いと思われます
そこで、資格の大原の大井健太郎先生に、当面の勉強のヒントを伺いました。
第71回(令和3年度)の合格率をみて
――今年の合格率について、先生はどのような印象をもたれていますか?
近年の財務諸表論の合格率は、過去5年平均で約21%と、安定した傾向にあります。
また、今年も全科目のなかで一番高い数値(23.9%)となっています。
努力が成果に直結する科目であることは間違いありません!
なるべく早いスタートをきり、計画的に学習スケジュールを進めて完遂することで、確実に合格へと近づくことが可能です。
次に向けて、どのように勉強すべき?
――これから年末年始ですが、どう過ごせばいいですか?
全体的な話でいうと、例年、年が明けるまで何もしない受験生は結構多いです。しかし、その時期にしっかり勉強を継続する受験生もいるので、ここで何もしなければ大きなビハインドになります。
まずは、何でもいいので財務諸表論に触れる時間をつくりましょう。今回悔しい結果となった方も、次回はじめて受験する方も、です。
ただ、そうはいっても忙しかったり、気が緩んでしまったりもするでしょう。ですから、今のうちに年末年始に勉強する時間を決めてほしいのです。
たとえば12月25日は1時間、12月31日は15分、1月1日は5分、1月2日は20分。その決めた時間、必ず勉強しましょう。
少ない時間でOKです。「元旦から5時間以上勉強するぞ!」というふうに、最初からハードルを高くすると、挫折してしまう場合もあります。
とにもかくにも「時間を決めて、達成する」という仕掛けをつくりましょう。
この年末年始を逃すと、次にじっくり勉強できるのはゴールデンウィークです。
税理士試験の受験生で「ゴールデンウィークに勉強しない」という人はなかなかいないので、ゴールデンウィークには差がつきません。ただ、年末年始だと過ごし方に違いがあります。
本試験までは半年以上ありますが、最後のチャンス、無駄にすることなく過ごしてください。
――春先(3月~4月)までの勉強で意識することはありますか?
今回悔しい結果となった方は、50点以上なら、ある程度の実力をもっています。比較的簡単な総合問題を解き進めるようにしましょう。そこで怪しい部分があれば、個別問題やテキストに戻った学習をしてください。
50点に満たない場合、たとえば40点台だったという人は、財務諸表論を1から勉強しましょう。テキストを最初から読み、理解の確認として個別問題を解いてください。
いずれにしても、計算問題を中心に知識の確認をすることが大切です。
――理論ではなく、計算の勉強が優先なのですね。
「理論の勉強をしていたら計算が疎かになった」という声もよく聞きますが、財務諸表論の基本は「計算」です。
理論の知識量で合否が決まるというより、計算力の土台があることが前提となり、プラス理論の上積みで合否が決まると思ってください。
ただ、計算ばかりだとマンネリ化するので、残った時間は理論に使いましょう。
今回悔しい結果となった場合、点数が高ければ高いほど理論に時間を使ってかまいません。基本的には、計算ができているから50点台だったと考えられます。
こういった方は、計算は総合問題を1題でも解けば感覚を思い出すことができるはずです。しかし、理論はそのレベルにもっていくのに時間がかかるので、なるべく早いうちに見直すようにしましょう。
今回点数が伸びなかった人も、まずは計算が第一ですが、理論も最低限、問題を見たときに、なんの理論かはわかる状態までもっていきましょう。的確な解答がわからなくても、「これってこんな感じの解答だったよな」と思い浮かぶようにしてください。
――計算と理論の両立は難しいですね。
言ってしまえば、経験者なら理論暗記を春から始めてもなんとかなります。
とはいえ、基本的に計算・理論ともにインプットを3月くらいまでに終わらせることが理想的です。少なくとも「当然、計算は仕上がっている」レベルにもっていきましょう。
もし、勉強が遅れている場合は、ある程度の点数がとれるまで総合問題を解いてください。点数が伸びない人は、問題集のレベルを下げるなど、「戻り学習」も必要です。
ですから、年末年始にどう過ごすかがポイントになります。年が明けて、専門学校が講座を開始する時期に合わせて勉強をスタートすると、3月まで残りわずかしかありません。ぜひ、12月の今から勉強を始めてください。
――参考となるお話をありがとうございました!
【お話を聞いた人】
大井 健太郎(おおい・けんたろう)
資格の大原 税理士講座講師
資格の大原にて財務諸表論を担当。これまでに1,000人以上の受講生を担当し、ほとんどの受講生の顔と名前を覚えている。映像収録の講義も担当し、「受講生の学習負担を減らし、最短で合格してもらう」ことが信念。
★資格の大原 税理士講座ホームページ
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