飯田真弓(税理士)
税理士事務所に勤務されている職員のみなさんは、所内、クライアント、税務署との関わりの中で、実はメンタルで病んでいる人が多いようです。
そうした中でも頑張っている皆さんに、税理士および職員の方々へのメンタル相談について経験豊富な飯田真弓先生(税理士)に今週全5回にわたり、アドバイスをいただきます。
第1回 毎日領収書の貼り付け作業ばかりやらされてるんです・・・。
第2回 税務調査で経営者に怒鳴られた!
第3回 社長さんに“税理士の資格、持ってないの?”といわれてしまったんです。
第4回 税理士受験生のアルバイト先のオススメは?
第5回 「なんでうちの会社の担当は女なんだ!」っていわれたんです・・・
(なお、このテーマで2022年春に書籍を出版予定です。ご期待ください!)
社長さんに、“税理士の資格、持ってないの?”といわれてしまったんです。 Iさんのケース
Iさんの父親は“24時間戦えますか!”という栄養ドリンクのCMがテレビで流れていた頃、銀行員として働き盛りの時期を過ごされたジャパーニーズビジネスマン。
Iさんは子どもながら銀行員になれば人並み以上の生活ができるんだと思ったそうです。
しかし、Iさんは就活時に金融関係をいくつか受験したのですが採用されず・・・。
父親は、“就職浪人とかニートとかフリーターなんて許さないからな!”といいながらも、新卒を募集している税理士事務所を見つけてきてくれたのでした。
そのとき、“石の上にも3年という諺を知ってるか? どんなにしんどくても3年は勤めるんだぞ!”と念押しされたといいます。
目標としていた3年を過ぎ、Iさんは、ホッとする反面、今のままでいいのかなと思うことも出てきたようです。
今回は、そんなIさんとのお話です。
飯田:「Iさん、目標としていた3年過ぎましたねえ。最近はどうですか?」
I:「どうってことはないですけど・・・。」
飯田:「新たな気持ちで、今後の目標とか立てたんかな?」
I:「特に考えてないです・・・。」
飯田:「一応、このまま働き続けるんかな? 職員さんに辞めずに働き続けてもらえることが私の役目でもあるから、その方がいいんやけどね。」
I:「まあ、なんとか3年やってきましたからね。一通りの仕事はわかったつもりではいます。」
飯田:「ちょっとマンネリ化してきたんかな?」
I:「そんなことはないですけど・・・。」
飯田:「不満に思うこととかは、ないん?」
I:「う~ん・・・。不満じゃないんですけど、この前、お客さんのところに行ったら、社長さんが出てきたんですよ。いつもは経理担当の方が応対してくれてて、社長さんとご挨拶したことがなかったから、“担当しておりますIです!”といって名刺を渡したんです。」
飯田:「ふむふむ。」
I:「その社長にちょっとショックなことをいわれました。」
飯田:「なんて?」
I:「“君は、税理士の資格を持ってないのか!”っていわれたんです。」
飯田:「あら~。」
I:「名刺に“税理士”って肩書きが書いてなかったから、なんで資格を持ってないやつがうちの会社の担当やってるんやって感じで・・・。」
飯田:「社長さんは、怒ってたん?」
I:「どうなんでしょうか?」
飯田:「それやったら、資格を持ってなくてもちゃんと指導できるんですよってところを見せて名誉挽回せんとあかんね。」
I:「えっ、私に名誉挽回なんてできるんですか?」