ようこそ!税理士事務所専門相談室『メンタル飯田』へー第3回 社長さんに、“税理士の資格、持ってないの?”といわれてしまったんです。


飯田先生のアドバイス

経理担当者に指導をして名誉挽回を図りましょう!

資格を持っているかより、お客様に必要なタイミングで的確なアドバイスをすることが大事!

よくある税理士事務所に対する不満に、“税理士を雇ったつもりでいたのに毎月訪問してくるのは資格を取っていない職員ばかり。それに加えて担当職員がよく代わるから同じ話を何度もしないといけない。代表の税理士は何年も顔を見せない。どうなってるんだ!”というものがあります。

税理士事務所は、資格を持った税理士が1人でやっている事務所であれば、すべてのお客様の担当をその税理士が行っているでしょう。
でも、ある程度の規模の事務所は、代表税理士は資格を持っているけど、それ以外の職員は税理士の資格をとるための勉強はしていても、まだ全部の科目に合格していないことが多いと思うのです。

お客様との関わり方は税理士事務所によってさまざま。
資格を持っているかどうかよりも、その担当の職員がお客様とどうお付き合いをしているかによって違ってくると思うのです。

税理士(税理士事務所)に対する不満として、なにもアドバイスをしてくれないというのも多いようです。
ですので、お客様である経営者が必要とされているタイミングでなんらかのアドバイスができると満足度がアップします。

法人会の「自主点検チェックシート」は強力な武器!

私は、全国の法人会・納税協会、商工会議所、税理士会、各種経営者団体から依頼を受けて、税務調査についてお話することも生業としています。
その中で紹介しているものに『自主点検チェックシート』があります。
法人会のHPを読んでみましょう。

法人会では、企業の税務コンプライアンス向上のための取り組みとして、企業における内部統制面や経理面に関する自主点検を推奨しています。
企業を成長させるためには、売上を増やし利益を上げることはもちろんですが、内部統制面の強化や経理面の質を向上させることも重要な要素です。
内部統制や経理水準の向上は、「入出金が適切に管理されるようになる」「内部の不正行為を未然に防止できる」など結果的に企業の成長にもつながることが期待できます。
一方、これがしっかりしていない場合には、「売掛債権が未回収となる恐れがある」「重要書類を紛失してしまうことがある」「会社の資産が不明確になる可能性がある」など経営上の大きな問題へ発展することもあります。
法人会では、この度、こうした「自主点検」を簡単にできるようにするため、「自主点検チェックシート・ガイドブック」を作成いたしました。
この取り組みは、経営者の皆様がチェックシートを活用し、企業自らが自主点検することを通じて、税務コンプライアンスを向上させ、自社の成長を目指し、ひいては税務リスクの軽減にもつながることを期待するものです。
企業の皆様、自社の成長・税務リスクの軽減のために、ぜひ「自主点検チェックシート・ガイドブック」をご活用ください。
自主点検チェックシートを活用した場合には、「法人事業概況説明書」に(法人会 自主点検チェックシート)と記入することができます。

セミナーや講演会自分がお話するとき、一番気をつけているのは、聞いてくださっている方が眠くならないようにするということです。
そのため、講演中によくこの『自主点検チェックシート』83のチェック項目について経営者の方にチェックしていただくのですが、そうすると自社に戻って再度確認しようという気持ちになるようです。

ここで私の講演の様子を紹介したのは、お客様である経営者の企業を訪問した際に、『自主点検チェックシート』の話をしてほしいと思ったからです。
大それたアドバイスではなく、まずは、経理のあるべき姿を自社でチェックすることが必要であることを伝える。これだけでも、お客様は、いいことを教えてもらったとなるんです。

最初は、『自主点検チェックシート』をお渡しして、
“こういうツールがあるので、一度やってみてくださいね”
といって帰るんです。

そして、次回訪問したときに、
“どうですか。チェックしてみましたか?”
と尋ねます。

やってないとなれば、”実はYouTubeにアップされてるんですよ!”と言って、スマホを取り出し、映像を見せてあげるといいと思います。

リンクはこちら!

『自主点検チェックシート』の映像はわかりやすく、1つのテーマが10分程度なので、どこでも気軽に見ることができるのです。

そして『自主点検チェックシート』により点検して○がつけけられないところを重点的に指導していくという流れです。
さらに自主点検チェックシートを活用した場合は、「法人事業概況説明書」に(法人会 自主点検チェックシート)と記入することができるので、きちんと指導しているということも国税当局にアピールすることができます。
間接的にではありますが、お客様である経営者が不安に思っている税務調査に入られる確率を低くすることにも繋がりますよね。

そうすると、
“うちの担当者は、税理士の資格は持ってないけど、親身になって経理担当に色々と指導してくれてるよ。そういえばしばらく税務調査もないなぁ”
と、他の経営者に話をしてくれて、顧問先が増えるということになる可能性もあるわけです。

お客様にお伝えするツールがあることがとわかると心強いですよね。
使えるものは何でも使って行きましょう。

<著者プロフィール>
飯田 真弓
(いいだ まゆみ)
元国税調査官”おかん税理士”
飯田真弓税理士事務所 代表税理士
一般社団法人日本マインドヘルス協会 代表理事

◆経歴
昭和57年3月 京都府立城陽高等学校普通科卒業
昭和57年4月 初級国家公務員試験採用(普通科女子一期生)
税務大学校大阪研修所に首席で入校
昭和58年7月~平成20年7月 大阪国税局管内の税務署で勤務
税務調査の最前線で延べ700人あまりの経営者の調査を行う。
平成14年4月~平成18年3月 放送大学教養学部に在籍、卒業
平成20年7月 国税を退職
平成20年9月 税理士として独立・開業
平成24年3月 内閣府の支援事業者に選ばれ一般社団法人を設立し代表理事に就任
国税調査で培ったノウハウと大学、その他で学んだ知識と持ち前の感性で、日本の中小企業とそれをサポートする税理士及び税理士事務所・税理士法人等の企業力(人間力・交渉力・コミュニケーション力・傾聴力)をアップさせるための業務を行う。

◆資格
税理士、産業カウンセラー、健康経営アドバイザー、日本芸術療法学会正会員

◆近況
全国の法人会、納税協会、税理士会、商工会議所、経営者団体で税務調査の講演やセミナーを行う傍ら、個別カウンセリングや傾聴トレーニング、企業に出向きコミュニケーションが活性化し離職率が低下する研修も実施。
2021年2月、NHKあさイチ「ことしの確定申告」を監修。週刊ダイヤモンド2021.5/1.8合併特大号に『持続化給付金、食事宅配、あと一つは?税務署が狙うコロナ禍「三つの急所」』、『元国税調査官が教える 要注意!「ダメ税理士」図鑑』を寄稿。
著書に『税務署は見ている。』、『税務署は3年泳がせる。』(ともに日本経済新聞出版社・累計9万部を超えるロング&ベストセラー)、『B勘あり!』(日本経済新聞出版社)、『調査官目線でつかむセーフ?アウト?税務調査』、『「顧客目線」「嗅覚」がカギ!選ばれる税理士の回答力』(ともに清文社)がある。

●バックナンバー
第1回 毎日領収書の貼り付け作業ばかりやらされてるんです・・・。
第2回 税務調査で経営者に怒鳴られた!


固定ページ:
1

2

関連記事

ページ上部へ戻る