
馬場 成実(株式会社アビタス 執行役員)
【編集部より】
USCPA(米国公認会計士)は社会人受験生が多いイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。ところが、最近は若年化しており、関心を寄せる学生も増えているそうです。AIの進化・発展を背景に生き残る仕事・なくなる仕事などがよく話題になりますが、これからの時代に求められる力をどのように身につければ良いでしょうか。国際資格の専門校アビタスの馬場氏に伺いました!
皆が「会計×英語×IT=USCPA」を武器にする理由
「会計人コースWeb」をご覧の皆様、こんにちは。
国際資格の専門校アビタス(Abitus)の馬場成実です。
「AIがこれだけ進化するなら、今から資格を取る意味はあるのだろうか」
大学生だけでなく、保護者や大学の先生方からもよく聞く問いです。
生成AIは、英文翻訳、Excel分析、財務情報の要約、経営分析まで数秒でこなします。
では、大学生が身につけるべきものは「AIを使うスキル」だけなのでしょうか。
私たちはそう考えていません。
AI時代だからこそ必要なのは、「AIが出した答えを判断できる専門性」です。
その選択肢として知ってほしいのがUSCPA(米国公認会計士)です。
AIで「会計の仕事」はなくなるのか
世界経済フォーラム(WEF)の「Future of Jobs Report 2025」では、2030年までに仕事で必要とされるスキルの39%が変化・陳腐化すると予測されています。
伸びるスキルの筆頭は「AI・ビッグデータ」ですが、最も重視されるコアスキルは依然「分析的思考」です。
米国労働統計局(BLS)は、米国の会計士・監査人の雇用が2024年から2034年に5%増加し、年間平均約12万4,200件の求人機会が生まれると予測。
定型業務は自動化される一方、分析や助言は重要になるとしています。
「会計人」はビジネスからいなくなりませんが、求められる価値が変わります。
数字を「作る人」から、数字を「読み、疑い、意思決定につなげる人」へ。
これがAI時代の会計人です。
AIが答える時代ほど「正しいか」を判断する力がいる
AIに「この会社は投資すべきですか」と聞けば、数秒で答えが返ってきます。
しかし、その売上は正しいのか。利益は一時的ではないか。会計処理や内部統制に問題はないか。AIが参照したデータ自体は信頼できるのか。
こうした判断には、AIの操作方法ではなく、会計、監査、リスク、内部統制、ビジネスそのものへの理解が必要です。
AICPA(米国公認会計士協会)も、若手会計人には、専門知識に加え、ビジネスにつなげる力、伝える力、テクノロジーを「判断を伴って」使う力が必要だとしています。
IPAの「DX動向2025」でも、日本企業の73.2%がAIの効果測定・改善まで行える人材が不足していると回答。
現場知識とAI知識をつなぎ、導入を推進できる人材も71.6%が不足しています。
企業が欲しいのは、単にChatGPTを使える人ではなく、AIと実際のビジネスをつなげられる人なのです。
だから、USCPAが面白い
現在のUSCPA試験は、FAR(財務会計・報告)、AUD(監査・証明)、REG(税務・法規)の3つのCore科目に加え、BAR(ビジネス分析・報告)、ISC(情報システム・統制)、TCP(税務コンプライアンス・プランニング)から1科目を選びます。
2024年の大制度改革「CPA Evolution」の背景には、会計士の仕事がテクノロジーやデータ分析、専門的アドバイザリーへ変化したことがあります。
特にISCでは、IT監査、データ管理、セキュリティ、プライバシーなどを扱います。
大学生に身近な簿記は、会計の基礎を学ぶ大切な入口です。
ただ、簿記が「数字を正しく作るための知識」を中心に学ぶものだとすれば、USCPAはその数字を読み解き、監査で信頼性を確かめ、税務やIT統制まで含めてビジネスを判断する専門性へ踏み込みます。
いわば、簿記が「会計を知る」学びなら、USCPAは「会計を使って判断する」学び。
この違いは、AI時代ほど大きくなります。
USCPAは「AIの使い方」を教える資格ではありません。
AIを使う前提となる専門知識と、AIの答えを検証する判断基準を学べる。
ここに、AI時代にUSCPAを学ぶ意味があります。
大学生の今だからこそ始める意味がある
2027年から日本の公認会計士試験でも、短答式試験の財務会計論、管理会計論、監査論で一部英語による出題が始まります。
背景には、IFRS適用企業の拡大やグループ監査など、実務と英語の接点拡大があります。
これからは「会計か英語か」ではなく、専門知識を英語でも扱えるかが問われる時代です。
USCPAなら「会計×英語」を同時に鍛えられます。
大学生が合格を目指すなら、まず出願州ごとの受験資格を確認し、必要単位を整え、授業の空き時間や長期休暇から逆算して学習時間を確保するのが基本です。
科目ごとに合格を積み上げられる点も特徴です。
大学生は社会人より時間を設計しやすいのも強みです。
アビタスでも、大学在学中に全科目合格した受講生の事例をたくさん公開しています。
若いうちに始めるメリットも大きい
USCPAは日本国内で受験できます。
NASBAの2024年第4四半期データでは、合格率は22歳未満64.1%、22〜23歳53.7%で、30歳以上の43.5%を上回りました。
年齢そのものが合格率を高めるとは言えませんが、若いうちの挑戦が有利に働く可能性は大きいです。
アビタスでも、この10年間で大学生の累計受講者数は約70倍になりました。
2025年に大学在学中に学習を始めた現役・卒業生230名を調査したところ、大学2・3年生で始めた人が半数を超え、学生時代に学ぶメリットとして「新卒時に他の学生との差別化ができる」が54.3%、「就職の選択肢が広がる」「勉強時間を確保しやすい」が各50.4%でした。
自社調査ではありますが、資格取得が「就活直前の対策」から「早期のキャリア形成」へ変わりつつあると感じます。
「何になるか」が決まっていない人にこそ、専門性を
「まだ将来やりたい仕事が決まっていません」という大学生も少なくありません。
私達は、それでよいと思っています。
18歳や20歳で一生の職業を決める必要はありません。
だからこそ、一つの会社や業界に依存せず、将来の選択肢を増やしてくれる「持ち運べる専門性」を身につけることが大切です。
監査法人、コンサルティング、金融、商社、経理・財務、経営企画、海外事業。
「会計」はあらゆるビジネスの中にあり、「英語」は国境を越え、AIを含む「IT」はほぼすべての仕事のインフラに一層なっていきます。
その「会計×英語×IT」を一つの学習体系で身につけられるところに、USCPAの面白さがあります。
もちろん、USCPAを取れば将来が保証されるわけではありません。
受験資格やライセンス要件は州によって異なり、アビタスでの全科目合格までの学習時間の目安も1,200〜1,500時間。
相応の努力は必要です。
それでも、大学4年間の一部を使って、その後40年近く続く社会人人生の土台をつくる。
検討する価値のある時間の使い方ではないでしょうか。
AIが「答え」をつくれる時代だからこそ、人間には、何を問い、答えが正しいかを見極め、その数字を意思決定につなげる力が求められます。
AIに勝つためではなく、AIを使いこなせるだけの「自分の専門性」を持つために学ぶ。
その選択肢として、大学生の皆さんにUSCPAを知ってほしいと思っています。
<執筆者紹介>
馬場 成実(ばば なるみ)
株式会社アビタス 執行役員
1985年生まれの九州男児。これまで、学習塾・語学スクール・キャリアデザインスクールなど、多岐にわたる教育サービスに従事。現在は、Abitusにおいて会計系国際資格やMBAの取得支援事業を統括。「教育を通じた機会の平等」をモットーに、学生から社会人まで幅広い層の学びとキャリア形成を支援している。
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