わたしの独立開業日誌 #行政書士 赤澤善朗
- 2025/8/7
- 独立開業日誌

【編集部から】
士業の魅力は、独立開業できることにもあります。「将来は独立」を目標に合格を目指している方も多いのではないでしょうか。
そこで、「わたしの独立開業日誌」では、独立した先輩方に事務所開業にまつわるエピソードをリレー形式でお話しいただきます(木曜日の隔週連載)。
登場していただくのは、税理士・会計士をはじめ、業務で連携することの多い士業として司法書士や社労士などの実務家も予定しています。
将来の働き方を考えるヒントがきっと見つかるはずです。
風営法×民泊行政書士@大阪
みなさま、はじめまして。
Second.行政書士事務所の赤澤善朗と申します。
「ザワさん/風営法×民泊行政書士@大阪」としてSNSなどでは日々情報を発信しています。
現在、まだ「行政書士3年生」ですが、今回は私が行政書士になるまでの経歴をお話しさせていただき、その中から何か一つでも皆さまが士業や資格取得を目指すきっかけやヒントがみつかると嬉しいです。

合格後、「即独」。それにはワケが…
行政書士試験には2度目の受験となった2022年度の試験で合格し、試験の結果発表からすぐに行政書士登録を行いました。
いわゆる「即独」と言われるタイプです。
今考えると「士業の知り合いはゼロ」「実務経験ゼロ」「業界の知識もゼロ」という状況でよくスタートしようと思ったなぁと思います(笑)。
ただ、これにはそのときの事情がありまして…。
私の過去の経歴を簡単に大きく整理すると「アパレル販売員⇒印刷屋アルバイト⇒アパレル営業マン⇒ネットショップ運営⇒●●●⇒現在の行政書士」という流れになります。
「●●●」の部分は即独となった理由に関わりますので、最後にお話しします。
行政書士になるまで
バイトしてはただただ遊びに明け暮れた20代前半
私は大阪府門真市の出身、「門真」と言えばパナソニック(旧松下電器)が世界的に有名な地域です。
ほかにも、設立100周年を超える「タイガー魔法瓶」やフィギュア界でのパイオニア「海洋堂」があったりします。
そんな「工業系の下町」といった地域で生まれ育ちました。
そんな私は高校を卒業後、私の実家も町工場だったこともあり工業系の専門学校に進学しました。
ただ、この頃はまだ世間を知らない「ただのガキんちょ」で、汚い町工場で働くよりもキラキラとした華やかな世界に憧れたり、モテたい・かっこいいことがやりたいという下心が強かったので、その後は親の町工場を継ぐという選択肢を放棄して、バイトしてはただただ遊びに行くだけの毎日でした。
この頃、家の近くのコンビニで深夜バイトをしながら、そのときに行政書士が主役という設定の「カバチタレ(深津絵里と常盤貴子が主演)」というドラマを見ていました。
同世代の方であれば、ご記憶にあるのではないかと思います。
このドラマで「行政書士」という存在を始めて知りました。
初めての就職、念願の正社員になるものの…大会社は肌に合わなかった
さすがに深夜バイトだけではなく、ちゃんと働かないといけないと思っていたところ、ふと通りがかりに見かけた求人の張り紙を見て地元の服屋さんでアルバイトを始め、2年ほどで社員になることができました。
この地元の服屋は、某有名セレクトショップの前身店舗で、当時でも社員は200名、アルバイトを含めると500名ぐらいは在籍していたと思います。
ただ、当時の店長や異動してきた社員と人間関係がうまくいかずに退職しました。
「大きな会社ほど出世するには、上司や同僚との人間関係に政治的な強さがなければ立ち回れない」と感じました。
印刷屋、アパレルを経験、恩人に出会う
退職後、ハローワークで知った職業訓練を受講して、IllustratorやDreamweaberなどAdobeソフトの基礎を学び、そのスキルをバイトでもいいから実践的に活用するために働こうと思って受かったのが名刺などの印刷屋でした。
この会社は人間関係が良かったので3年ほど働いていましたが、20代半ばになり、やはりファッションの仕事に戻りたくなり、レディース服の営業職に転職しました。
このときの会社の社長には、人生で大切なものの多くを学ばせていただきました。
今でも社長には年に1度ぐらいはお会いして、近況をご報告しています。
私の力不足で売上が上がらず、担当していたレディース分野が撤退してしまったにも関わらず、社長が時々私のことを気にかけてくださるのには、感謝しかありません。
友人と始めたアパレルネット通販会社が倒産
アパレル営業マンを辞めて大阪に戻るタイミングで、幼馴染みが独立してアパレルネット通販を起業することになり、一緒にやることになりました。
最初は、時給が良いパチンコ屋のバイトと掛け持ちをして、ひたすらタダ働きでした。
ショップの開店の日は新年を迎える気分だったり、初めての収入を幼馴染みである代表が自腹で払ってくれたり、色んな経験をしました。
しかし、8年目に大事件が起こります。
ある弁護士事務所から、損害賠償を求める通知書が届いたのです。
最初は何かの冗談か間違いか、にわかに信じられませんでした。
いわゆるパロディの類のカジュアル服を製造メーカーから仕入れていたのですが、その柄の一部分が商標権の侵害とされたのです。
損害賠償を請求され、資金が持ち堪えられなくなり、ネット通販会社は倒産しました。
ウーバーで稼ぎながら、昔見たドラマカバチタレを思い出して行政書士を目指す
コロナ禍、さらに生まれたての子どもがいる状況で、突然仕事を失いました。
ひとまず、収入を稼ぐためUber eatsを始めました。
再就職するにも、アラフォーでこれと言ったスキルや実績がありません。
「せめて人に認められるぐらいの資格を取得しよう」と思いました。
そんな時、若いころ見ていたドラマ「カバチタレ」を思い出しました。
調べてみると、受験資格も特になく、Uber eatsをしながら隙間時間に勉強し、2回目で何とか運良く合格することが出来ました。
「今の環境から抜け出したい」という必死の想いがあり、人生でこんなにも努力した経験はなかったと思います。
これから
コネなし、カネなし、経験なし。
でも、行政書士になって人生が変わりました。
ハードモードな人生には変わりありませんが、新しく知り合う人や境遇はこれまでとは全く違う世界です。
40歳を過ぎて、新しい友達や信頼できる仲間が増えました。
もちろん、今までの経歴が無ければ、今の自分はありません。
人生の「何が」「どこで」繋がるのかわからないと、不思議な縁を感じています。
行政書士は、裏方仕事です。
これが、人見知りでシャイな私にはとても合っています。
仕事を通じて、「誰かの役に立てる」ことも嬉しいです。
これからも、より「誰かの役に立てる」ように、研鑽を重ねていきたいと考えています。
【プロフィール】
赤澤善朗
2023年4月に行政書士登録。大阪府門真市にあるSecond.行政書士事務所代表。主に風営法が関わるお店の営業許可や民泊開業の手続きを専門分野にしております。
ホームページ:https://second-gyoseisyoshi-office.com/