直前期の税理士受験生の‟あるある”なお悩みについて、官報合格者6人に聞く本企画。第2回・第3回では、答練や模試の活用法などについてアドバイスをいただきましたが、最終回の今回は「過去問」について取り上げます。
受験生の間では、「過去問対策まで手が回らない」、「一度出た問題だから同じ問題が出ることはない」などいろいろな意見がありますが、官報合格者の方々はどのように向き合い、活用していたのでしょうか。ラストパートに向けて、ぜひ参考にしてください!
<テーマ紹介>
第1回 ゴールデンウィークの過ごし方
第2回 答練の活かし方
第3回 模試への向き合い方
第4回 計算対策
第5回 理論対策
第6回 不安の乗り越え方
第7回 過去問の活かし方(本記事)
※回答は質問ごとに五十音順・敬称略、年齢や職業は官報合格時
Q 過去問は解きましたか? 演習時期も教えて下さい。
1日1問は解き、解き直しもした(かんと(20代、経理職))
過去問は、資格取得の学習方法の中で一番実戦的な方法だと確信していたので、直前期から1日1問は過去問を解くようにしていました。
基礎期・応用期までに学習してきた内容が、どれくらいのレベルで本試験に出題されているのかを把握することを意識して、最低2周ずつは解き直しました。
答練などでは計算過程をほとんど書かずに解いていたのですが、過去問では計算過程までしっかり書き、また、1周目にかかった時間より5分早く解き終わることを目標に2周目を解きました。
理論については基礎期・応用期のうちから解ける過去問をどんどん解いていましたので、直前期も同じペースで進めました。
▶︎かんとさん
合格科目:簿記論・財務諸表論・法人税法・所得税法・消費税法
合格体験記:「育児・家事・仕事・学習の4足の草鞋を履いて、法人税法&所得税法を同時合格&官報達成!」
120分計って問題の取捨選択トレーニングをした(CR(20代、専念))
過去問の解きなおしは重点的に取り組みました。
直近の出題項目が連続して出題される可能性は低いですが、難易度は本番そのものですので解答手順を固める練習に使いました。
私の場合は頭から全ての問題を解き下したいという欲が出てしまうことが多かったので、120分キッチリ計って、その中で解いていい問題と飛ばすべき問題の区別が付けられるように練習しました。
▶︎CRさん
合格科目:簿記論・財務諸表論・固定資産税・法人税法・国税徴収法
合格体験記:「全科目一発&2年で官報合格! 「科目ごとの勉強アプローチ」がカギ」
過去問を使って「思考回路」を確認する!(竹内孝秀(大学4年))
直前期に解きました。
私の年は試験委員が変わらない年だったので、その傾向を見るためにやりました。
また試験委員にかかわらず、本試験がどのくらいの問題なのかを知るために過去問は解く必要があると思います。
本試験は未学習項目が必ずと言っていいほど出題されます。
その経験をしておくことが大事だと思います。
また、過去問を解く上でも合格点を目指すのがいいと思うので、未学習項目の解答の優先順位は後にすると思いますが、それでも一切思考しないのはよくないです。
予備校が作成した模範解答があるので、ちゃんと自分なりの答えを出して、その思考回路の確認をするのは、本試験を戦う上で大切な経験になります。
未学習項目を解答する中で、しっかりと自分なりの根拠を考えながら解くことを意識していました。
これが前述した思考回路ということになります。
ここが正しくできていたなら、その税法の理解が進んでいることになるので大きな自信になります。
できなくても大丈夫なことが多いので、挑戦してみてほしいです。
▶︎竹内さん
合格科目:簿記論・財務諸表論・所得税法・法人税法・相続税法
合格体験記:「大学在学中に国税3法で官報合格を達成! 決め手は計算・理論ともに「理解」から攻めたこと」
本試験で出る可能性のある答練の復習を優先(たこやき(30代、会計事務所勤務))
積極的には解いていません。
講義内で過去問をやるときがあり、そのときに過去問に触れたぐらいで、あとはトレーニングや答練の解き直しに時間を充てていました。
理由は単純で、過去の問題は本試験では出ないからです。
時間がない中で勉強しているので、出る可能性のある答練の解き直しに時間を充てるほうが効率が良いなと思いました。
ただし、簿記論のように、取捨選択が必要になってくる科目は、過去問で取捨選択の練習をするのは有効的かなと思います。
とはいえ、あくまでも時間配分の練習に使うだけであって、復習を積極的にやったりなどはしないほうがいいです。
なぜなら、絶対解けない問題などもあり、そこに復習の時間を割いてしまうのはもったいないからです。
▶︎たこやきさん
合格科目:簿記論・財務諸表論・消費税法・相続税法・法人税法
合格体験記:「「本命科目」と「もう1科目」の同時学習がカギ! 働きながら6年で官報合格!」
早めに過去問を解けば学習にメリハリがつく!(ボザイ(30代、税理士法人勤務))
科目によりますが、過去問はゴールデンウィーク前から解いていました。
過去問に早めに着手することは非常に重要だと考えています。
自分が目指すべきゴールがどこなのか、また近年の出題論点はどこなのかを分析することで現在地の把握と学習に濃淡をつけることに役立ちます。
特に私は理論暗記を答練の範囲に絞って進めることをしていなかったので、答練では理論で点数が伸びませんでした。
ですので答練の順位が低いことに対してほとんど感情はありませんでした。
一方で、過去問には予備校による解説欄に合格ボーダーラインの点数が書いてあったのですが、合格ボーダーを超えられれば励みにもなり、届かないと少し落ち込みました。
この時も理論はやらずに計算のみ解きました。
過去問の理論は近年の出題がどこでなされたのかを分析し、理論暗記では後回しにしたりなど理論のスケジューリングに役立ちました。
▶︎ボザイさん
合格科目:簿記論・財務諸表論・消費税法・法人税法・相続税法
合格インタビュー記事:「ボザイさんに聞く! 税理士試験 簿・財独学から始まった官報合格までの道」
過去問で自分の学習レベルを測る!(もち(40代、税理士法人勤務))
過去問は解いていました。
そもそも、独学なので、他の方の学習スケジュールを知らなかったのもあり、基礎学習が終わったら、すぐに過去問を解いていました。
過去問は、それぞれの年で作成した試験委員も合格率も違いますが、レベルは一定水準が保たれているはずですので、過去問を解くことによって自分の学習レベルを測っていました。
また、専門学校が作成する試験とは異なり、本番の試験問題では、読んでもどのような解答を求められているかがはっきりしない問題が出されることがあるので、早めに過去問に触れておくことによって、本番でそのような問題が出ても慌てないで平常心でいられる精神力がつくと思います。
▶︎もちさん
合格科目:簿記論・財務諸表論・消費税法・所得税法・相続税法
合格体験記:「13年かけて掴んだ5科目合格! すべて独学だからこそ、実務に役立つノウハウを得た‼」
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「過去問」の活用法については、官報合格者によってもその時期や力の入れ具合などがさまざまです。
今回の官報合格者の回答だけを見ると、「一度も見たことがない」という人はいませんでした。
本試験では、試験委員が作成した初見の問題を解くことになります。それは、いつも解く問題とは装いが違うかもしれません。問題と答案用紙だけであれば、国税庁ホームページからも直近の税理士試験問題を見ることができます。ぜひご活用ください。
<直前期にオススメの書籍>