令和6年度税理士試験委員、発表!―研究者・実務家関係では9名新任


(編集部)

2023年12月12日付けの官報にて、令和6年度税理士試験の試験委員が公告されました。

例年、年明けの1月に発表されていたところ、昨年は12月20日の発表でちょっと驚いていたのですが、今年はさらに早まりましたね。

昨年度と比較すると、研究者・実務家関係では、9名が退任されて、あらたに9名が任命されました。そのため、全体の人数構成は昨年と同じでした。

(役所関係)

渡邊 秀雄
(国税庁課税部課税総括課消費税室長)財務事務官

児島 範昭
(国税庁課税部個人課税課長)財務事務官

秦 幹雄
(国税庁課税部資産課税課長)財務事務官

江崎 純子
(国税庁課税部法人課税課長)財務事務官

三浦 隆
(国税庁課税部酒税課長)財務事務官

磯村 建
(東京高等検察庁検事兼国税庁徴収部徴収課長)検事兼財務事務官

市川 靖之
(総務省自治税務局都道府県税課長)総務事務官

寺田 雅一
(総務省自治税務局市町村税課長)総務事務官

水野 敦志
(総務省自治税務局固定資産税課長)総務事務官

(研究者・実務家関係:数字は就任年数)

相澤 範忠 (新)

石原 裕也 ③

一高 龍司 (新)

榮村 聡二 ③

小津稚加子 ②

小野 正芳 (新)

柏木 英樹 (新)

加藤 大吾 (新)

木下 純  ②

佐藤 増彦 ②

澁谷 雅弘 ②

富永 生志 ②

原  俊雄 再①

藤村 幸司 ②

湊  義和 ③

安保 めぐみ(新)

山下 雄次 (新)

山田 康裕 再④

渡邉 明裕 (新)

渡邉 雅雄 ②

(以下、おまけ)

今回、研究者・実務家9名の先生が新任となりましたが、弊社の執筆者である2名の先生について、簡単にご紹介します。

小野正芳先生(日本大学)

(ご略歴)長崎大学経済学部卒業、千葉大学大学院社会文化科学研究科修了。千葉経済大学専任講師、准教授、教授を経て、現在日本大学商学部教授。

研究領域としては、包括利益を中心とした利益概念、簿記、そして近年では非営利組織についても業績を残されていますね。

本誌とのかかわりでいえば、2016年9月号~2017年8月号まで1年間簿記論の連載をご執筆いただいたことをはじめ、折々で特集記事、付録等にもご執筆をいただいていました。

<主な著書>
①『スタートアップ会計学(第3版)』共編著、同文舘出版、2022年
②『業種別簿記・会計の処理と表示』編著、中央経済社、2021年
③『ビジネスセンスが身につく簿記(第2版)』共著、中央経済社、2022年
④『日本簿記学説の歴史探訪』共著、創成社、2019年
⑤『ビジネスセンスが身につく会計学』共著、中央経済社、2018年
⑥『現場で使える簿記・会計』共著、中央経済社、2017年
他多数

(以下、あくまでも編集部の私見です)

(担当科目は公表されていませんが)これまでの業績等を考えると、簿記論のご担当かなと予想しています。
本誌での執筆内容や大学のシラバスを拝見すると、理論的・体系的な理解を求めているように感じますので、暗記に頼らず基礎を理解することを重視した学習を進めていくとよいと思われます。

加藤大吾先生(公認会計士・税理士)

(ご略歴)2003年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。会計監査、税務業務などに従事する傍ら、東京CPA会計学院にて公認会計士講座(簿記)の講師を経て、現在、早稲田大学大学院会計研究科非常勤講師、明治大学大学院会計専門職研究科教育補助講師、立教大学兼任講師。

本誌では、まさに常連執筆者だった加藤先生!
これまで多くの付録や特集等の記事をご執筆いただきました。
特に総合問題の記事はとても実践的な内容でしたね(そして、弊社から以前『会計人コースBOOKS 総合問題なるほど解法ナビ』を刊行いただきました)。

(以下、あくまでも編集部の私見です)

これまでの実績等を考えると、簿記論・もしくは財務諸表論の計算問題の作問をされると予想されます。
これまでの本誌でご執筆いただいた内容を考えると、小野先生と同様に暗記重視ではなく、理解重視の学習が功を奏する問題、またスピーディかつ的確に解答すべき問題が出題されることが予想されます。

試験委員対策、する? しない?

「さあ、来年の試験委員がわかったので、試験委員の書籍や論文を読んで対策を立てましょう!」というつもりは、1ミリもありません。

国税庁のHPに「税理士試験は、税理士となるのに必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的として行われます。」とありますので、試験委員の方々は、将来税理士として職務をまっとうするにはどのような知識・能力を身につけていてほしいか、という視点から出題しているはずです。

「出題のポイント」で多数指摘されている「基礎的な知識及び理解を問う問題」は大きなメッセージですね。
ですので、特別な試験委員対策は基本的には必要ないといえるでしょう。

まずは年末年始で「過去問」をじっくり分析しよう!

税理士試験の目的である「税理士となるのに必要な学識及びその応用能力」を有する問題はどのようなものかを把握する最高の教材は「過去問」です。

試験委員の先生方は、作問する上で必ず過去問を参照しているはずです。
ですので、過去問を見ることは、今後学習を進める上で非常に重要といえるでしょう。

そして、国税庁HPには近年の試験問題と出題のポイントが掲載されています。
ぜひ、この年末年始で以下を実践してみてはいかがでしょうか。

  1. 「過去問」と「出題のポイント」を見る。
  2. 出題のポイントでは「基本的な理解を問うている」などの指摘が多数みられる。これにより、試験委員は基礎的な理解を重視していることがわかる。そこで、試験委員は何を基礎と考えているかを把握する。
  3. その延長で、他の論点でも基礎とカテゴライズされるものを考える。
  4. 今、自分はどのくらい基礎が身についているか、8月の本試験までにどのようにマスターしていけばよいかを検討する。

新試験委員発表を機に、ぜひ実践しましょう!


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