税理士試験【財務諸表論】合格発表をうけて今後の学習アドバイス


加茂川悠介(税理士)

【編集部より】
さる11月30日(木)、令和5年度税理士試験の合格発表が行われました。合格発表をうけて、受験戦略を再検討する人、同じ科目の受験に再挑戦する人などさまざまだと思います。
来年の本試験まで、どのように学習計画を立てればよいかなどについて、主要科目ごとにアドバイスを頂きます。本記事を参考に、合格に向けてよりよいスタートを切りましょう!

合格発表をうけて

先日、今年の本試験の合格発表がありました。
合格率が前年度の14.8%から28.1%と大幅に上昇し、努力が報われた受験生が多かったのではないでしょうか。

また、今回は記念すべき「受験資格撤廃」初年度の試験でした。20歳以下の合格率を見ると、若い人にとって望ましい制度改正だったのかもしれません。これから、「若い人たちの受験が増えるのではないか」と思います。

改めて、見事合格された人はおめでとうございます! これまでの努力が実りましたね! 自信をもって、次の科目に進んでもらいたいと思います。

また、残念だった人はうまく気持ちを切り替えられるでしょうか? 来年の本試験に向けて、すでに5月から、あるいは7、8月から頑張って勉強している受験生が私の受講生にもたくさんいます。

今年の本試験を経験した皆さんのほうが、現時点では実力があるかもしれませんが、「すごい勢いで、追い付かれようとしている」ということは忘れてはなりません。本試験まで「もう8か月しかない」という気持ちで、財務諸表論の勉強と向き合ってもらいたいと思います。

何をするべきか?

この点は、私も受講生などからよく質問を受けます。自分の実力や本試験終了後から合格発表までの取り組みによっても異なりますが、一般的にはまず「個別問題集(計算)」を1回転するとよいでしょう。

これは、財務諸表論の計算を思い出してもらうための作業なので、「基本的で、簡単な問題」を解いてみてください。手持ちの個別問題集でも、市販の個別問題集を使っても構いません。

大切なことは一通り解いて、「わからなかったところや間違えたところは、計算テキストに立ち返ってしっかり確認しておく」ことです。つまり、本格的に勉強を始める前に、基本的なところについては「確認済み」としておいてほしいのです。

これから本試験に向けて、各予備校などでも応用問題や難しい問題を解いていくことになると思いますが、土台(基礎)がグラついていると、それらの発展的な論点はなかなか身につかないと思います。

仮に、がんばって自分のものにしようとしても、基本的なところから確認していかなければならず、相当の時間がかかるでしょう。

個別問題集が一通り確認できたら、総合問題(計算)も解きましょう!
ご存知のように、財務諸表論では「第三問でどのくらい点数を稼げるか」が合否の分かれ道と言っても過言ではありません。

第三問は例年、計算の総合問題です。したがって、本試験まで使っていた総合問題を解くことをオススメします。もちろん、市販の総合問題集でも全く問題ありません。「基本的」な問題をしっかりと解きましょう。

今は、「基本を押さえる」ことに集中してください。先ほどの個別問題集と同じように、土台(基礎)がグラついたままでは、これから本試験までに解いていくような応用問題を効率的に攻略できないからです。

「基本的」な総合問題を解いて、間違えたところは必ず、テキストに立ち返って「確認」する。このような姿勢が、これからの勉強に大いに活きます。

初学者も同様に、個別問題集や総合問題集を解くのが良いと思います。今の時期は、「基本的な問題」を解きましょう。

まだ土台(基礎)がグラついている中で、無理をして難しい問題を解いてみても身につかないだけでなく、変に「この問題は本試験でも解けないだろうから捨て問(すてもん)だ! やらなくていいんだ!」と誤解してしまうように思います。

まずはしっかりと解答できる良問をスピーディーに解けるように、繰り返し解きましょう。もちろん、間違えた箇所は計算テキストを開いて確認するようにしてくださいね!

理論対策については、少しずつ理論テキストを読むようにしてください。テキストをずっとただ見ているだけでは眠くなることもありますので「音読」がおすすめです。「1日何ページ」とか、「1週間何ページ」と決めて、少しずつ読むと良いと思います。

最後に

合格発表のこの時期は、気持ちの切り替えが大変な時かもしれません。しかし確実に、ライバルたちは勉強を始めていますし、本試験まであっという間に時間は過ぎてしまいます。

今こそ奮起して、次回の本試験に向けて計画的に勉強をスタートしましょう!

【執筆者紹介】
加茂川悠介(かもがわ・ゆうすけ)

税理士、CFP®。中央大学法学部、早稲田大学大学院法学研究科修了後、大手専門学校で教鞭をとる。その後、立命館大学大学院法学研究科で税法を学び、会計事務所勤務や河合塾ライセンススクール講師を経て、財務捜査官採用試験に合格。宮城県警退職後、資格の学校TAC税理士講座で講義を行う。現在、TACのほか芦屋大学や大阪経済法科大学、大阪産業大学、近畿大学等でも講義を行い、日々、わかりやすい講義に向けて自己研鑽している。
著書に『ストーリーとまとめ問題でよくわかる! かけるくんの簿記入門』(Parade Books)がある。

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