連載 『会計士・税理士・簿記検定 財務会計のセンスが身につくプチドリル』(本試験直前総復習14)ー 繰延資産


長島 正浩(茨城キリスト教大学教授)

*税理士、会計士論文式試験直前の総復習として、本連載の復習問題を再掲載します。

Q1(空欄補充)
株式交付費(新株の発行又は(  ①  )に係る費用)は,原則として,支出時に(  ②  )(営業外費用)として処理する。ただし,企業規模の拡大のためにする資金調達などの財務活動(組織再編の対価として株式を交付する場合を含む。)に係る株式交付費については,( ③  )に計上することができる。

A
① 自己株式の処分
② 費用
③ 繰延資産
*繰延資産当面の取扱い3(1)
『企業規模拡大のための資金調達に限って“繰延資産”にできる』

Q2(空欄補充)
社債発行費は,原則として,支出時に(  ① )(営業外費用)として処理する。ただし,社債発行費を(  ②  )に計上することができる。この場合には,社債の償還までの期間にわたり(  ③  )により償却をしなければならない。

A
① 費用                           
② 繰延資産
③ 利息法
*繰延資産当面の取扱い3(2)
『継続適用を条件として,定額法を採用することができる』

Q3(空欄補充)
創立費は,原則として,支出時に(  ①  )(営業外費用)として処理する。ただし,創立費を(  ②  )に計上することができる。この場合には,(  ③  )のときから5年以内のその効果の及ぶ期間にわたって,( ④  )により償却をしなければならない。

A
① 費用
② 繰延資産
③ 会社の成立
④ 定額法
*繰延資産当面の取扱い3(3)
『無限の存続期間をもつが,5年以内に償却する』(桜井23版,213頁)

Q4(空欄補充)
開業費は,原則として,支出時に(  ①  )(営業外費用)として処理する。ただし,開業費を(  ②  )に計上することができる。この場合には,(  ③  )のときから5年以内のその効果の及ぶ期間にわたって,(  ④  )により償却をしなければならない。

A
① 費用
② 繰延資産
③ 開業
④ 定額法
*繰延資産当面の取扱い3(4)
『これも無限の存続期間をもつが,5年以内に償却する』(桜井23版,213頁)

Q5(空欄補充)
開発費は,原則として,支出時に(  ①  )(売上原価又は販売費及び一般管理費)として処理する。ただし,開発費を(  ②  )に計上することができる。この場合には,(  ③  )のときから5年以内のその効果の及ぶ期間にわたって,(  ④  )その他の合理的な方法により規則的に償却しなければならない。

A
① 費用
② 繰延資産
③ 支出
④ 定額法
*繰延資産当面の取扱い3(5)
『特別に支出したものに限られ,経常費の性格をもつものは開発費には含まれない』(桜井23版,213頁)

Q6 株式交付費を繰延資産として計上した場合の償却について,簡潔に説明しなさい。

A
株式交付のときから3年以内のその効果の及ぶ期間にわたって,定額法により償却をしなければならない。
*繰延資産当面の取扱い3(1)
『これも無限の存続期間をもつが,早期の償却を促進している』(桜井23版,210頁)

Q7 社債発行費を繰延資産に計上した場合,なぜ利息法により償却するのか?

A
社債発行者にとっては,社債利息や従来の社債発行差金に相当する額のみならず,社債発行費も含めて資金調達費と考えることができること,また,国際的な会計基準における償却方法との整合性を考慮すると,社債の償還までの期間にわたり,利息法(又は継続適用を条件として定額法)により償却することが合理的と考えられるから。
*繰延資産当面の取扱い3(2)
『利息法で償却を行うときは実効利子率を求めなければならない』(桜井23版,212頁「設例3」)

◎復習しましょう!
1.CF計算書
2.一株当たり当期純利益
3₋1.金融商品会計①‐⑦
3₋2.金融商品会計⑧‐⑭
3‐3.金融商品会計⑮‐⑳
4-1.棚卸資産会計①‐⑥
4-2. 棚卸資産会計⑦‐⑫
5‐1.収益認識会計①‐⑦
5₋2.収益認識会計⑧-⑫
6.リース会計①‐⑥
7.固定資産の減損①‐⑩
8.ソフトウェア会計①‐⑥
9.研究開発費会計①‐⑦

〈執筆者紹介〉
長島 正浩
(ながしま・まさひろ)
茨城キリスト教大学経営学部教授
東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。簿記学校講師,会計事務所(監査法人),証券会社勤務を経て,専門学校,短大,大学,大学院において非常勤講師として簿記会計や企業法を担当。その後,松本大学松商短期大学部准教授を経て,現在に至る。この間35年以上にわたり,簿記検定・税理士試験・公認会計士試験の受験指導に関わっている。

*本連載は,『会計人コース』2020年1月号付録『まいにち1問ポケット財表理論』に加筆修正したものです。


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