【模試の復習でしたこと・しなかったこと】計算の解答戦略&間違えた理由を確認して、本試験に活かす!


たあ
(2021年度税理士試験合格者)

【編集部より】
大手専門学校で全国模試が実施され、いよいよ本試験日が目前に迫る時期になりました。限られた時間で、最大限の学習効果を発揮するにはどのように取り組めばよいのでしょうか。
そこで、合格者の方々に、ラスト1ヵ月でどんな学習をしていたのか、試験直前はどんな気持ちだったのか、「模試の復習」をテーマにお聞きしました。試験日まで気持ちを切らさないためにも、ぜひ参考にして駆け抜けてください!

模試の手応えはさまざま

この記事が掲載されるのは本試験まであと1か月ほどのタイミングとのことで、読まれている税理士試験受験生の方々は、ここまでがんばってきたけど、今年は受かるかなぁ、どうかなぁと不安な日々を過ごされている方が多いのではないかと思います。

ちょうど、資格の大原が全国統一模擬試験(略して全統)を実施する時期で、この全統の結果で手ごたえを感じる方、ギリギリいけそうと感じる方、絶望を感じる方など、様々でしょう。ですが、残り1か月ありますので、どなたも油断することなく、あきらめることなく、必死に取り組み、合格を勝ち取っていただければと思います。

少しでもその手助けになればと思い、模試の復習方法について、私の経験談をご紹介します。

模試の復習方法【理論編】

理論がある試験科目の模試を受けた後にする復習、皆さんどうされていますか。正直、私は模試を受けた後に理論の復習をしたことがありませんでした(だから長年合格できなかったのかもしれませんが…)。

理論については、得点ができなかった理由として、「そもそもその理論を覚えていなかった」、「覚えていたけどうまく書けなかった」、「何を問われているのか論点がわからなかった」など、色々あるかと思います。しかし、まずは理論を覚えないと始まりませんので、今から1か月で本試験に持っていける理論を一題でも増やしましょう。

私の理論の勉強法は、毎日の通勤電車で往復1~2時間ほど、『理論サブノート』(資格の大原の持ち歩き用の理論教材)を見ながらブツブツつぶやくことと、仕事が早めに上がれた日は乗換駅のカフェで勉強をしていました。

この時期は各予備校から理論の出題ランクが出ていると思いますので、そのAランクとBランクを中心にぐるぐる回していき、最後の試験前4日間でA・B・Cランクすべて覚えるようにスケジューリングして進めていました。

Cランクを完璧に覚えていたかは怪しいですが、Aランクは試験前2日間で完璧に暗唱できるように努力していました。13年前に税理士試験の授業を最初に受けた財務諸表論の講師の方に、人間の記憶は2日間なら何とか持つようにできているとの話を聞き、一番大事な理論は本試験の前日、前々日に頭に叩き込んでいました。

理論がある科目なら、1か月あればまだまだ覚えられますので、優先順位を付けて、ひたすら理論を回していきましょう! 模試で理論ができなかったとしても気にする必要はありません(できるに越したことはありませんが…)。

本試験までに、そのできなかった理論を完璧にすればよいのです。日々のスキマ時間を活用して、本試験直前まで、少しでも試験会場に持っていける理論を増やせるように頑張りましょう!

模試の復習方法【計算編】

前述のとおり、模試の復習は理論はせず、計算だけ行っていました。計算の復習は得点のアップにつながる効果が高いと考えていたからです。模試の後の復習でやってよかったことは次の内容です。

やってよかったこと①―「戦略は正しかったかどうか」の確認

まず今回の模試で、「計算を解いた時の戦略は正しかったのかどうか」を確認します。戦略とは具体的には問題を解く順番と、それにかけた時間です。

法人税法であれば大問と小問の二問体制なのか、個別問題なのかでどのように解くかが変わります。二問体制の場合、大問に時間をかけすぎて、小問が手つかずだと合格は厳しいと思います。大問にかける時間を決めて、それを過ぎたら途中でも小問に移る必要があります。

また、個別の問題についても、簡単な問題から解いていき、難しい問題に時間をかけすぎないことも重要です。その取捨選択がしっかりできていたかを確認し、その反省を次の模試、本試験に活かしましょう。

やってよかったこと②―「間違えた理由」の確認

計算の問題の間違えた理由を確認します。間違えた理由としては3つに集約されます。それは、「知識がなかった」、「時間がなかった」、「ケアレスミス」の3つです。

この3つの中で一番問題なのは「ケアレスミス」です。ケアレスミスは知識もあって解けていたのに、自分の不注意で失点しまった非常にもったいない間違いです。

これを撲滅するのは大変で、なかなかできないのですが、解決策は自分が犯すケアレスミスをよく知って、それを何かにまとめ、模試や本番の前にそれを確認し、試験中に注意するしかありません。私もよく自分の字が汚すぎて、数字が0なのか6なのかよくわからず、数字を読み間違えて失点をしていました(これはケアレスミスではないかもしれませんが…)。

知識がなく失点してしまった問題については、その項目、例えば受取配当等の益金不算入であれば、その項目のテキストの再確認と個別問題を解き、知識の定着をはかります。次の模試で同じ論点が出ても間違えることのないよう、個別問題を繰り返し解きましょう。

時間がなくて失点してしまった問題については、その問題が簡単で本来は先に解くべき問題だった場合は戦略の失敗ですが、そうではない場合はあまり気にする必要はありません。

スピードを意識して解くと、スピード違反で問題を読み飛ばしたりするので全くいいことはありません。知識がつけばスピードの問題は解決します。

このように間違えた理由をしっかり確認して、次のテストに備えましょう。

やらなくてよかったこと―模試の解き直し

一度受けた模試の解き直しはやらなくてよいのではないかと私は思います。本試験は必ず初めての問題なので、解き直しをするのではなく、新しい問題を解き、上述した「やってよかったこと①②」の振り返りを行い、力をつけたほうがよいと思います(なかなか何度も繰り返して解く時間もありませんし…)。

私自身は資格の大原に通っていたのですが、TACの計算総合問題集(市販)も解いていました。他の学校の問題はいつも解いている問題と違い、新鮮で新たな発見があると思います。このようにいろいろな問題に触れて、その後の振り返りをしっかりすることで、実力は着実についていきます。

総合問題の数を多く解くことが目的ではなく、解いた後の振り返りまで含めて、その内容をしっかり理解することが重要なので、可能な範囲でいろいろな問題が解ければよいと思います。時間のない方は、あまり手を広げることなく、受けた模試の復習をしっかりやって、間違えたところ、苦手なところの個別問題を解くことをおすすめします。総合問題も個別問題の集合体ですので。

1か月前の今、一番大事なこと【メンタル編】

本試験1か月前の今の時期で一番大事なのはメンタルではないかと私は思います。模試を受けて、よい結果ならば、悩むことなく、そのままどんどん突き進んでいけばいいでしょう。

しかし、結果が思わしくなかった人は、「あ~今まで頑張ってきたのにこんな結果かよ、これじゃあまた今年もダメかな」、「試験受けても受からなそうだから、受けるのやめようかな」とか、いろいろと考えてしまうと思います。私もずっとそうでしたので、よくわかります。

できたと思っていた模試が戻ってきて、その結果が悪かったりすると相当凹みます…。気持ちは本当によくわかるのですが、まだ本試験までは1か月あります。勝負はこれからです。

この1か月、本気で取り組めば、まだまだ挽回は可能です。模試の結果が悪かったとしても、「あ~本試験じゃなくてよかった、ラッキー!」、「間違えた問題を復習して、得意論点にして本試験で出てもどんと来い状態になってやる税!」というように考えましょう。

模試の答案が返ってきて、一瞬は凹みます。それは仕方がないです。でも、ずっとそれを長引かせずに、前を向きましょう。

試験に合格し、税理士になることを目標に、今まで頑張ってきたわけで、模試は本試験ではありません。

残り1か月間は、いつもはネガティブな人も「前向き人間」を演じて、本試験への勉強に集中しましょう! この1か月のメンタルの持ちようで、勉強への集中力が全く違いますので、何があっても前向きに捉えましょう! そうすれば、勉強が加速度的に進むはずです。

諦めなかったことが合格につながった!

プロフィールのとおり、私は官報合格まで12年掛かりました。短期間で合格された人とは違うのですが、それでも何とか合格できたのは、諦めなかったからに尽きます。

何度もあきらめそうになりましたが、その度にもう少しだけ頑張ってみようと続けてきました。これを読んでいる受験生の皆様も、本試験1か月前で、今が一番苦しい時期だと思います。

どうか諦めることなく残り1か月、自分ができる限りのことを精一杯やっていただければと思います。その先に必ず合格がつながっています。

皆様が本試験で実力を発揮され、合格されることをお祈りいたします。

<執筆者紹介>
たあ

2021年度税理士試験官報合格。事業会社勤務で経理部でもなかったが、息子が産まれた31歳から税理士試験の勉強を始め、息子が小学校を卒業する年に、12年掛かって税理士試験に合格。合格科目は順に、財務諸表論・消費税法(2013年)、簿記論・固定資産税(2014年)、法人税法(2021年)。法人税法合格まで7年掛かり、これは一生受からないのでは…と、特に苦戦。今は未経験で会計事務所に転職し、税理士登録に向けて修行中。
Twitter(@h77yEA6Q135bajz)

『次こそ!税理士試験に合格する方法』(中央経済社)
本記事の執筆者であるたあさんの合格体験記や独立開業日誌など会計人コースWebの記事に加筆・編集をしてまとめた1冊です。
ぜひご覧ください!

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