【連載:第2回】米国年次報告書(10-K)から学ぶ、実務で使える会計英語フレーズ~動詞編


お絵描き会計士aki@USCPA

【編集部より】
将来は「会計×英語」を武器にキャリアを積みたいと考える人も多いのではないでしょうか。また、すでに実務で英語を使う仕事が増えてきたという受験生もいるかもしれません。
そこで、本連載では全4回にわたり、重工プラント大手企業で働くUSCPA(米国公認会計士)のakiさん(@zaku_accounting)に、米国年次報告書(10-K)を題材として「実務で使える会計英語フレーズ」を教えて頂きます。
<各回テーマ
・第1回:年次報告書(10-K)の概要
・第2回:頻出の会計英語フレーズ10選【動詞編】
・第3回:頻出の会計英語フレーズ10選【名詞編】
・第4回:頻出の会計英語フレーズ10選【形容詞・副詞編】

実務で使える会計英語フレーズ【動詞編】10選

第1回では、米国年次報告書(10-K)の概要をざっくりと見てみました。
今回からは、実際に「明日から使えるような頻出の会計英語フレーズ」を10個ずつピックアップします。

この10個のフレーズを覚えるだけで、英語での表現力の幅がグッと広がりますよ。
それでは、【動詞編】をお届けします。
なお、各フレーズについては学習用に筆者にて原文を一部変更、簡略化しています。

①The Company records a liability when it is probable that a loss will be incurred.

‟当社は損失が発生する可能性が高い場合に負債を計上する。”
 ※大文字Cの「the Company」は「当社」という意味

「売上を計上する」「売掛金を計上する」など、「計上する」は最頻出の動詞になります。「record + 勘定科目」の組み合わせだけで、会計に関する英語表現が広がるのでこれだけでも覚えてください。

record「計上する」

②We recognize revenue when control of the products is transferred to customers.

‟我々は商品の支配が顧客に移転した時に収益を認識する。”

「収益を認識する」「費用を認識する」という表現は会計実務でよく使いますよね。「認識する」は英語で「recognize」。「record」の次に使える便利な動詞です。

recognize「認識する」

③Total sales increased 10% or $1 billion during 2022 compared to 2021.

‟2022年度の総売上は2021年度と比較して10%、10億ドル増えた。”

「売上が増えた」「利益が増えた」など、業績報告では必ず出てくる動詞です。こちらも勘定科目や数字など、さまざまな名詞と組み合わせて幅広く使うことができます。

increase「増える、増やす」

④Operating profit decreased by $1 million due primarily to lower sales.

‟営業利益は主に売上の減少により100万ドル減った。”

「increase」とセットで覚えてください。「increase」と「decrease」を使うだけで業績報告が簡単にできてしまいます。

decrease「減る、減らす」

⑤Working capital has been improved compared to the prior year.

‟運転資本は前年度と比較して改善している。”

業績報告では必ず前年度との比較を行いますよね? その際は「compared to 〇〇」と表現を使います。〇〇のところには2022、2021など年度を入れてもいいですし、「the prior year」という「前年度」を意味する単語を入れることもできます。

compare to「比較する」

⑥Advertising costs are included in selling, general and administrative expenses.

‟広告宣伝費は販売費及び一般管理費に含まれる。”

「〇〇費は販売管理費に含まれる」や「Aセグメントには〇〇商品が含まれる」などの表現で使われるのが「include」。受動態として「be included in〜」として使われることも多いです。

include「含む」

⑦The investments in A company have been classified as available for sale securities.

‟A社への投資はその他有価証券として分類されている。”

こちらも勘定科目との組み合わせでよく使われます。「record」に加えて覚えておくと表現の幅が広がります。「be classified as+(勘定科目)」で「(勘定科目)として分類される」となります。

classify「分類する」

⑧The Company adopted new accounting standard.

‟当社は新たな会計基準を採用した。”

会計基準や会計処理と相性のいい動詞です。「先入先出法を採用している」「定額法(減価償却)を採用している」を表現したいときに使えます。

adopt「採用する」

⑨Costs related to the products have been increasing.

‟その商品に関連するコストが増えている。”

「〇〇に関連するコスト」「〇〇に関連する税金」など、名詞を修飾する場合に便利な表現です。名詞を修飾する場合は「名詞+related to」という形で使われます。

relate to「関連する」

⑩Lower sales at A segment were offset by increases at B segment.

‟Aセグメントの売上の減少はBセグメントの増加によって相殺された。”

日常会話ではあまり出てきませんが、会計実務では「相殺する」は頻出の動詞です。ちなみに「相殺後の〇〇」は「net + 名詞」 または「名詞, + net」で表現されます。「net sales」、「Accounts receivable, net」という感じです。

offset「相殺する」

以上、会計実務で使える動詞10選でした。

英語の勘定科目と組み合わせることで、実務で使える英語表現の幅が格段に広がるのでぜひ役立ててください!
【参考】
Apple, Form 10-K, 2021
GE, Form 10-K, 2022

次回は「名詞編」をお届けする予定です。どうぞお楽しみに!

【執筆者紹介】

お絵描き会計士aki@USCPA

米国公認会計士(ワシントン州)。
重工プラント大手経理にて連結決算(IFRS)、FP&A、M&Aなどに従事。「イラストの力で会計をもっと楽しく、わかりやすく」をモットーに、独自イラストを使って会計ファイナンスや英文会計を解説するブログを運営。プライベートでは3児のパパ。
・Twitter(@zaku_accounting
・ブログ「イラスト会計教室」


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