【連載:第1回】米国年次報告書(10-K)から学ぶ、実務で使える会計英語フレーズ


お絵描き会計士aki@USCPA

【編集部より】
将来は「会計×英語」を武器にキャリアを積みたいと考える人も多いのではないでしょうか。また、すでに実務で英語を使う仕事が増えてきたという受験生もいるかもしれません。
そこで、本連載では全4回にわたり、重工プラント大手企業で働くUSCPA(米国公認会計士)のakiさん(@zaku_accounting)に、米国年次報告書(10-K)を題材として「実務で使える会計英語フレーズ」を教えて頂きます。
<各回テーマ
・第1回:年次報告書(10-K)の概要
・第2回:頻出の会計英語フレーズ10選【動詞編】
・第3回:頻出の会計英語フレーズ10選【名詞編】
・第4回:頻出の会計英語フレーズ10選【形容詞・副詞編】

会計実務ではどんな英語表現を使う?

会計士、税理士などを目指している方の中には将来英語を使って仕事をしたいと考えている人も多いのではないでしょうか?
私は現役USCPAとして、日系グローバル企業で連結決算(IFRS)を担当しており、日頃から海外子会社とのやりとりを行っています。

英語での会計実務に不安を覚えるかもしれませんが、会計の仕事で使う英語表現は意外と限られます。
そこで、本連載では、米国年次報告書(10-K)を使って、すぐに使える会計英語フレーズをマスターしていきます。

第1回ではまず、米国企業の「年次報告書(10-K)」の概要をざっくりと押さえてみましょう!

年次報告書(10-K)とは?

「そもそも年次報告書ってなに?」
という方もいると思うので、まずは年次報告書の解説から。

年次報告書とは、日本でいうところの有価証券報告書のことです。この米国上場企業の有価証券報告書のことを「Form 10-K」といいます。

年次報告書には1年間の企業の業績がまとめられており、アップルやスターバックスなど米国の上場企業は必ずこの年次報告書を毎年作成しています。

例えば【Apple 10K】とネットで検索すると誰でも無料で見ることができます。
【参考】
Apple, Form 10-K, 2021

年次報告書(10-K)の構成とおすすめ箇所

年次報告書は会社によって数十〜数百ページとボリュームの差はありますが、全ての会社が同じ構成となっています。

全部で4つパート構成になっていますが、ざっくりとどこに何が書かれているかまとめると以下のとおりです。
Part 1:企業概要
・Part 2:財務状況
・Part 3:経営陣・株主
・Patt 4:付属明細

非常にボリュームがあるので、全て読むのはハードルが高いです。そこで、まずは「Part2:財務状況」だけを読んでみるとよいでしょう。

さらにPart2の中でも特に会計英語の勉強におすすめなのが以下2つの項目。

  • Item 7. Management’s Discussion and Analysis of Financial Condition and Results of Operations
    (業績報告) これは一般的にMD&Aと略されます。
  • Item 8. Financial Statements and Supplementary Data
    (財務諸表)

この2つの項目は会計実務で使える英語の宝庫といっても過言ではありません。
例えば、業績報告などを英語で行う際には「Item7. 業績報告」で使われている英語がそのまま使えます。
また、会計処理の表現は「Item8. 財務諸表」で使われている英語がそのまま使えます。

「年次報告書の英語って難しいのでは?」と思われる方もいると思いますが、実はそうではないんです。
年次報告書は英語ノンネイティブを含めた世界中の株主向けに書かれているため、シンプルな表現が使われています。レベルとしては中学英語の文法力で十分理解可能です。

しかも、無料! つまり、実務で使える会計英語を学ぶのに、年次報告書はまさに最高の英語教材なのです。この機会にぜひ一度読んでみてくださいね。

次回は、年次報告書からピックアップした、頻出の実務で使える会計英語フレーズ【動詞編】をご紹介します!

【執筆者紹介】

お絵描き会計士aki@USCPA

米国公認会計士(ワシントン州)。
重工プラント大手経理にて連結決算(IFRS)、FP&A、M&Aなどに従事。「イラストの力で会計をもっと楽しく、わかりやすく」をモットーに、独自イラストを使って会計ファイナンスや英文会計を解説するブログを運営。プライベートでは3児のパパ。
・Twitter(@zaku_accounting
・ブログ「イラスト会計教室」



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