編集部
本試験では、現行制度以外の考え方についても問われる!
財務諸表論(財務会計の理論)については、現行会計基準の考え方を押さえればよいと考えている受験生も多いかもしれません。
しかし、それでは、以下の税理士試験第70回財務諸表論【第二問】のような問題がでてしまうと戸惑ってしまうと思われます。
◆税理士試験第70回【第二問】問2(問題文一部省略) (前提の問題文省略) (1)資産除去債務の会計処理として、これまでに少なくとも3つの方法が考えられてきた。それらに関する次の文章の空欄①から⑤に入る金額または最も適切な用語を答案用紙の所定の箇所に記入しなさい。 第1法(減価償却方式) 問題文省略 第2法(引当金方式) 問題文省略 第3法(資産負債の両建処理) 問題文省略 (2)(1)に示されている第3法(資産負債の両建処理)が第2法(引当金方式)とは異にしている大きな特徴を、①負債(資産除去債務)の測定値と②資産(有形固定資産)の取得原価とに分けて説明しなさい。なお、第1法(減価償却方式)および第2法(引当金方式)の特徴について言及する必要はない。 |
現行会計基準では第3法が採用されていますが、採用されていない第1法・第2法についてもその考え方が問われています。
これは、現行会計基準も経済社会情勢により変化することもあり、実務家である税理士も柔軟に対応する必要があり、そのためさまざまな考え方を理解しておいてほしいというメッセージではないかと思われます。
また、さまざまな考え方がある中で、現行会計基準をとらえるとより理解が深まると考えられます。
このような、現行会計基準のみならず、採用されていない考え方までくわしく記載されているテキストが『スタンダードテキスト財務会計論Ⅰ(基本論点編)』『同・Ⅱ(応用論点編)』で、今春最新の第16版が刊行されました。
本書の特徴と使い方は?
本書の大きな特徴は、次のとおりです。
- 現在採用されている会計制度、会計基準の考え方が明快に示されていること。
- それのみならず、現在採用されているものとは異なる考え方(学説)まで示されていること。
- 会計基準等、法令との関連性が明確に示されていること。
特徴1と2について、たとえば前述の資産除去債務の論点は、本書(第16版)・Ⅰのpp.276-280で設例を交えて非常にわかりやすく解説されています。
なお、特徴3をより効果的にするため、『新版 会計法規集(第13版)』で現行会計基準等の原文(本書の本文で示された根拠規定だけでなく、その前後まで目を通すこと!)を参照しながら読み進めることで、より理解が進むはずです。
とはいえ、本書はⅠ・Ⅱでともに本文500頁前後と膨大で、はじめから読むと挫折してしまう可能性も大きいでしょう。
特に直前期の今は、通読している時間的余裕はないと思われます。
そこで、たとえば、模試や答練で間違えた問題(論点)について、本書を読み込んでみてはいかがでしょうか。
なお、初学者の方も1頁目から読み込んでいくよりは、テキストのわからない箇所を補強したり(索引で用語を調べる等も含む)、まずは1章分(1つの大きな論点)について徹底的に読み込んで、得意分野にする(1つうまくいったら、それを広げていく)等といった使い方が考えられると思います。
本書は、近年、毎年改訂を重ね、最新の内容を盛り込んでいます。
第16版でも、主に2022年10月の企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」の改正、およびそれに関連する改正事項やその他の制度改正をフォローしています。
また、Ⅰ・第6章:流動資産、Ⅱ・第1章:金融商品は全面的に書き換えをしてさらにパワーアップしています。
ぜひ本書を有効に活用し、実力UPをしましょう!
また、シリーズの管理会計論、監査論もぜひご活用ください!