【連載・第2回】現役経理部長が教える! 経理に必要な4つのExcelスキル ~ミス削減&作業効率化にマスト!


経理部IS

【編集部より】
経理の仕事では、Excelをよく使うと聞きます。そもそも、なぜExcelなのか。経理の仕事ならではの特徴があるのか。一般に知られているExcelテクニックとは違うのか。そんな素朴なギモンを解消すべく、現役経理部長の経理部ISさん(@keiri_IS)に、経理に関わる人が知っておきたいExcelの基礎知識やテクニックを連載で教えて頂きます(月1回・不定期掲載・全10回予定)。
連載第2回の今回は、「経理に必要な4つのExcelスキル」がテーマです。これから経理関係の仕事を始める人はもちろん、スキルアップを目指す人にもおすすめです。

今回のテーマについて

経理の現場では、決算資料の作成、毎月の売上経費の予算と実績管理、経費支払処理など、さまざまな場面でExcelが利用されています。

このExcelは数値データの集計が容易にでき、経理の仕事と相性が良いことから手軽に利用されています。しかし、手軽に利用しやすい分、Excelが原因となる問題が頻繁に起きています。

そこで今回は、経理実務で起きているExcelの問題とその解決策について確認していきます。
経理パーソンは、Excelを利用するときの問題点とその解決策を理解し、日々の業務に役立ててみましょう。

経理でExcelを利用するときの問題点

経理実務でExcelを利用するとき、

・操作ミスにより数値の集計を間違える

・効率の悪い操作により作業時間が増加する

といったことが頻繁に起きています。

また、Excelは経理部門のメンバーのみならず、他の部署や監査法人、税理士といった社内外の関係者にも共有・利用されていますが、

・資料が見づらい

・わかりづらい

といったことから、関係者がExcelファイルの内容を理解するのに苦労しているといった問題も発生しています。
(社内外の関係者は、見づらい・わかりづらいExcel資料を解明するために、無駄に作業時間をかけています。)

このように、経理の現場ではExcelを利用することで、さまざまな問題が発生しています。
これらの問題が原因で、残業時間が増え、数値集計ミスにより経営判断を誤るといったことが起きてしまう場合もあります。

経理実務では、Excelの利用によってさまざまな問題が発生することを認識し、問題を解決するためにどう対応すべきかが重要となります。
それが結果として、仕事の質と効率を高めてくれることになります。

問題を解決するための4つのスキル

経理でExcelを利用すると、さまざまな問題が発生することがわかりました。
では、「その問題を解決する方法はないのか?」ということについてですが、方法はあります。

それは次の4つのスキルを身につけて、Excelを利用することです。

1.Excelを【見やすくする】スキル

2.Excelの【ミスを防ぐ】スキル

3.Excelを【使いやすくする】スキル

4.Excelの【作業を早くする】スキル

この4つのスキルは、Excelを利用するときに守るべきルールであり、また操作テクニックでもあります。

1.Excelを【見やすくする】スキル

Excelを見やすくするスキルとは、

・セルに色付けするとき、ルールを設定する

・使用するフォントを統一する

・数値や文字、日付の表示を統一する

といったように、Excelで作成した資料を見やすくするためのスキルをいいます。
このスキルを身につけることで、誰がみても「見やすい」「わかりやすい」と思うExcel資料を作成することができ、社内外の関係者から評価されます。

見やすくするスキル例(セルの色付けルール設定)

Point! セルの色に意味を持たせ、落ち着いた色を使うと、Excelが見やすくかつ、わかりやすくなる。

2.Excelの【ミスを防ぐ】スキル

Excelでのミスを防ぐスキルとは、

・行、列を非表示のままにしない

・計算式が入っているセルを手修正しない

・手入力するセルと計算式が入っているセルを区分する

・関数を複雑にしすぎない(できるだけシンプルに)

・作業の都度、上書き保存する

といったように、Excelの計算ミスや判断ミスを防ぐためのスキルをいいます。

Excelでのミスは、個人の作業ミスに起因するものもあれば、部内・社内外の関係者とのコミュニケーション不足により発生するものもあります。
こうしたミスは、上記のような一定ルールを設定し、それを関係者が順守することで防ぐことができます。

ミスを防ぐスキル例(計算式を手修正しない)

Point! 計算式に数値を加えると、計算式が正しい結果を表示できなくなる。

3.Excelを【使いやすくする】スキル

Excelを使いやすくするスキルとは、

・シート名称をわかりやすくする

・印刷範囲を設定する

・セル結合は使わない

・わかりやすいファイル名称にする

など、社内外の関係者もExcelを使いやすいように設定を工夫することができるスキルをいいます。
Excelを使いやすくすることにより、個人のみならず、Excelを共有・利用する社内外の関係者の作業も効率化することができます。

使いやすくするスキル例:シート名称をわかりやすくする

Point! 上記は左から、
・資料説明は、Excelファイルがどういった資料かを説明するシート
・元データは、計算の元データ(例えば会計システムから出力したデータなど)を貼付けするシート
・計算結果は、元データを加工して計算した結果が表示されるシート
といったようなルールを設定し、シート名を付ければわかりやすくなる。

4.Excelの【作業を早くする】スキル

Excelの作業を早くするスキルとは、

・経理実務でよく利用される関数を覚える

・ショートカットの使い方を覚える

・ピボットテーブルの使い方を覚える

といったように、Excel操作のテクニックをスキルとして身につけることです。
このスキルを身につけることで、作業スピードが上がり、作業工数の削減に繋がります。

作業を早くするスキル例:経理でよく使われる関数

・IF
・SUMIF
・VLOOKUP
・ROUND
・IFERROR

以上4つが、経理でExcelを利用するときに必要なスキルです。

Excelのスキルというと、難しい関数を使ったり、マクロを使いこなしたりするというイメージがありますが、経理で身につけるべきスキルは、そういったテクニック重視のものではありません。

経理では、実務に関わるすべての人が、ミスなく効率よく仕事を進めるためのスキルが必要とされています。
それがこの4つのスキルです。

まとめ

経理の現場では、さまざまな場面でExcelが利用されています。

そして、そのExcelの利用によって、

・計算ミスの発生

・効率の悪い操作による作業時間増

・資料が見づらい、わかりづらい

といった問題が起きています。

このような問題を放置しておくと、Excelの数値が正しいかどうかわからず関係者からの信頼を失います。またExcelの作業時間が増大し、残業も増えてしまいます。

それを解決するには、今回紹介したような4つのスキルを身につける必要があります。

1.Excelを【見やすくする】スキル

2.Excelの【ミスをなくす】スキル

3.Excelを【使いやすくする】スキル

4.Excelの【作業を早くする】スキル

いずれのスキルもミスを減らし、業務の効率化につながりますので、日々Excelを利用する経理パーソンは、早速これらのスキルをマスターしましょう。

次回からは、この4つのスキルについてそれぞれ詳しく解説していきます。
ぜひ参考にしてください。

<執筆者紹介>
経理部IS
Twitter(@keiri_IS)

数十年にわたり、上場企業とその子会社で経理業務に従事している経理パーソン。
現役の上場企業経理部長であり、また経理の転職複数回の経験を生かして、経理のキャリアアップや経理実務に役立つ情報をTwitter上で発信中。

【連載バックナンバー(全10回)】
第1回:現役経理部長が教える! 経理の仕事でExcelがマストな3つの理由
第2回:現役経理部長が教える! 経理に必要な4つのExcelスキル~ミス削減&作業効率化にマスト!
第3回:現役経理部長が教える! 仕事が効率化するExcelを‟見やすくする”スキル
第4回:現役経理部長が教える! 今すぐやるべき‟Excelでミスを防ぐ”方法
第5回:現役経理部長が教える! 仕事で評価される‟わかりやすいExcelの表”を作成する方法
第6回:現役経理部長が教える! Excelを使いやすくする5つの方法(前編)(後編)
第7回:現役経理部長が教える! 経理業務の効率化に役立つ! 使いやすいExcelファイルの管理方法(前編)(後編)
第8回:現役経理部長が教える! 仕事スピードを速くするExcel関数とショートカットキー
第9回:現役経理部長が教える! Excelピボットテーブル活用術
第10回:現役経理部長が教える!  作業効率化に役立つExcel機能3選

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